
「おなかが痛い」と言われたら――子どもの腹痛、原因と対処法をクイズ形式で紹介!
必見!ヘルスケア
胃腸炎や便秘、風邪など、子どもの腹痛の原因はさまざま。すぐにお医者さんへ行くべき「危険なサイン」を知っておきましょう。
目次
「おなかが痛い!」突然のお子さんの訴えに、オロオロした経験をお持ちではないでしょうか。おうちのかたは「すぐに病院へ行くべきか、家で様子を見ても大丈夫か」と悩まれることでしょう。小児科医・鈴木先生に、すぐ専門家の対応が必要な「危険なサイン」について、また子どもの腹痛の原因の見分け方やおうちでのケアについてうかがいました。

鈴木 洋 先生
鈴木こどもクリニック 院長
信州大学医学部卒業。東京大学医学部助手、愛育病院新生児科部長を経て東京都墨田区に「鈴木こどもクリニック」を開業。南米をはじめ30か国以上で、日本人の子どもたちの診療や健康相談等に関わってきた。育児や小児の健康に関する新聞・雑誌記事の執筆、著書等多数。
こんな症状は危険!すぐお医者さんに行こう
まず、「ほほえみお母さん&お父さん」に掲載のクイズの答えをみていきましょう。

Q. 鈴木先生 教えて!こんな腹痛は危険!すぐに病院に行くべき症状は? 答えは複数あります。
① おなかにさわると硬く張っている
② 高熱がある
③ 右下腹部が痛い
④ 便がゆるめである
答えは ① ② ③
夜間や休日であれば、救急病院へ向かうか、ためらわずに救急車を呼びましょう。おうちのかたが迷うよりも、まず専門家に判断を委ねることが大切です。
どう見極める?子どもの腹痛のサイン
前述のような緊急性の高いサインがないことが確認できたら、次はその腹痛の原因が何かを探っていきましょう。お子さんの腹痛の原因で最も多いのは、便秘と急性胃腸炎(中でもウイルス性胃腸炎)です。多くが良性で、数日以内に落ち着くことがほとんどです。危険なサインがなければ、まずはこれらの可能性を考え、落ち着いて対処することが大切です。
子どもは痛みの場所や強さをうまく説明できません。言葉よりも、表情や動作、姿勢などのサインに注目してみましょう。少し落ち着いた様子で会話できる場合には、
- どこが痛いのか
→右下腹部なら虫垂炎の可能性もあります - 食前・食後のどちらで痛むか
→食後なら便秘の可能性が高く、食前なら胃酸過多の疑いも - いつから痛いのか
→その時食べたものや飲んだもの、排便の有無などを確認します
をやさしく尋ねてみましょう。
腹痛の原因はいろいろ!便秘やウイルス感染、ストレスも
「おなかが痛い」と言っても、原因はさまざまです。しかし、子どもの腹痛の場合は、胃腸などの消化管が関係していることがほとんどです。他に自律神経の働きに影響を受け、腹痛が起きるケースもあります。
【腹痛の主な原因】
●便秘
排便の間隔が空いたり、硬い便でお腹が張ったりするケース。食後に痛みが強くなる傾向があります。水分不足や食物繊維不足、生活リズムの乱れも影響します。左下腹部を触ると硬い便の塊に触れることも。
●感染性胃腸炎
「おなかの風邪」ともいわれるほど一般的な病気です。腹痛、嘔吐、下痢の症状が出ます。発熱を伴う場合もあります。ほとんどがウイルス性ですが、40℃を超えるような高熱や血便がある場合は、細菌性胃腸炎の可能性も考えられ、より注意が必要です。
・ウイルス性(ノロ、ロタ、アデノウイルスなど)
・細菌性(カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌など)
●ストレス性の腹痛
新しい環境への不安や緊張が、自律神経の乱れを通して腹痛として現れます。機能性腹痛とも呼ばれます。便秘と下痢をくり返すこともあります。
●腸重積・腸閉塞
腸が詰まって便が出なくなる状態で、乳幼児では命に関わることもある緊急性の高い病気です。痛みが波のようにくり返し、強い苦痛を伴います。
以上のほか、風邪やアレルギー症状、虫垂炎などが腹痛の原因として考えられます。
