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【第1回】キッチンカー「おとうのパスタ」を姉妹で運営

【第1回】キッチンカー「おとうのパスタ」を姉妹で運営

キラキラママ・パパ

子育てをシェアするキッチンカー「おとうのパスタ」を運営


田村愛子さん(妹)あいちゃん
7歳と、3歳の双子のママ
新免伽奈子さん(姉)おんちゃん
中学一年生のママ

 幼稚園教諭だったあいちゃんと、産婦人科の看護師のおんちゃん。

 子どもに関わる仕事と、自身の子育てを通して、子育てをする親子の居場所作りをしたいと考え、キッチンカー「おとうのパスタ」を始めた姉妹の活動を追います。

始まりは、姉妹で子育てをシェアした経験


 ふたりが、子育てをする親子の居場所作りをしたいと考えるようになったきっかけは、あいちゃん(妹)の双子の出産でした。当時4歳の上の子にもまだ手がかかる中、あいちゃんの双子の出産を機に、おんちゃん(姉)が子育てを手伝おうと、石垣島から地元の京都に戻ってきて、同居することにしたのです。

 おんちゃんの小学生の息子さんもいて、家の中は、それはそれは賑やか。楽しそうに話すおふたりですが、「姉の手助けがなかったら、子育てできていなかったかもしれない」とあいちゃんは言います。

 元々幼稚園教諭として、産婦人科の看護師として、ともに子どもに関わる仕事をする中で、産後うつや虐待のニュースを耳にし、課題意識を持っていたふたり。育児先進国フィンランドでは、ネウボラneuvola(フィンランド語で「相談の場」という意味)という制度があり、ネウボラが育児不安や虐待の解消につながっていると言いますが、あいちゃん・おんちゃんはお互いの子育てを支え合う中で、大変でもある日常がとても楽しいものになった経験を生かして、なにか自分たちにできることはないかという考えが深まっていったそうです。

フィンランドでは、妊娠の兆候が現れるとネウボラに行き、無料の検査を受けるのが一般的。ネウボラはどの自治体にも設置されており、妊娠中に約10回、出産後は約15回、子どもが小学校に入学するまで定期的に通い、妊婦健診や乳児健診、予防接種、子育てに関するあらゆる相談を無料で受けることができるという。(https://eleminist.com/article/1437より)

気軽に誰かとつながれる、親子の居場所作りのために…


  “子育てをする親子の居場所作りをしたい。行政の窓口や地域のサークルより、もっと気軽に誰かとつながれる、立ち寄れる場所を作りたい。”“「子育ては想像するより孤独」それを共感できる大人がもっと身近にいる状況になれば…。”そんな思いで、ふたりが選択したのが、キッチンカーでした。キッチンカーなら、「遠いから私は行けない」というかたに少しでも会うことができるからだそうです。

 「きっちり集まって話さなくても、食を通してちょっとしゃべるという空間で、よりカジュアルに子育てをする親子がつながれれば。もちろん私たちも含めて」とおんちゃん。こうして、キッチンカー「おとうのパスタ」を始めることとなったのです。

自身も支えられながらの、「おとうのパスタ」のスタート


 まず、ふたりは、子育てや仕事の傍ら、自分たちの考えを伝えるWebサイトを立ち上げ、クラウドファンディングで「おとうのパスタ」の資金を募りました。これまで仕事やプライベートで関わってきた多くの親子や、ふたりの想いに共感するかたがたの支援もあり、目標達成額を見事にクリア。キッチンカーを購入し、家族で手作りで内装。おんちゃんの息子さんが「おとうのパスタ」のトレードマークのきりんを描いて…と、翌2023年の6月のオープンに向けて準備を進めました。

 看板メニューは、「おとう」=「ふたりのお父さん」が昔から家族で過ごすときによく作ってくれたという特製レシピのパスタ。ホタテのうま味たっぷりの、トマトソースベースのパスタで、家族の味・思い出の味だそう。

 そのほか、パニーニやアイス、月替わりパフェやドリンクなどもメニューに並びます。

 「いつも同じ味を担保することの難しさや、経営面のことなど、まなばなければいけないことはたくさんあったけれど、私たち自身がコンセプトや思いなどに共感、応援してくださっている方々に支えられていることを感じます。」とあいちゃん。

 グランドオープンイベントでは、お客さんがたくさんいらっしゃって、パスタをつくるのに必死! 気づけば、お客さん同士で自然と子育て支援・シェアの空間ができていたと言います。実際に、「おとうのパスタ 」が行く先々は、みんなで子どもを見ていく、というあたたかい空気にあふれています。

 「みんなで子どもを見るという空間づくりが叶っていることが本当にありがたいね」と姉妹でよく話すそうです。

今と、これからふたりが目ざすこと


 育児やおんちゃんの看護師としての仕事などとの調整で、「おとうのパスタ」の出店は多くて週に3回ほど。仕込みは、子どもたちが寝たあとに少しと、当日の朝、子どもが起きるまでの時間に行ってるといいます。思わず、「大変ではないですか?」と尋ねた記者に、「大変なこともありますが、みんなで協力しながら、楽しみながらやっています」と力強い答えがかえってきました。

 今後は、市内のいろいろなところにキッチンカーで行ったり、イベントに参加したりして、多くの人に知ってもらうことに力を入れたいそう。また、母方の祖母の家が、古民家のようなたたずまいなので、そちらにも出店して、集まれる場所をつくりたいと語ります。

 ふたりは、「気軽におしゃべりしたり、相談したりできるような“あいちゃん”と“おんちゃん”でずっといたい」と声をそろえます。

 仕事や子育ての経験を活かして、“子育てを気軽にシェアする”というコンセプトに至り、すべてをエネルギーにし、笑顔で軽やかに実現していく頼もしいふたり。これからも「おとうのパスタ」から目が離せません。


 

お客さんの赤ちゃんも、あいちゃんの腕の中ですやすや。
 飲み物を片手に育児トークに花がさきます。

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