
防災士が教える! 子どもと安心して過ごすための子連れ避難の4つのポイント
どうする!? 災害
防災士が、子連れ避難の4つのポイントを紹介。子どもとの避難生活に向けた準備や心構えを整理します。
大規模地震や水害などの災害時、一番大切なことは、命を守ること。しかし、小さなお子さんを抱えるご家庭にとってはその後の「避難生活」が大きな課題になります。避難所へ行くべきか、自宅で過ごせるのか、子どもの安全や心のケアをどう確保するのか──事前に考えておくことで、いざというときの不安を軽減できます。今回は、防災士の棒田さんの取材を交えながら、子どもとの避難生活に向けた準備や心構えを整理します。

棒田 明子(ぼうだ あきこ)さん
防災士。元育児雑誌編集者。東日本大震災後は、震災前より交流のあった岩手県大槌町に4/9に入り、避難所に宿泊しながら母子をサポート。現地での支援とメールと電話によるサポートや仮設住宅集会所で子育てサークルを結成! 現地の家族、仲間、保育園などとは現在も交流を続けている。熊本、石川などでは、妊婦、0歳児家庭を中心にサポート活動を行う。
避難する? しない? わが家で考える判断の目安
大きな災害が起きたとき、私たちはまず「どこで過ごすのが安全か」を考える必要があります。避難場所の選択肢にはいくつかあり、代表的なものとして「自宅にとどまる(在宅避難)」「避難所に行く」「親戚や知人宅に避難する」「ホテルや旅館を利用する」があります。それぞれの特徴を整理しました。
在宅避難
自宅の安全性が確保できるなら、大人も子どもも、もっとも安心できるのは住み慣れた家で過ごすことです。特に小さな子どもは環境の変化に敏感で、慣れない場所での生活は大きなストレスになります。在宅避難が可能かどうかは、建物の耐震性やライフライン(水道・電気・ガス)の状況次第ではありますが、準備をしておくに越したことはありません。災害時にしばらく自宅で過ごすには、食料や水の備蓄、トイレの確保など、具体的な準備が欠かせません。
避難所
行政や地域が設置する避難所に行けば、食料や水、情報などの支援が得られる可能性があります。しかしながら、大人数で過ごす場所ではプライバシーが守られにくく、子どもの泣き声、授乳やおむつ替えに気を遣うこともあります。子どもに必要な物資が必ずしも十分にあるとは限らない点も大きな課題です。不慣れな環境で過ごすことは子どもにとってストレスになりがちです。
親族・知人宅
信頼できる親戚や友人の家に身を寄せられる場合は、子どもにとっても安心できる環境になるでしょう。ただし移動の安全性をよく確認しておく必要がありますし、相手の都合や負担も事前に相談しておくことが大切です。
ホテル・旅館
費用はかかりますが、設備や衛生面が整ったホテルや旅館を利用する方法もあります。子どもが落ち着ける個室空間を確保できるのは大きなメリットです。自治体によっては、また災害の程度によっては、行政から費用の支援があります。
こうした選択肢は「災害が起きてから」考えるのではなく、事前に家族で話し合い、「どんな状況なら避難所に行く」「こういう場合は自宅にとどまる」と基準を持っておくことが、慌てず行動するためのポイントです。
子どもとの避難で注意すべきこと
子連れ避難のタイミングは「警戒レベル3(高齢者等避難)」

避難のタイミングはとても重要です。小さな子どもを連れての移動はどうしても時間がかかりますし、混乱に巻き込まれるリスクも高まります。国や自治体が推奨しているのは「警戒レベル3(高齢者等避難)」の段階での行動開始です。これは「高齢者」だけでなく「避難に時間がかかる人」が対象です。この時点で避難を始めると余裕を持って移動でき、子どもも落ち着いた状態を保てるので避難しやすいことでしょう。
避難時、ベビーカーを使いたくなるかもしれませんが、災害時には道路が隆起・陥没していたり、物が落ちていたり、冠水していたりして安全な移動の妨げになる場合が多いです。無理して持って行かずに置いていきましょう。小さなお子さんは抱っこよりも、足元が見えるおんぶで移動するのが安心です。5メートル程度のさらしを用意しておくと、5歳児くらいまではおんぶが可能です。日常の家事をする時などに使っていれば、いざという時にもさっとおんぶできます。
避難経路は地震・水害をイメージして確認しましょう

