前号までのあらすじ
言葉を話す恐竜のダイくんと暮らすことになった絵留。幼なじみの直也がやってきて、ダイくんを見られてしまった。ところが、直也はダイくんについて何か知っているようで…。
「おじいちゃんから何か聞いてたの?」
わたしはダイくんを隠すのも忘れて、直也に聞いた。ダイくんは、わたしの手の中から首をのばして、わたしと直也の顔を交互に見ている。
「そのうち、オレと絵留に恐竜の友達を紹介したいって。おどろかせたいから、絵留には内緒って言われてたんだ」
「それって、いつの話?」
「じいちゃんが亡くなる一か月くらい前かなあ。オレ、時々、じいちゃんとメールのやりとりしてたんだよ」
「そうだったんだ……」
うちにこなくなった直也は、わたしからも、わたしの家族からも、すっかりはなれてしまったのだと思っていた。おじいちゃんとはそんなふうにつながっていたんだ。
「まさか、本物だとは思わなかったな。おもちゃとか、ロボットとかのことだと思ってた。これ、本物だよな?」
「うん。ちゃんと生きてる。ね、ダイくん」
わたしは手を広げて、ダイくんを直也の目の前に差し出した。
「へえ、ダイくんっていうんだ。おい、元気か?」
ダイくんは、しばらく直也の顔を見たり、差し出された指に鼻先で触れたりした後、
「よろしく」
とだけ言った。なぜか、直也にはちょっと警戒しているらしい。
「なんだよ、おまえ、かわいくないなあ」
「おまえ、じゃないよ。ダイくん!」
ダイくんはそう言うと、わたしに床に下ろすようにたのみ、自力でちょこちょこと仏間へ戻っていった。
「なんか、感じ悪いなあ」
直也は不満そうだったけど、わたしはなんだかうれしかった。直也がダイくんのことを、うちの家族と同じように当たり前に受け入れているのが、うれしかったんだ。
秘密はもれてしまったけど、おじいちゃんが会わせるつもりだったなら、直也に知られてしまったことは、それほど問題ではないはずだ。家族以外で、この秘密の話をできる人がいるのも、なんとなくうれしかった。
それにしても、結局のところ、ダイくんの出生については謎のままだ。
インターネットがつながってすぐに、お父さんとお母さんから連絡があった。パソコンの画面上に二人の元気そうな笑顔が見える。もちろん会話もできる。いわゆるテレビ電話だ。
続きは、当月号「ポピー・キーワード」を入れて、読もう
読もう
ちび恐竜と絵留の日々のストーリー
たかはし先生のメッセージ
井上先生のメッセージ