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ヒゲおやじ先生の脳コラム

篠原菊紀先生

諏訪東京理科大学教授(脳神経科学・応用健康科学)、学生相談室長。東京大学大学院教育学研究科修了(健康教育学)。NHK夏休み子ども科学電話相談など、TV、ラジオ、雑誌での仕事も少なくない。『キレない子どもの育て方―脳のシステムを知れば分かる!』(集英社)、『未来の記憶のつくり方―脳をパワーアップする発想法』(化学同人)、『2歳〜5歳児の脳を育てる子ども体操』(講談社)など著書多数。

2012年5月号 『ドリるん』は知能を伸ばします
ほほえみお母さん&お父さん」5月号より
『ドリるん』は単なるドリルではないんです!それは…という今回のお話。最近の研究結果の紹介を交えて、ワーキングメモリをキーワードに説明してくださいます。
ワーキングメモリが鍛えられれば流動性知能が向上する

ミシガン大学のSusanne JaeggiらはNバックトレーニングと呼ばれるワーキングメモリのトレーニング法を使って、平均年齢9歳の子どもたちに1か月トレーニングをしました。1回15分、週5回のトレーニングです。

その結果、トレーニング期間でNバック成績が向上した子どもたちは、同じ期間、知識学習を行った子どもたちより流動性知能(Gf)の成績が向上しました。3か月後の調査でも同様でした。

流動性知能はいわゆるIQテストで測定される知能です。そしてその成績が学業上の成功や職業上の成功とかかわることが知られています。ミシガン大の研究では非言語知能テストとレーベン・マトリックスで測定しました。

つまりNバックがトレーニングになった子は賢くなったというのです。

Nバックトレーニングとは?

ではNバックトレーニングとはどのようなものでしょうか?下図のような実験です。

ディスプレイに左の画像が次々と出てきます。そして「1個前」と同じか違うかボタンを押します。15回のトライアルで3個以下の間違いなら合格、今度は「2個前」と同じか違うか答えていきます。これも合格なら「3個前」、「4個前」と難しくなっていきます。そして「4個前」が不合格なら「3個前」に戻ります。

N個前と同じか違うかを答えるので、Nバックと呼ばれます。たとえば「3バック」なら3個分の画像を記憶しておく必要があるわけで、脳のメモを使う典型的なワーキングメモリトレーニングです。

ワーキングメモリは何らかの作業(ワーキング)をするための記憶(メモリ)。ちょっと頭にメモして別の作業をしたり、そのメモを加工したり。この力が思考や計画やコミュニケーションの基礎になる力だと考えられています。

ポピっこ『ドリるん』はワーキングメモリトレーニングの宝庫

ワーキングメモリの力が伸びれば流動性知能も伸びる。それを示したのがミシガン大の研究です。

ちょっと頭にメモして別の作業をしたり、そのメモを加工したりする。そういう視点から『ドリるん』を見てください。すると『ドリるん』がワーキングメモリトレーニングブックでもあることがわかるはずです。

わたしたちは『ドリるん』にワーキングメモリトレーニング性を持たせるために、何度も話し合い、問題を工夫しました。そして『ドリるん』が実際にワーキングメモリ関連脳部位(背外側前頭前野、言語野、前部帯状回、上頭頂小葉)を活動させているかどうか、毎夏、多チャンネルNIRSという脳計測機器で調べています。

残念ながらNIRSでは脳の内側にある前部帯状回の観測はできませんが、それ以外の脳部位は『ドリるん』で鍛えられています。みなさん、『ドリるん』を使って子どもたちのワーキングメモリを鍛えてください。知能を伸ばしてください。

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