
2歳と4歳が山!イヤイヤ期はなぜ起こる?どう対応する?
保育のプロの技
2歳と4歳のイヤイヤ期は違う!?年齢別のイヤイヤ期の原因と対応法を保育のプロにうかがいます!
「なんだか最近、急に言うことを聞かなくなった」、「外出先で駄々をこね始めて困った…」など、イヤイヤ期に突入して悩んでいるパパ・ママも多いのではないでしょうか? イヤイヤ期を迎えた子どもの対応のコツについて、NPO法人家庭的保育支援協会代表理事の須貝美香先生にお話を伺いました。

須貝 美香(すがい みか)先生
保育士として保育園勤務を経て1997年に在宅保育を開業。現在は、認可園3園を運営し、台湾と上海で活動しながら、子育てアドバイザーとして企業や自治体などで家庭的保育に関する研修講師、保育士や保育施設経営者研修、民間保育園の園内研修などを多数行う。保育者に寄り添い、子ども・子育て家庭に温かい支援に貢献している。著書に『漂流する待機児童たち』(幻冬舎)『保育士が教える「子育て」の正解』(幻冬舎)がある。
「イヤイヤ期」ってどういうもの?
イヤイヤ期はいつから始まって、いつごろ終わる?
いわゆる「イヤイヤ期」は、個人差があるものの2歳くらいから始まり、5歳くらいでおさまってくるのが一般的です。

2歳、4歳の子どもがイヤイヤ状態になることが多いのは、なぜ?
日本では「イヤイヤ期」という表現が一般的ですが、世界的には「独立期」という表現が使われることが多いのがこの時期の子どもです。新生児から乳児期にかけては「自分」を意識することがあまりありませんが、2歳を迎えたころから「自分の気持ち」に気づき始めます。
これまでは、食べるものや着るもの、行く場所、あそびなど、周りの大人から与えられるものを従順に受け入れるだけだったのが、「ぼくは●●が食べたい」「わたしは▲▲が着たい」など、自分の気持ちや、やりたいことをアピールできるようになるのがこの年ごろです。しかし、自分の気持ちを発信し始めているものの、語彙力がまだまだ足りていないため「イヤ!」という程度の意思表示しかできません。パパやママからしてみれば、これまでは素直に言うことを聞いてくれていたのに急に「イヤ!」と拒否し始めた、と見えてしまう。そのため「イヤイヤ期」と呼ばれているのです。
年齢別イヤイヤ期の特徴
2歳のイヤイヤ期、実はこういうことだった! ワンポイントアドバイス
まず、食べものの「好み」に気づき始めるのが2歳くらいです。まだ「好き嫌い」というほどハッキリはしておらず、好みに気づき始めたからなんとなく食べたくないものも出てくる、という程度。しかし、親からすると「今までと違ってちゃんと食べてくれなくなった」、「好き嫌いを言い始めて食事の時間が大変になった」となってしまうわけです。
そうならないためには、生活のリズムを整えて食事の時間にしっかりとお腹を空かせてあげるようにしましょう。体を動かすなどエネルギーを使ってお腹を空かせていれば自然と食事が楽しみになり、お皿にあるものをきちんと食べられるようになります。
「言うことを聞いてくれなくなった」「拒絶ばかりする」ではなく、「自分の好みに気づいて発信し始めたのね」と、成長の証を前向きに捉えましょう。
3~4歳のイヤイヤ期、実はこういうことだった! ワンポイントアドバイス
発語量がかなり増え、意思表示に加えて言葉を駆使していろいろと言い始めるのがこの時期。まさに「いちゃもん期」です。また、日常生活の中でも「なんで?」「どうして?」が増えて、理由を答えてあげないと納得しない状況も多くなります。さらにパパ・ママの答えに対しても「でも、なんで?」と質問攻め。終わりの見えないくり返しの対応を、面倒くさいと感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
このようなケースでは、「~という理由なんだけど、●●ちゃんはどう思うかな?」と質問返しをしてみるのがおすすめです。本人にボールを戻すことでそれに対して考える“間”が生まれて、「なんで・どうして攻撃」が収まることも多いです。大人の皆さんでも、しゃべることで整理されて感情が落ちつく経験をされている人は多いと思いますが、これは子どもにも当てはまります。会話を上手にコントロールすることで、パパ・ママも少し楽になるはずです。
また、園でのお友だち同士のトラブルが増え始めるのもこの時期です。人に対する好き嫌いが出てきて「●●ちゃんが一緒にあそんでくれないからイヤ」、「■■くんがいじわるだからキライ」などと、登園の準備でグズグズすることがあるかもしれません。少しずつ言葉数が増えて感情も豊かになってきますが、ものごとを客観的に捉える力はまだまだ未熟なので、自分が聞きたい部分しか聞き取れていない、全貌が見えていないということが原因になっていることも少なくありません。理由をしっかりと言えるほどの語彙力がないため「イヤ」とか「キライ」という単純な言葉が出てきているだけ、ということも多いです。
「どんなことがイヤなの?」「もしかしたら、~かもしれないよ」など、丁寧に聞き取りをして状況を確認・説明してあげると感情が落ち着いてきます。このときに「自分の気持ちをちゃんと言わないからダメなのよ」などと否定的な表現を使うと、本人のイライラが大きくなるのでNG。「~したらよかったんじゃないかな」とか、「●●ちゃんがおもちゃを使い終わったら、貸してって言ってみるといいかもよ」など、お友だちとの正しいかかわり方を伝えてあげることが大切です。
【こんなシーンはどうしたらいい?】保育のプロがおすすめする効果的な方法
事例① 道路や公園などで「あぶないから走っちゃダメ」と注意しても言うことを聞かない
そもそも「あぶないから」というのはとても抽象的な表現です。なぜ走ってはいけないのかを子どもは理解できていない可能性があります。子どもに話すときに重要なのは、丁寧に説明すること。「走ってころんじゃうと、ひざをすりむいて血がたくさん出ちゃう。●●ちゃんがすごく痛い思いをしちゃうよ」とか、「血がたくさん出て痛いのに、今日はばんそうこうを持ってきていないから、●●ちゃんのお手当てをしてあげられないの」、「●●ちゃんよりももっと小さい子にぶつかって頭を打ってしまったら、たんこぶになっちゃうから痛くてかわいそうだよね」など、走って転んでしまったらどうなるのかを具体的に話してあげるのが効果的です。
「あぶない」や「大変」という表現は多用しがちですが、子どもにとっては抽象的でとても理解しにくいものです。子どもがしっかりと理解できるよう、言葉を尽くして丁寧に説明してあげることで行動を促すことができますよ。
事例② 電車やバスの中で騒ぎはじめて、どうにもおさまらずに困ってしまう

