前号までのあらすじ
佐藤成一さんの記録によると、紫の霧に包まれた島に小さな恐竜たちがすんでいるようだった。おじいちゃんのパソコンからも「紫の霧」という名前のフォルダが見つかって……。
紫の霧に包まれた、地図に載っていない島。ダイくんはそこからやってきたのかな。おじいちゃんも、佐藤成一さんがたどりついたのと同じ島に出会い、ダイくんをそこから連れて帰ったのだろうか。
わたしがそう言うと、お父さんは
「それはないな。そんな特殊な環境で育った生物を、むやみに外へ連れ出すような危険なこと、おじいちゃんがするわけがない」
と断言した。
たしかに。
「何か、やむを得ない理由があって、ダイくんを連れて帰ってきたんだろうね。ダイくんは何か覚えていないかな」
「うん、聞いてみるね」
いつものようにダイくんと遊んでいるとき、何気なく聞いてみた。
「むらさきのキリ? キリってなに?」
ダイくんはきょとんとしていた。わたしは図書館へ行って、霧の写真がたくさん載っている本を借り、ダイくんに見せた。
「このもやもやのこと? よくわかんないなあ」
やっぱり、だめか。
それ以来、たいした手がかりが見つからないまま、時が過ぎていった。
お父さんが、夏休みになったらダイくんを連れてアメリカに遊びにおいでと言ってくれた。佐藤成一さんの船が発見された場所はわかっているから、そこまで行ってみようという話だった。もちろん、ダイくんの身の安全が保障できる状況だったら、という条件つきだけど。
お父さんやお母さんに会えるのはとってもうれしい。ダイくんの元気な姿も見せてあげたい。でも、もし船に乗っている間にダイくんが記憶を取り戻して、島への行き方がわかってしまったら……。もう、ダイくんと暮らすことはできなくなってしまうんだ。
記憶って不思議だ。
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