
プロ直伝!手づくりキッズスペースの作り方
インテリアコーディネーターの片柳通行さんに、「あそび」と「くつろぎ」のキッズスペースづくりを教えていただきました。
目次
子どもにとっておうちは、ただ生活する場所ではなく、毎日を過ごしながら心と体を育んでいく大切な環境です。思わず夢中になってあそびたくなる「わくわくする場所」と、ホッとできる「くつろげる場所」の両方があることで、子どもは自分の気持ちに合わせた過ごし方ができます。たくさんあそび、挑戦し、時にはゆっくり休む。そのくり返しの中で、子どもたちは好奇心や創造力、安心感を育んでいくのです。だからこそ、おうちのあそびエリアとくつろぎエリアを意識して整えることは、子どもの健やかな成長を支える大切な環境づくり。今回、子どもが喜ぶあそびエリアとくつろぎエリアのつくり方とコツを、インテリアコーディネーターさんに教えていただきました。2つの空間をゆるやかにつなげることで、暮らしになじむキッズスペースがつくれます。

片柳通行さん(流山アーティサンズ合同会社)
(一社)日本フリーランスインテリアコーディネーター協会所属。リフォーム・設備工事業を営むインテリアコーディネーター。暮らしやすさ・使いやすさ・心地よさを大切にした空間づくりを提案している。
子どもが夢中になる手づくりキッズスペース:わくわくあそびエリア

今回ご紹介するわくわくあそびエリアは、大きなダンボールを組み合わせてつくるドライブスルー&カフェです。お子さんはお店の人になって「いらっしゃいませ!」、おうちのかたはお客さんになって「これください!」、自然と楽しいごっこあそびが始まります。下の写真のように段ボールを組み合わせるだけで、 あっという間にドライブスルー&カフェカウンターの完成です。

用意するもの
- ダンボール(大)
※家電の箱など大きいものが◎。ホームセンターでもダンボール板を購入できます。 - カッター
- ガムテープ・布テープ
- マスキングテープ
- 飾り小物(おもちゃ・プラカップ・手書きメニューなど、お好みで)
つくり方
- STEP1 ドライブスルーコーナーの囲いのベースを作る
- STEP2 窓を2か所くり抜く
- STEP3 窓口に屋根とカウンターを付ける
- STEP4 囲いをコの字型に固定し、突っ張り棒とカーテンを取りつけて、ドライブスルーコーナーが完成!
- STEP5 カフェカウンターを設置し、マステでドライブスルーからカフェへの動線をつくる
- STEP6 飾り付けをして完成!
STEP1 ドライブスルーコーナーの囲いのベースを作る
大きなダンボール板を用意し、2箇所に折り目をつけてコの字型に曲げられるように、ドライブスルーコーナーの囲いを作ります。ケガの防止や強度を増すため、ダンボールの上下左右の断面にはガムテープを貼っておきましょう。(複数のダンボールを継ぎ足して囲いを作る場合は、段ボールのつなぎ目もテープでしっかり固定しましょう。)

STEP2 窓を2か所くり抜く
お子さんの手が届く高さの窓を2つくり抜きます。1つが注文窓口、もう1つが商品お渡し口です。窓を隣り合う面に設けることで、「注文してから移動して受け取る」という自然な動線が生まれます。

STEP3 窓口に屋根とカウンターを付ける
窓口の上にダンボールを折って屋根を取り付けたり、窓口の下にカウンター台をつくったりすると、一気に本物らしい雰囲気になります。屋根は色画用紙などでしましま模様にするのもかわいいですね。
カウンター部分はダンボールを重ねてつくり、切り口や角をガムテープで補強すると強度が増して安心です。ちょっとした小物が置けます。なお、重いものを載せたり、体重をかけたりしないよう注意しましょう。

STEP4 囲いをコの字型に固定し、突っ張り棒とカーテンを取りつけて、ドライブスルーコーナーが完成!
ダンボールをコの字型に折り曲げ、段ボールがない側に、突っ張り棒を通し、カーテンを取りつけます。突っ張り棒を通すことで囲いが安定して丈夫になる上、カーテンが加わることでお店らしい雰囲気が生まれ、子どもたちもよりごっこあそびの世界に入り込めます。

