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POPY Novels 2
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ソラシ(雲の材料)
第3話雲の材料

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

未来から空想を採取しにやってきた石の質問に答えることになった空志そらし。たまたま自力で空想の世界へ入りむ方法を見つけてしまったが、石が言うには危険な方法らしい。

今日の最後の授業が、突然とつぜん自習になった。課題としてプリントが配られたが、二十分とかからないもので、「あとは各自時間を有意義に使うこと」という指示があった。

一瞬いっしゅん教室はいたが、代理できた松崎まつざき
「おまえらは、受験生なんだぞ」の声に、えた空気が充満じゅうまんした。

それでも松崎が去ってからは、教室はいささか活気を取りもどし、近くの席どうししゃべる者、単語帳やワークを取り出して始める者、本を読むものなど様々だった。

ぼくは、ぼんやりと窓の外を見ていた。教室の大きな窓は、上から三分の二が空でめられていた。あとの三分の一はグラウンドで、その奥には道路が見える。

今日の空は、雲が多いな。

雲はどうやってできたことにしよう。

空の色のように、絵の具でれないこともないが、ああしてふわふわとただよっている感じは、ただ空の青地に白を塗ったというだけでは、おもしろくない。

白くて、ふわふわしてるもの……。
「空志!」

ハッとして我に返ると、山ちゃんとマサルがこっちを見ていた。
「もう、授業終わったぜ」
「おまえ、てたの? まさか、徹夜てつやで受験勉強してるとか?」

二人がかわるがわる話しかけてくる。今、何かいいアイディアがかびそうだったのにな。
「そんなわけないだろ。第一、受験受験って、来年の話だろ」

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