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POPY Novels ちび恐竜と絵留の日々
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ちび恐竜と絵留の日々(ちび恐竜とまた会う日)
12ちび恐竜とまた会う日

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

懐中かいちゅう時計にかくされていたデータから、おじいちゃんとダイくんの出会いについて知ることができた。夏休みを利用してアメリカにわたった絵留えるは、ついにむらさききり遭遇そうぐうして……。

サムさんと佐藤さとうさんは、ぐっすり入ってしまったようだ。呼んでも、ゆさぶっても深い寝息が聞こえるばかり……。

二人とも、簡単にはねむくならないよう、いコーヒーを飲んできたと言っていたのに。飲んでいないわたしとダイくんだけが起きているなんて、なんだか皮肉だ。

サムさんのポケットから携帯けいたい電話を取り出す。お父さんにかけようとしたけど、案の定、電波がない。
「ダイくん、どうしよう?」
「みんな、ねちゃったの?」
「うん。ダイくんは寝ないでね。ひとりで起きているのこわいから」
「ぼくはねむくないよ。ただ……」

ダイくんは首をのばして辺りの様子を注意深くうかがっている。
「どうかした?」
「うん、このもやもやのにおい、ぼく、しっているかもしれない」

ダイくんの、今よりもっと幼いときの記憶きおくがよみがえりつつあるのだろうか。

あまりに少しずつすぎて気がつかなかったけど、どうやらボートがひとりでに進んでいる。島へと向かっているのだろうか。

このまま、ボートが島へ着いてしまったら、わたしはいったいどうしたらいいんだろう。サムさんと佐藤さんは相変わらず眠ったままだ。
「ダイくんは、日本に帰りたいんだよね?」

ボートが進んでいく先をじっと見えているダイくんに聞いた。
「うん……でも、ぼく、このさきにいかなきゃいけないようなきがする」

ショックだ……。

ついこの前まで、島になんか行きたくないって言ってたのに。

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