STEP5 カフェカウンターを設置し、マステでドライブスルーからカフェへの動線をつくる
ドライブスルーコーナーの横にカフェカウンターを設置します。カフェカウンターは、ダンボール箱を2つ横に並べるだけでOK。ご自宅のミニテーブルやカラーボックスを置くのでもかまいません。
床にはマスキングテープで「ドライブスルー」や「STOP」の文字や矢印を貼ると、ドライブスルーらしさがぐっとアップ! お子さんが三輪車やキックバイクで「ここで止まる」ルールも自然に身につきます。

STEP6 飾り付けをして完成!
おもちゃのカップやお皿を並べて、手書きのメニュー表を貼れば、もう立派なカフェの完成! 飾り付けはお子さんと一緒にやるのがおすすめです。「どこに置く?」「何のお店にする?」と話しながらつくると、あそびへの気持ちがより一層高まります。

ここがポイント!「なりきり」が深まるひと工夫
ごっこあそびを深めるには、子どもの想像力を自然に引き出しす空間の「配置」と「しかけ」にコツがあります。インテリアコーディネーターの片柳さんに教えていただきました。
ポイント1 意識して、あそびの動線をつくる
今回のドライブスルーは、注文窓口と商品お渡し口の別々の面に設けています。これは単なるデザインではなく、「役割が自然に生まれる」ための工夫です。窓口がひとつだけだと、子どもはそこに立ち続けるだけになりがち。でも2箇所に分けると、「こっちで注文して、あっちで受け取る」という流れが生まれます。この「移動」が、ごっこあそびをぐっとリアルにしてくれます。
ポイント2 おうちのかたの「参加」がごっこあそびをさらに広げる
せっかくつくったキッズスペース、おうちのかたも一緒に楽しんでしまいましょう! 大人が「いらっしゃいませ!」「これください!」と本気で参加すると、子どものテンションが一気に上がります。
おすすめの参加方法
- お客さん役になって、窓口から注文してみる
- 「今日のおすすめは何ですか?」と質問してみる
- 子どもと一緒にメニュー表を手づくりしてみる
- 「お金」代わりの折り紙やカードを用意する

子どもが夢中になる手づくりキッズスペース:ゆったりくつろぎエリア

いっぱいあそんだ後は、ほっと一息つける場所があるといいですね。「おこもりドーム」は、お昼寝したり、好きな本を読んだり……と子どもが自分の世界に没入できるくつろぎ空間に最適。
既製のキッズテントや椅子・テーブルを組み合わせたものに光が透けるカーテンや薄手の布などをかけるだけでもOKですが、今回は少し本格的に塩ビパイプでのつくり方をご紹介します。

用意するもの
今回使用した塩ビパイプと継手(接続部分)の種類・サイズは下記一覧をご参照ください。
| HIVPパイプ(濃いグレー色)またはVPパイプ(薄いグレー色) [サイズ:13] ・60cm……7本 ・80cm……6本 ・50cm……6本 | ![]() ![]() |
| HI継手(濃いグレー色)またはTS継手(薄いグレー色) [サイズ:13] ・45°エルボ……17個 | ![]() ![]() |
| HI継手(濃いグレー色)またはTS継手(薄いグレー色) [サイズ:13] ・チーズ……6個 | ![]() ![]() |
※お部屋の広さやつくりたいドームの大きさに合わせて、パイプの長さや本数を調整してください。
つくり方
- STEP1 塩ビパイプ(ポリ塩化ビニル管)をホームセンターでカットしてもらう
- STEP2 パイプを組み立ててフレームをつくる
- STEP3 薄手のカーテンをかける
- STEP4 中にクッションやラグを敷いて、くつろぎ空間の完成!
STEP1 塩ビパイプ(ポリ塩化ビニル管)をホームセンターでカットしてもらう
つくりたいドームのサイズに合わせて、必要な長さをあらかじめメモしておきましょう。継手もホームセンターでまとめて購入できます。

STEP2 パイプを組み立ててフレームをつくる
継手を使ってパイプをつなぎ合わせ、ドームの骨組みを組み上げます。工具は不要で、はめ込むだけで固定できます。お子さんと一緒に組み立てるのも楽しいひとときになりますよ。



STEP3 薄手のカーテンをかける
フレームに薄手のカーテンや布をふんわりかぶせましょう。入り口部分は開けておくと出入りしやすく、お子さんが自分で入れるようになります。