おうちでできる腹痛ケアを知っておこう
緊急度が高くない腹痛の場合は、症状を和らげ、お子さんの回復を助けるようなケアを行います。まずは安静にし、胃腸を休ませることが大切です。
【自宅でできる腹痛のケア】
●水分を補給する
嘔吐や下痢がある場合は、脱水症状を防ぐためにも水分補給が重要です。一番のおすすめは「経口補水液」です。水分と電解質を効率よく補給できるバランスになっています。ただし、一度にたくさん飲ませると吐き戻すこともあります。少量ずつ、頻繁に飲ませるようにしましょう。
スポーツドリンクやジュースなどを欲しがることがあるかもしれませんが、糖分が多いため逆に下痢を悪化させることもあるため、おすすめできません。
●消化の良い食事で回復をはかる
水分補給ができたら、消化の良い食事を与えて回復を早めてあげましょう。胃腸への負担が少なく、脂肪分や糖分が少ないものから始めるとよいでしょう。おかゆやうどん、スープ、バナナ、すりおろしリンゴなどを、様子を見ながら少しずつ与えます。
●痛みの緩和をはかる
お子さんが一番楽な姿勢で休ませてあげましょう。特に便秘の場合は、おへそを中心に、手のひらを使って時計回りに“の”の字を書くようにマッサージしてあげると、腸の動きが促され楽になることがあります。
●自己判断で市販薬を飲ませない!
市販の下痢止め薬は子どもに使ってはいけません。下痢は胃腸炎の原因であるウイルスや細菌を外に出そうとする反応です。下痢止め薬はこの反応を抑えてしまうため、症状の悪化や長期化を引き起こすことがあります。同様に、お医者さんの指示なく痛み止めや解熱剤を与えることも控えましょう。
ただし、症状が続くときには家庭で何かをするより、診察を受けて原因を確かめることが大切です。
日常的な予防策は
便秘になりやすいお子さんの場合は、「水分補給」「食物繊維の摂取」「生活リズムの安定」がポイントです。食事の際に一緒に水や麦茶を飲ませる、食事には野菜や根菜類、こんにゃくなどを取り入れる、朝や寝る前など決まった時間にトイレに行く習慣をつけ、規則正しい生活をするといった基本的なことが大切です。
感染性胃腸炎については、風邪と同様にうがいや手洗いが有効です。発症した場合には、おうちのかたにうつるケースもありますので注意が必要です。家庭内での二次感染が発生しないよう、感染対策をしっかり行いましょう。
心と体はつながっている――“新学期ストレス”に注意
入園や進級など、新しい生活に慣れようとする時期には、心理的ストレスが腹痛として現れることもあります。「朝になるとおなかが痛い」「登園前に泣く」などの様子が見られるときは、体調だけでなく心のサインかもしれません。
自律神経の影響で腹痛が出やすいお子さんもいます。スキンシップをとったり、話を聞いたりして安心させてあげることが何よりの薬になります。無理に原因を探すよりも、安心できる時間を増やし、お子さんの心を安定させることを心がけましょう。
まとめ
おなかの痛みは原因の見分けが難しいことがあります。あちこちの病院を転々とする「ドクターショッピング」は避け、普段からお子さんの様子を知っている小児科や内科のお医者さんに診察してもらうことをおすすめします。かかりつけのお医者さんに、「いつ診察してもらえるのか」「土日や夜間など、診察してもらえない場合はどこに連絡したらいいのか」などを確認しておくと安心です。
子どもの腹痛は、体のトラブルだけでなく、心の不安からくることもあります。
おうちで落ち着いて様子を見守り、少しでも「いつもと違う」と感じたら早めに小児科へ。
そして日ごろから信頼できるかかりつけ医を持ち、相談できる環境を整えておくこと――それが、子どもの体と心を守る何よりの安心につながります。
取材・文/那須由枝 編集協力/東京通信社 イラスト/おおたきょうこ
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