前号までのあらすじ
おじいちゃん(坂下先生)の突然の死。研究室から見つかったちび恐竜の安全を守るため、絵留が預かることになった。初めて対面したちび恐竜は、なんと言葉を話せるのだった。
ちび恐竜は細長い首をもたげて、不安そうにきょろきょろしていた。
そうっと近づいてみる。
「ねえ、きみ、しゃべれるの?」
おどろかさないよう、ちょっと離れたところから、なるべく落ち着いた調子で話しかけてみた。
ちび恐竜がこっちを見る。
小さいけれど黒々とうるおったアーモンド型の瞳で、じいっとわたしを見ている。その瞳を、きらっとうれしそうな色がよぎった。
「エルちゃん? エルちゃんでしょ?」
わたしの名前、知ってるんだ!
「そうだよ。わたしのこと、おじいちゃんから聞いてたの?」
わたしが言い終わるより早く、ちび恐竜が走りよってきた。
「エルちゃん! あいたかったの! ぼく、ダイくん。ダイナソーのダイくん」
しっぽがゆらゆら動いている。うれしそうだ。そっと手を出すと、ダイくんはわたしの手のひらに飛び乗った。
ゆっくりと持ち上げる。足には小さいけれど爪も生えていて、皮膚はトカゲみたいな、象みたいな独特の質感をしている。生まれたばかりの子猫のような、やわらかい重さではなくて、習字のときの文鎮みたいな、ずっしりとくる重さがあった。
「サカシタセンセイが、とけいもってたの。ふたがパカッてあくの。そこにエルちゃんがいたの。サカシタセンセイがいつも、おはなししてくれたよ。いつか、あわせてくれるって!」
ダイくんは興奮気味に話しながら、わたしの腕を器用につたって、いつのまにか肩の上に乗っかっていた。耳元でもぞもぞ動くから、くすぐったい。前に飼っていたインコを、よく肩に乗せていたことを思い出した。
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