前号までのあらすじ
奏太にベースを弾かないかと誘われた奏。憧れの「ポニー」の演奏を見て、やりたいと思い、母親に打ち明けたが反対される。しかし、奏太がいい方法を思いついたと言い出して……。
「うちの親を説得する方法って?」
「うん。奏の親がバンドに対してどんなイメージを持っているかわからないけど、いろんなバンドがあるからさ。実際にライブを一緒に見てもらうのがいいと思うんだ」
「えっ、だれのライブを?」
「もちろん、『ポニー』のさ。奏だって、『ポニー』のライブを見たことがきっかけで、やってみたいと思ったんだし」
奏太は得意満面の笑みでそう言うと、わたしに一枚のチラシを渡した。
「ここに次の『ポニー』のライブについて書いてあるから。誘ってみなよ」
まだ学校に残るという奏太に手を振って、わたしとハルカは歩き出した。
「いいアイディアじゃない!」
ハルカはそう言うけど、わたしは気が重かった。
「行くって言ってくれるかなあ……」
「やってみもしないであきらめたらもったいないよ」
「そうだよね。ハルカは? オーディションのこと、どうなったの?」
「うん。今ね、演劇とか歌とかを教えてくれる教室に通わせてほしいって頼んでるんだ」
「へえ!」
「まだ、全然OKもらってないけどね。でも、オーディションに応募することよりは親の反応がいいから、もう少しねばってみる」
ハルカの目はキラキラしていた。こうやって彼女は、常に自分が歩きたい道に近づく方法を見つけていくのだろう。
そうだ。わたしだって負けてはいられない!
「お母さん、これ見て」
夕食後、リビングでサスペンスドラマを見ていた母親に、例のチラシを差し出した。
「なあに、これ?」
「『ポニー』ってバンドのライブのチラシ。一緒に行ってほしいの」
「またバンドの話? いやって言ったじゃない」
「お母さんはいやかもしれないけど、わたしはやってみたいの。ちゃんと家族に応援されて、やっていきたいの」
ともすれば、つまりそうになる言葉のかたまりを前に押し出すようにして、わたしは伝えた。こんなふうに自分の気持ちを親にはっきりと伝えたのは、きっと初めてだ。
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