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POPY Novels 2
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ソラシ(太陽のつくり方)
第2話太陽のつくり方

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

小説家になりたい夢を持った空志そらしの前に、妙な石が現れた。石は、科学が発達しすぎて人々が空想する力を失った未来から、空想を採取しにやってきたという。

夕食後、ぼくはすぐに部屋にもどり、机の前にこしかけてぼんやりしていた。

正直、夕食のメニューが何だったか、ちゃんと覚えていない。さっきの石のことが気になって頭からはなれないのだ。

あれは本当に起こった出来事か。それとも、ぼくの空想の産物か。時間がてば経つほど、本当にあったなんて信じられない。石は消えてしまったし、ぼくの手元には証拠しょうことなるものが何一つないのだ。

しかし、もし本当で、また石がやってきたら? 質問に答えられなかったら、ぼくは空想する力をうばわれてしまう。

ぼくは、机の引き出しから、まだ使っていない真っさらなノートを取り出した。なんとなく、表紙に「ソラシ」とだけ書く。同じようなノートがたくさんあるためだ。

表紙を開いて、記念すべき一ページ目に、今日の日付と出来事、石からの質問、それに対するぼくの答えをメモした。

メモだから、当然ぐちゃぐちゃ。それを見ているうち、今日の出来事をちゃんと文章にまとめてみたくなった。

机の横のたなから、兄さんにもらったノートパソコンを取り出す。兄さんが高校に合格したときに買ってもらったものだから、もう五年も前のものだ。インターネットもつながっていない。

電源を入れて、文章を打つためのソフトを起動する。ぼくは黙々もくもくと文字を打ち始めた。パソコンで文章を書くなんて久しぶりだ。前は日記をつけていたけど、いつかだれかに読まれるかもしれないと思うと、なんだかあたりさわりのないことしか書けなくなった。本当にあるかもわからない機会についてまで、びくびくしてしまう自分にも嫌気いやけがさして、いつしかやめてしまった。

気が済むまで書き終えて、一息つく。パソコンを使い慣れていないせいか、手を止めたとたん、一気につかれを感じた。

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