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POPY Novels ちび恐竜と絵留の日々
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ちび恐竜と絵留の日々(ちび恐竜の大ピンチ!)
第4話ちび恐竜の大ピンチ!

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

学校に興味を持ったちび恐竜のダイくん。連れて行ってと絵留にたのむが、もちろん答えはノー。ところが、ある朝学校に着くと、絵留のバッグの中にダイくんがしのんでいて…。

「ちょっと! なんでいるの?」

わたしはスクールバッグの中に向かって、小声で話しかけた。ダイくんは悪びれもせずに首だけをにゅっとつき出して、
「ここ、くらいし、くるしいからだして~」
と、普通ふつうの大きさの声で言った。
「わっ、小さい声にして! みんなに聞こえちゃうよ」
あわててそう言ったけど、おそかった。数学の森野もりの先生が、こちらに近づいてくる。森野先生は、このクラスの担任でもある。
坂下さかした、授業始めてもいいか? いったいだれと話してるんだ。まさか、バッグの中に妖精ようせいでもいるのか?」

みんながくすくす笑っている。はずかしくて顔から火が出そうだ。
「ち、ちがいます」
とは言ったものの、まさか「恐竜です」とは口がさけても言えない。
「ひとり言です。すみません」
「そうか。妖精じゃないのか。先生、一度でいいから妖精を見てみたかったんだ。なんだ、ちがうのか」

先生がそう言うと、今度は教室中が笑い声に包まれた。
「だれか、妖精を見かけたら先生に教えてくれ。さあ、授業に入るぞ。おっと、そうだった。今日はコンピュータルームで授業します。移動開始!」

みんながざわざわと立ち上がって移動し始めたのを見計らって、ダイくんはバッグから飛び出し、わたしのブレザーのポケットに入りこんだ。
「えっ、ついてくる気?」

小声でけげんそうに言うと、ダイくんはだまってうなずいた。しょうがない。もたもたしていたら、また先生に何か言われてしまう。わたしは、待っていてくれたナミちゃんとちひろちゃんの後を追って、コンピュータルームへと急いだ。
「えー、ここではパソコンを使って、さまざまな教科の補足的な授業ができます。数学の場合だと、図形を回転させて立体的にとらえたりするのに使えるかな。あと、ソフトを使って図形をいたりすることもできます。ただし、通常の授業ではあんまり使いません」

男子から「えーっ、つまんない」とか「先生、ゲームやろう!」などの声が次々と上がっている。
「みなさんは入学したばかりだから、一応こういう学校施設しせつがあるということを紹介しょうかいしておきます。休み時間に使用する場合には、担任の許可が必要です。事前に連絡れんらくしないと、かぎがかかっていて入れません」
「今日は、何をするんですか?」
「ゲーム感覚で問題が解けるソフトを使って、小学校の復習問題をやります。早く解けた人から、好きなことに使っていいです。絵を描いてもいいし、インターネットを使って何か調べてもいいし」

みんなはパソコンに向かって、いっせいに問題を解き始めた。いつもは机に置かれたノートやプリントに向かうのに、変な感じだ。問題は正解の番号を選択せんたくするものだったので、そんなに難しくなかった。そのため、十五分もったころには、たいていの人が問題を終え、先生に教えてもらいながら好きなようにパソコンを使っていた。

わたしは文字を書くソフトを使って、ダイくんとこっそり会話をすることにした。このソフトは、お父さんのパソコンを借りて使ったことがある。幸い、となりの席にはだれもすわらなかったし、先生の位置からは、パソコンの画面がじゃましてダイくんが見えなくなっていた。

ダイくんは字を書くことはできないけど、字を読むことはできる。マンガだって読んでるくらいだし。わたしは、ひらがなで入力する方法を選んで、どうやって文字を打っているのかがわかるように、ダイくんに手元をゆっくり見せながら文を書いてみた。

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