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POPY Novels 魔法使いのステージ
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魔法使いのステージ(奇跡)
第4話奇跡きせき

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

奏太そうたにベースをかないかとさそわれたかなあこがれの「ポニー」の演奏を見て、やりたいと思い、母親に打ち明けたが反対される。しかし、奏太がいい方法を思いついたと言い出して……。

「うちの親を説得する方法って?」
「うん。奏の親がバンドに対してどんなイメージを持っているかわからないけど、いろんなバンドがあるからさ。実際にライブを一緒いっしょに見てもらうのがいいと思うんだ」
「えっ、だれのライブを?」
「もちろん、『ポニー』のさ。奏だって、『ポニー』のライブを見たことがきっかけで、やってみたいと思ったんだし」

奏太は得意満面のみでそう言うと、わたしに一枚のチラシをわたした。
「ここに次の『ポニー』のライブについて書いてあるから。誘ってみなよ」

まだ学校に残るという奏太に手をって、わたしとハルカは歩き出した。
「いいアイディアじゃない!」

ハルカはそう言うけど、わたしは気が重かった。
「行くって言ってくれるかなあ……」
「やってみもしないであきらめたらもったいないよ」
「そうだよね。ハルカは? オーディションのこと、どうなったの?」
「うん。今ね、演劇とか歌とかを教えてくれる教室に通わせてほしいってたのんでるんだ」
「へえ!」
「まだ、全然OKもらってないけどね。でも、オーディションに応募おうぼすることよりは親の反応がいいから、もう少しねばってみる」

ハルカの目はキラキラしていた。こうやって彼女かのじょは、常に自分が歩きたい道に近づく方法を見つけていくのだろう。

そうだ。わたしだって負けてはいられない!


「お母さん、これ見て」

夕食後、リビングでサスペンスドラマを見ていた母親に、例のチラシを差し出した。
「なあに、これ?」
「『ポニー』ってバンドのライブのチラシ。一緒に行ってほしいの」
「またバンドの話? いやって言ったじゃない」
「お母さんはいやかもしれないけど、わたしはやってみたいの。ちゃんと家族に応援おうえんされて、やっていきたいの」

ともすれば、つまりそうになる言葉のかたまりを前にし出すようにして、わたしは伝えた。こんなふうに自分の気持ちを親にはっきりと伝えたのは、きっと初めてだ。

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