おでかけの際は、持っていくおもちゃや絵本を自分で選ばせましょう。「どうしてそれを選んだの?」などの話題で電車やバスの中で会話を楽しめれば、子どもの飽きも少なくできるかもしれません。窓の外を見ながら景色などを題材にクイズをしてもよいでしょう。子どもがお気に入りの動画をスマホで見せるのも悪いわけではありませんが、長時間見せ続けてしまうのはおすすめできません。見せるのであれば、2歳以上になった子どもに対して「好きな動画を5個までなら見てもいいよ。それよりもたくさん見ちゃうと目が悪くなっちゃうの。目が悪くなったら●●ちゃん、困るよね」と、動画視聴の制限とその理由をちゃんと説明しておくことが重要です。
しかし、あの手この手で工夫をしても、どうしても騒ぐのを止めてくれないということもあるかもしれません。公共交通機関でわが子が騒ぎ続けるのは、パパやママにも大きなストレスがかかります。そのような時は親子ともに気持ちを切り替えるためにも、いったん降車するという選択もひとつの方法です。子どもがいる生活は親の思い通りにならないことであふれています。「子どもがいれば、こんなこともあるよね」と、肩の力を抜いてそれを受け入れてみましょう。
事例③ スーパーに買い物に行くと「お菓子買って!」と騒ぎはじめて、テコでも動かなくなる