STEP4 中にクッションやラグを敷いて、くつろぎ空間の完成!
お気に入りのぬいぐるみや絵本を持ち込んで、ふかふかのくつろぎ空間でゆったりと過ごしましょう。

家にあるものでつくる場合は……
塩ビパイプがなくても大丈夫。骨組みになるものなら何でもOKです。
- 既製のキッズテント
- 椅子やテーブルを組み合わせたもの
- 蚊帳など

ここがポイント!子どもが「ホッ」とできる、ワンランクアップ空間にするには?
おこもりドームをさらに居心地のよい空間にするにはコツがあります。インテリアコーディネーターの片柳さんにコツを教えていただきました。
ポイント1 暖色系の照明や心地よいラグで、くつろぎ度をアップ!
子どもがホッとできる空間には、視覚や触覚などへのやさしい配慮が大切です。まぶしさを抑えた暖色系の照明を用いることで、安心感や落ち着きを与え、心穏やかにします。また、クッションやラグ、毛布などの柔らかい素材を取り入れることで、包み込まれるような心地よさを感じられます。やさしい光と柔らかな手触りが、子どもに安心感を与え、リラックスして過ごせる居場所を作ることができます。
照明で「あそびモード」↔︎「おやすみモード」の変換
ドームの中にLEDストリングライトを沿わせるだけで、空間の雰囲気がぐっと変わります。オレンジがかった温かい光は気持ちをリラックスさせ、まるで星空の下にいるような特別な感覚を生み出します。
「照明が変わったらおやすみの時間」というルーティンにすると、生活リズムの切り替えにも役立ちます。昼間の白い光から暖色系の光に変えるだけで、お子さんの気持ちも自然と落ち着いていきます。
| 光の色 | 暖色系(電球色)がおすすめ。2700〜3000Kが目安 |
| 電球の種類 | 必ず発熱しないものを選ぶ |
| コードの処理 | コードは布の内側に隠す。電池ボックスは子どもの手が届かない場所に固定し、就寝時は消灯する |
ポイント2 グリーンを添えて、さらに心和む空間に
植物を取り入れた自然を身近に感じれらる環境は、子どもの心を落ち着かせる効果が期待できます。さらに、緑色には視覚的なリラックス効果があり、ストレスや緊張の軽減にもつながります。キッズスペースには、水やりや剪定などの手入れが不要で、枯れる心配のないフェイクグリーンがおすすめ。虫の発生や土の飛散もなく、衛生面や安全面に配慮した気軽な緑の演出ができます。
グリーンの取り入れ方のアイデア
- フェイクグリーンのガーランド(入り口や天井に沿わせる)
- 小さな観葉植物(パキラ・ポトスなど。子どもの手が届かない場所に)
- 木目のかごやコースターなどナチュラル素材の小物
まとめ
キッズスペースづくりというと、「広い部屋が必要そう」「大がかりなリフォームが必要そう」と感じるかもしれません。しかし実際は、ダンボールや布、ラグ、クッション、ちょっとした灯りなど、身近なものを活用するだけでも、子どもにとって特別な空間をつくることができます。
大切なのは、子どもが安全に、そして主体的にあそべる環境を整えること。思い切り体を動かしてあそぶ「動」のエリアと、絵本を読んだりくつろいだりできる「静」のエリアをゆるやかに分けることで、子ども自身が気持ちを切り替えながら、自分のペースで過ごせるようになります。また、保護者が見守りやすいレイアウトや、透け感のある布などを使ったゆるやかな仕切りも安心につながります。
さらに、ぶつかっても痛くない素材を選んだり、家具の角や出入り口に配慮したりするなど、安全面へのひと工夫も忘れずに。完成度の高い空間を目指すよりも、「ここで何してあそぼうか?」「どんなお店にしようか?」と親子で相談しながら一緒につくる時間そのものが、かけがえのない思い出になります。
たくさんあそべる「わくわく空間」と、ほっとくつろげる「おこもり空間」。おうちの一角にそんな小さな居場所があるだけで、毎日の暮らしが少し豊かになります。ぜひ、親子だけの特別なあそび場づくりを楽しんでみてください。
制作/片柳通行 撮影/斎藤泉 取材・編集協力/東京通信社
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