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POPY Novels ちび恐竜と絵留の日々
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ちび恐竜と絵留の日々(悲しみはプレゼント)
第2話悲しみはプレゼント

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

おじいちゃん(坂下先生)の突然の死。研究室から見つかったちび恐竜の安全を守るため、絵留が預かることになった。初めて対面したちび恐竜は、なんと言葉を話せるのだった。

ちび恐竜きょうりゅうは細長い首をもたげて、不安そうにきょろきょろしていた。

そうっと近づいてみる。
「ねえ、きみ、しゃべれるの?」

おどろかさないよう、ちょっとはなれたところから、なるべく落ち着いた調子で話しかけてみた。

ちび恐竜がこっちを見る。

小さいけれど黒々とうるおったアーモンド型のひとみで、じいっとわたしを見ている。その瞳を、きらっとうれしそうな色がよぎった。
「エルちゃん? エルちゃんでしょ?」

わたしの名前、知ってるんだ!
「そうだよ。わたしのこと、おじいちゃんから聞いてたの?」

わたしが言い終わるより早く、ちび恐竜が走りよってきた。
「エルちゃん! あいたかったの! ぼく、ダイくん。ダイナソーのダイくん」

しっぽがゆらゆら動いている。うれしそうだ。そっと手を出すと、ダイくんはわたしの手のひらに飛び乗った。

ゆっくりと持ち上げる。足には小さいけれどつめも生えていて、皮膚ひふはトカゲみたいな、象みたいな独特の質感をしている。生まれたばかりの子ねこのような、やわらかい重さではなくて、習字のときの文鎮ぶんちんみたいな、ずっしりとくる重さがあった。
「サカシタセンセイが、とけいもってたの。ふたがパカッてあくの。そこにエルちゃんがいたの。サカシタセンセイがいつも、おはなししてくれたよ。いつか、あわせてくれるって!」

ダイくんは興奮こうふん気味に話しながら、わたしのうでを器用につたって、いつのまにかかたの上に乗っかっていた。耳元でもぞもぞ動くから、くすぐったい。前に飼っていたインコを、よく肩に乗せていたことを思い出した。

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