スーパーへの買い物やちょっとした外出時、なんの説明もしないまま大人につき合わせる形になっていませんか?
子どもはなぜ自分が連れてこられているのか分からないためイライラがたまり、イヤイヤとなってしまいます。買い物に行くことや、出かける理由などをきちんと事前に告知しておくことが大切です。
スーパーで「お菓子買って!」となるのを防ぐには、家にあるお菓子を見せてあげながら「おいしいお菓子がこんなにたくさんあるね!食べるのが楽しみだね。でも今日の晩ごはんに食べるものがないから、これからお買い物にいこうね。お家にお菓子はたくさんあるから、今日は買わないで済みそうね」と細かく丁寧に説明しましょう。その際に子どもが納得していなさそうであれば「お菓子はたくさんあるから、おいしいヨーグルトやフルーツを買おうか。●●ちゃんが欲しいものを選んでね」と伝えておけば、本人も「お菓子はたくさんあるから、今日は好きなヨーグルトかフルーツを買ってもらえる」と最初から理解できているので、出先で騒ぎ始めることを防げます。もちろん、告知する時間を取れずに買い物に連れてきてしまう場合もあるでしょう。その際は、お菓子を買ってあげることをサラッと譲歩し「●●ちゃんが好きなお菓子を1個買ってあげるから選んでね」と先に伝えてあげれば、駄々をこねて大騒ぎになるというのは避けられるはずです。
事例④ 朝の着がえ、朝食、歯みがきなどの登園準備の際に「イヤ!」が始まって、何も進まなくなる
1日のリズムをきちんと作っておくことが大切です。朝起きてご飯を食べて、朝の子ども番組のオープニング曲が始まったら、あるいはニュース番組の天気予報が始まったら着がえを開始するなど、フックになるものを上手に活用しながら毎日の習慣を定着させると、行動がスムーズになります。
朝の準備で最も留意してほしいのは、体調です。子どもは会話力が未発達なので、自分の体調の異変を上手に伝えられません。登園準備の際にムズがるのは、体調不良が原因であることがとても多いのです。「行きたくない!準備したくない!」と激しく駄々をこねる場合は、体調不良を疑って家で様子を見ることをおすすめします。発熱していても走り回る子もいますが、それは決して元気なわけではありません。発熱には何かしら原因があるので、家で休養させたほうがいいでしょう。特に朝食が進まない原因として考えられるのが、便秘です。野菜不足や運動不足が原因の便秘、あるいは、鼻水が出ていたり咳が出ていたりするのであれば、早めにかかりつけ医を受診しましょう。適切な薬が処方されれば早くよくなりますし、症状が軽いうちに対処できれば本格的に病気を発症したり長引かせたりせずに済みます。
パパやママの仕事の都合もあるので、多少のことであれば無理やり園に連れていってしまいたくなる気持ちもわからなくはありません。しかし、朝の準備をムズがる場合は子どもにもそれなりの理由があると考えて、しっかりと向き合ってあげてください。体調面における先回りの対応は、免疫力を強くすることにもつながります。
事例⑤ お友だちの家や公園にあそびに行き、帰るときに「まだ帰りたくない!」と駄々をこねる

「もう遅いから」とか「帰らないといけない時間だから」というのは親の理屈です。子どもからしてみれば、せっかく楽しくあそんでいたのに中断させられることがとてもストレスになるため駄々をこねたくなります。「また明日、公園で続きのあそびをしようね」とか、「今度は●●くんに、うちにあそびにきてもらおう」などと、先の見通しを立てて伝えることで「これで最後じゃないんだ」と理解でき、気持ちの切り替えができるようになります。
大切なのは、「イヤだ」と言っているのはなぜなのか、子どもの気持ちを汲み取って対応することです。例えば、ブロックあそびをしていて続けたい、ということであれば「これをこのまま取っておこうね」とか、「スマホで写真に撮ったから、次にあそぶときに続きができるようにしよう」などと伝えてあげます。お友だちとあそぶのをやめたくないのであれば、「次にあそぶお約束をしておこうね」とか、「また明日公園で会えるよ」などと、次の展開を話しながら物事に固執しすぎないように導きましょう。
気持ちの切り替えが上手にならないと、思い通りにならないことへの抵抗力がないまま成長してしまいます。特に学校などの集団生活では、自分の気持ちのままに行動できない場面が多くなります。今、目の前にある楽しいことを手放しても「他にも楽しいことがたくさんあるからいいや」とか「あとで、またできるときにやればいいか」と気持ちを切り替えられるようにするためにも、無理やり言うことをきかせたり命令したりするのではなく、次の展開を見せてあげるような対応をすることがとても大切です。
イヤイヤ期に向き合うパパ・ママへのエール
イヤイヤ期は「期間限定」です。5歳くらいになれば、前頭葉がしっかりと発達して感情がコントロールできるようになります。毎日の子育てで大変な思いをしているパパやママにとってイヤイヤ期はとてもしんどいと思いますが、子どもの成長には、「イヤ」や「~をしたい!」と言える環境がとても大切です。自分の気持ちややりたいことに気づいて、それを発信することで自分を好きになり、自分を大切にできる心が育ちます。この時期にあまりにも従順にさせると、常に顔色をうかがいながら他人に合わせるようになってしまいます。
子どもにとって、いろいろ言ったり、思いのたけをぶつけたり、いちゃもんをつけたりできる家族がいることはとても重要です。安心して自分の本心をさらけ出せるところがここにあるという心の安定は、健やかな成長に欠かせません。園や学校ではがんばってイイ子にしているけど、家でパパやママにわがままを言ったり自分を解放できたりするのはよい親子関係を築けている証拠だと考えましょう。それを踏まえたうえで、「ママに大きな声で注意されたり、カミナリを落とされたりするのはイヤだよね。だからやさしく言っているうちに聞いてくれるとうれしいな」と丁寧に諭してあげてください。
幼少期の子育てでは、面倒くさがらずに言葉を尽くすことが本当に大切です。
たくさん言葉を聞いて育つと、やがて細かく言わずとも物事をきちんと理解できるようになっていきます。
どんなことも「期間限定」。わが子の将来を楽しみにしながら、今を楽しんでくださいね。
取材・文/遠藤祥子 編集協力・イラスト/東京通信社
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