園生活でのトラブル
園生活Q&A
夏休みが明けてすぐは、ちょっとしたトラブルが増えやすい時期。園生活に慣れてきたからこそ出てきてしまう問題について、東京家政大学児童学部児童学科の前田和代先生に伺いました。
Q1 友だちとけんかしたみたい。どうしたらよいでしょうか?
A お子さんの様子をよく見極め、「話を聞く」環境づくりを
「きょう、けんかしたんだ」とお子さんから話してくれる場合と、何も話さないけど「なんだか元気がないな、何かあったな」と感じる場合とでは、関わり方は違います。お子さんから話してくれる場合は、「お話聞くよ。どうした?」などと、安心して話せるようにしましょう。あくまでも落ち着いて聞いてくださいね。「誰と? 先生は知ってるの? けがは?」など矢継ぎ早に聞くことはNGです。お子さんも、もやもやした気持ちを抱えています。そこを焦らせてますます困らせないことが大切です。一方、「何かあったな」と感じる場合は、焦って聞き出そうとせず、おやつを一緒に食べるなどしながら「きょう、ママね…」と先に自分のことを話し、お子さんが自分から話したくなるような雰囲気づくりをしましょう。それでもなかなか話し出さないようなら「なにか嫌なこと、あった?」と聞いてみてもよいと思います。“ちゃんと、気づいてくれた”という安心感につながるでしょう。
いずれも、大切なのは「おうちのかたは制裁者ではない」ということ。出来事をジャッジするのではなく、あくまでも「話を聞く」ことを優先します。第一優先はお子さん自身が自分で「これがいけなかった」「○○したい」など自分の気持ちに気づくことです。そして、その気持ちにおうちのかたが共感することで、お子さんは安心して気持ちを切り替えられるでしょう。共感するときは、感情的にならず、冷静に聞く姿勢を忘れないでくださいね。
「けんか」というと、心配になりますが、「けんか」は自分の思いを他者に伝える、相手の思いに気づくという経験にもなります。人と関わる力を育む機会でもあるのです。
Q2 夏休みを経て、登園をしぶるように。どうしたらよいでしょう。
A 家族でいるときは、ゆっくりと休息できるように
夏休みが終わる前にお子さんだけでなく家族みんなで生活リズムを整えましょう。起床時間、昼食時間、夜の過ごし方などの時間の使い方を見直します。また、園バッグや園服の用意など身支度に関する準備も前もって行い、スムーズに生活リズムを取り戻せるようにしておきましょう。さらに、担任の先生や友だちを話題にしたり残暑見舞いを出したりして、「みんなと会うのが楽しみだね!」と話題にするのも効果的です。
新学期がスタートしてからの登園しぶりは、久しぶりの園に対する緊張や不安から起こります。しかし、以前の園生活を思い出したり、先生や友達と再会したりすることで、登園しぶりが短時間で終了することも多いです。必要以上に心配することはありません。
一方で、新学期がスタートしてすぐに運動会に向けての活動などがあり、慌ただしくなることもあるので、お子さんが心身ともに疲れてしまわないよう、家庭ではゆっくりと休息できるようにしてあげてください。
また、新学期になっていきなり大泣きしたり、「園に行きたくない」と頑なに言う場合には、最初は頑張っていたけれど、本当は「もっとおうちのかたといたい、甘えたい」という思いが原因のことも。そんなときは、お子さんの気持ちを受けとめつつ、「ママと○○ちゃんの秘密ね」などと言って園の帰りにおやつを買ったり、ときには寄り道をしてみたりして気分転換をするのも有効です。このときに大切なのは「園に行ったからご褒美」ではなく「きょうはちょっと特別(秘密)」というワクワク感をもたせること。親子で一緒にワクワクする時間を過ごすことで、お子さんの気持ちが満たされます。
イラスト/内田コーイチロウ