発表会に向けての声かけ&サンタさん、いないんだってと言われたら…
園生活Q&A
発表会の前後にどんな言葉をかける? 子どもが「サンタさん、いないんだって」と言ってきたら、どう応える?
発表会やクリスマスなど、イベントが多い時期には、それにまつわる声かけやお子さんからの思いがけない質問に戸惑うことがありますよね。こんなとき、どのように対処したらよいか、東京家政大学児童学部児童学科の前田和代先生に伺いました。
Q1 発表会に向けて、家でどう声かけしたらよいでしょうか?
A 「間違えないように」など、プレッシャーになるような声かけや、家での過度な練習はNGです。
どの園でも、事前に発表会までの過程や取り組みについて、クラスだよりや園だよりなどでお知らせをします。そこには、おうちのかたに発表会でぜひ見てほしい子どもたちの姿が示されているはずです。というのも、園では、発表会当日のことだけでなく、その日を迎えるまでの子どもたちの育ちを大切にしているからです。また、クラスや学年全体という集団の中で、一人ひとりが友だちと折り合いをつけて協力し、つくりあげていく姿にも成長が見られるでしょう。ですから、当日はぜひ、お子さんだけを見るのではなく、クラス(学年)全体の育ちに目を向けてください。
このような背景を踏まえ、家庭では「セリフを間違えないように」「みんなと同じ動きができるように」などといったプレッシャーになるような声かけや過度な練習は行わないようにしましょう。もちろん、お子さん自身が「一緒にやって!」と望んでいるときは一緒に練習してもかまいません。大切なのは「できる/できない」ではなく、「楽しみ!」とわくわくする気持ちをもつことなのです。
たとえば、劇であればどんなお話なのか、歌であればどんな歌なのかなどを聞いてみましょう。「今日はこんなことをした」などという返事がかえってきたら興味深く聞き、演目ができあがっていく過程をお子さんと一緒に楽しみます。お子さん自身が緊張したり、過程に納得がいってなかったりする場合もあるかもしれません。そんなときは「楽しみにしているね」と話し、意欲につなげましょう。 発表会当日は「かっこよかった!」「どきどきしたね。でも、とてもよかったよ」などと励みになる言葉かけをしてあげてください。お子さん自身は「うまくできなかった」という思いもあるかもしれませんが、個々の出来/不出来に執着せず、「○○組さん、△△がすてきだった!」などと具体的に話し、発表会全体の感想をお子さんと共有していただけたらと思います。
Q2「サンタさん、いないんだって」と言ってきました。親としてはまだ信じさせてあげたい気も……。どうしたらよいでしょうか?
A 「いる」「いない」が答えではなく、どう思うかを話題にしましょう。
「どうしてそう思うの?」などと、質問してみてください。もしかしたら「△△ちゃんが言っていた」などと言うかもしれませんね。そうしたら「○○(お子さん)はどう思うの?」と聞いてみましょう。「いると思う」や「いないと思う」などと、お子さんが出した答えには「そっか、そうだね。」と共感しましょう。「サンタさんはいない」と結論づけるのも「やっぱりサンタさんはいる」と思うのも、その子の思い。その思いを大切にしてあげてください。
「ママはどう思う?」と聞かれることもあるでしょう。それもそのときの気持ちを伝えるだけでよいと思います。「子どものとき、○○だったからいると思っていた。でも大人になったらいなくなった」などという説明でもOKです。
「サンタクロースをずっと信じている=幼い」ということではありません。ファンタジーの世界を楽しむ力があると解釈することができます。反対に、「サンタクロースはいない=現実的でだめ」ということでもありません。考え方が変わるのも育ちです。どちらの思いにも寄り添い、共感することが重要です。
イラスト/内田コーイチロウ