
専門家が教える!子どもにお年玉でお金の勉強をさせる方法
親子のマネー教室
お年玉は子どもにお金の勉強をさせるチャンス!ファイナンシャルプランナーが教えるお年玉で「考える力」を育む方法を紹介します

田中 あさみ(たなか あさみ)さん
CFP®認定者、2級ファイナンシャルプランナー技能士、ライター。
2019年から、ライフプランとマネープラン・投資などお金の不安や疑問を解決するための記事を執筆。日本FP協会会員。
一年に一度もらえるお年玉。子どもにとっては特別なお金であり、まとまった金額を手にする貴重な機会です。つい浮かれて欲しいものを衝動買いしてしまう子もいれば、「ママが預かっておくね」とそのまま貯金されてしまうケースも少なくありません。
ですが実は、お年玉は子どもにとってマネーリテラシーを学ぶ絶好の教材です。計画的に考え、お金を使う力を身につけるきっかけになります。
今回は、未就学児のお年玉事情と合わせて、お年玉と通常もらうお小遣いの違いの伝え方、お年玉をどうするのかの3つの選択、お年玉を使わせる際のポイント、使ったあとのふり返り方について整理していきましょう。

未就学児のお年玉事情〜小学生未満の子に渡すお年玉は1000円が最多〜
株式会社インテージが、15歳から79歳の男女約5,000人を対象に実施した「2024年お年玉調査」によると、小学生未満の子に渡すお年玉の予算1人あたりの金額は1,000円が44.9%と最も多い結果となりました。
渡す相手は主に、自分の子ども、孫、親戚の子どもです。
子どもは、親や祖父母、おじ・おばなど複数の人からお年玉をもらうことが多く、例えば親から1,000円、祖父母から2,000円、おじやおばから1,000円をもらうと、合計で5,000円になります。幼児にとっては少なくない金額となりますが、お年玉について、その使い方についてどのように教えていけばよいのでしょうか?
「お年玉を親が預かっておく」は間違い?自分で考えさせることが大事
子どもがまだ小さく、マネー教育をするには早い場合は、お年玉を親が預かっておくのも一つの方法です。ただし、だんだんと「お金とは何なのか」を理解してきたお子さんには、自分でお年玉をどうするか考えさせることをおすすめします。
まずは「お小遣い」と「お年玉」の違いを子どもにわかりやすく伝えることが大切です。
- お小遣い……定期的にもらうもの。会社員でいえば「給与」。
- お年玉……年に一度だけもらえる、まとまった金額。いわば「賞与(ボーナス)」。
この違いを理解しないまま「たくさんもらったから」と、お年玉を一気に使い切ってしまう子も少なくありません。そこで、次のようなポイントを事前に伝えておくとよいでしょう。
- お年玉は年に1回、お正月にもらえる特別なもの。
- 一度に多くのお金を手にするからこそ、「いつ」「何に」「どのくらい」使うかをよく考える必要がある。
子どもにお小遣いをあげている家庭の場合、お小遣いとお年玉の違いをまなばせることも重要です。
情報メディア「いこーよ総研」の調査結果によると、お年玉は65%の家庭が「使わないで貯めている」と答えており、次いで「子どもと相談して何を買うかを決めて使っている(23%)」となっています。
お年玉をもらった際には、可能な限りお子さんと相談してお年玉をどうするか決めることで、「臨時収入の使い方」を徐々に身につけられるようにしましょう。
具体的には、下の3つのパターンに分けて考えるのがおすすめです。
お年玉をどうするか、3つの選択
- 貯める……いざというときや大きな買い物に備える
- 考えて使う……欲しいものを比較・検討してから買う
- 後から使う……今すぐ使わず、必要になったときに使う
このように選択肢を整理してあげると、子どもは「どうしたいか」を主体的に考えやすくなります。
お年玉を使わせる際のポイントとふり返り
お年玉を「貯蓄」に回す子はもちろん一定数います。貯める習慣は大切ですが、ただ金額が増えていくだけでは「お金の意味」が実感しにくいもの。下のポイントをおさえて、まずはお年玉を使わせてみることをおすすめします。
お年玉を使わせる際のポイント
①目的をはっきりさせる
親にとって不必要と思われるようなものでも、使い道をしっかり考えている場合は、許容してもよいでしょう。
②明確なルールをつくる
「本や文房具ならOK」「ゲームソフトの類は半年に1回」「◯◯◯円以上のものを買うときは親に相談」など、予めおうちでのルールを決めておきましょう。
③一部だけを任せてみる
もらったお金のうち、一部だけを子どもに渡して自由にさせるのもよい方法です。
親としては「衝動買いして後悔するのでは?」と心配になるものですが、その失敗こそがまなびにつながります。
例えば、
・「あれを買わなければ別のものが買えたのに」
・「一気に使わず、少しずつ使えばよかった」
と子ども自身が感じることがあれば、それは次につながる大切な気づきです。
さらに効果的なのは時間をおいたふり返り。お年玉を使った3カ月後や半年後に「どうだった?」と感想を聞いてみましょう。
・「貯めたから欲しいおもちゃが買えた」
→貯蓄の価値を実感
・「全部使って後悔した」
→次は半分残してみよう、と計画性が芽生える
この対話を繰り返すことが、子どもの金銭感覚を育てる土台になります。
前回、「どうする?何する?子どものお金の教育」の記事で「お小遣い帳をつける」ことを推めましたが、お小遣い帳にお年玉の項目を設けて記録しておくのもおすすめです。
まとめ
お年玉は、子どもにとって一年に一度の特別な臨時収入です。
そのお金を「どう使うか」を考えることは、単なるマネー教育にとどまらず、計画的に物事を考える力を養うチャンスになります。
時には失敗して後悔することもあるでしょう。しかし、その経験を次につなげるために親が寄り添いながら子どもの感想を聞き、記録していくことが大切です。
お年玉を通してまなんだ「考える力」は、大人になってからも役立つ一生ものの財産になるはずです。
文/田中あさみ イラスト/すがわらけいこ 編集協力/千鳥・東京通信社
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