避難経路は事前に確認しておきましょう。昼間と夜間、雨天時など状況によって安全な道は変わります。可能であれば、子どもと一緒に実際に歩いて確認しておくと安心です。「地震が起きたらこのブロック塀は危険かも」「水害の時は別のルートのほうが浸水リスクが低そうだ」など、ハザードマップも併せて確認するとよいでしょう。また、もしはぐれてしまった場合の集合場所と時間(1日1~2回)も決めておきましょう。「避難所の体育館入り口に●時集合」「●●公園のブランコの前に●時と●時に集まる」など、子どもにもわかりやすい目印を設定するのがポイントです。
子どものものを準備しておこう
避難所には最低限の物資しか用意されていないことが多く、特に子ども向けのものは不足しがちです。そこで、家庭であらかじめ子どものものを準備しておきましょう。自分で背負って動ける年齢なら「子ども専用の持ち出し袋」を作ってもいいでしょう。
基本セット例

- おむつ、おしりふき
- 粉ミルク、哺乳瓶、離乳食(レトルトやパウチタイプ)
- アレルギー対応食品
避難所には対応食品が用意されていないことが多いため、ご家庭で最低2週間分を準備しておくことをおすすめします。 - 子ども用スプーンやストロー
- 着替え一式、タオル(授乳ケープにもなるものがおすすめ)、ビニール袋
- 好物のおやつ、ジュース
食べ慣れたものが安心です。 - お気に入りのおもちゃやぬいぐるみ、絵本
周囲に迷惑がかからないように、なるべく音の出ないもの(シール帳や塗り絵、トランプ)がおすすめです。
「これがあれば子どもが安心する」というものを入れておくことが大切です。特に食べ物や飲み物は、普段から子どもが口にしているものを優先して備えておくと、避難生活での安心感につながります。
また、授乳やおむつ替えのスペース確保も課題になります。避難所では仕切りがない場合も多いため、余裕があれば簡易テント、折りたたみ式のシートなどがあると安心です。
避難所での過ごし方と子どもの心を守る工夫

避難所生活は、子どもにとって心身のストレスが大きいものです。子どもは環境の変化に敏感で、不安や緊張から体調を崩してしまうこともあります。
そこで大切なのが「生活リズムをできる限り崩さないこと」。
- 朝起きる時間を意識的に整える
- できるだけ日中は体を動かし、夜は静かに過ごせる環境をつくる
- スキンシップを心がける
また、避難所では周囲の人との距離感も問題です。避難所では誰もが落ち着かない心を抱えて過ごしています。子どもが大きな声を出したり、走ったりすると、叱られてしまうかもしれません。逆に、子どもが周囲を気にして不安になることもあります。親が意識して周囲との関係を調整してあげることが、子どもの安心につながります。
そして、見落としがちなのが「保護者自身の休息」です。無理をせず、周囲の人と協力して休む時間を確保することが、子どもの心を守るためにも欠かせません。
地域とつながって助け合える関係を
避難生活を少しでも安心して過ごすために、平時から地域とのつながりを持っておくことも大切です。災害時の避難所の運営は町内会です。ぜひ町内会の防災訓練に参加してみてください。近所の人と顔を合わせて話すといった日常的な関わりが、災害時の助け合いにつながります。「町内会の連絡先も知らない」という方は、自治体の社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。
また、行政やNPOなどが提供する子育て世帯向けの支援や相談窓口を、事前に把握しておくと安心です。ミルクやおむつなどの配布、授乳スペースの確保、心のケアに関する相談など、平時から情報を整理しておくことで、災害時の不安を大きく減らせます。
他に、親子で一緒に防災アプリやラジオアプリをインストールするのもいいでしょう。携帯電話を持っていてもつながらない場合もあるので、公衆電話の位置を確認し、電話のかけ方を練習しておくと安心です。保護者の連絡先とともに10円玉やテレフォンカードを携帯、併せて「災害用伝言ダイヤル(171)」の使い方を練習しておくと、電話が通じなくても連絡が取れますね。
まとめ
子どもと一緒に迎える避難生活は、大人だけの避難に比べて配慮すべき点が格段に多くなります。「避難するのか、自宅に留まるのか」「どこに避難するか」「いつ避難するか」「何を持っていくか」「どう過ごすか」──事前にイメージし、準備しておくことで、不安や混乱は大きく減らせます。大切なのは、子どもが「安心できる環境」を守ること。そのために必要なのは特別なことではなく、普段から子どもが大切にしているもの、親子で共有している習慣を災害時にも持ち込む工夫です。
「自分だけで抱え込まない」「地域とつながる」「大人が落ち着いて行動する」。この3つを意識するだけでも、子どもとの避難生活はずっと乗り越えやすくなります。
地震の際に自宅で安全を確保するためにしておくべき家具の配置や動線などの工夫はこちらをご覧ください。
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地震時の安否の分かれ目!自宅にセーフティゾーンを作ろう! >
災害時のライフラインがストップしてしまった時のための備えもご覧ください。
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また、どこかに避難しなくてはいけなくなったときの備えとして、防災リュックも用意しておくとより安心ですね。
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文/那須由枝 イラスト/sayasans 編集協力/東京通信社
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