
【専門家解説】「ママやって!」の効果的な対処法は「モノの置き方」だった!
がんばらなくても回る!わが家の仕組み
子どもが自然と動き出す仕組みづくりを、ライフオーガナイザーの佐藤美香さんに教えていただきました。
目次
「ママやって」「ママ、お茶!」「お箸どこ?」
自分でできそうなことでも、そのたびに呼ばれて、家事や仕事の手が止まってしまう……。そんな経験はありませんか?
子どもの自立を願っていても、毎日忙しい中ではつい大人がやってしまうこともあります。
でも実は、子どもがなかなか動かない原因は、性格ややる気ではなく、モノの置き方や環境にあることも少なくありません。
「子どもを変えようとするよりも、子どもができる環境を整える方が早いんです」、そう話すのは、ライフオーガナイザーの佐藤美香さん。
今回は、「ママやって」が減り、子どもが無理なく「自分でできた!」を積み重ねられる、モノの置き方や仕組みづくりのコツを教えていただきました。

佐藤美香さん
ライフオーガナイザー(日本ライフオーガナイザー協会認定講師)
キッチンや冷蔵庫の整理を中心に、家事がラクになる仕組みづくりを提案。
家事や子育てが少しラクになる工夫を大切に、日々の暮らしを整えるサポートを行っている。
「ママやって」を減らす、子どもが自分から動く仕組み1:「手が届く」が自立の第一歩
子どもが自分でできることを増やすために、まず見直したいのが、「高さ」です。
大人にとっては当たり前の場所でも、子どもにとっては見えていなかったり、届かなかったりすることがあります。
「子どもは大人より視野が狭いんです。見えていないものは存在していないのと同じなんですよ」と佐藤さん。
「お箸どこ?」「お茶ちょうだい」と言われると、つい「そこにあるでしょう」と言いたくなりますが、実際には子どもの視界に入っていないことも少なくありません。
コップやお皿は子どもの目線へ
お茶やコップを子どもの手が届く場所に置くだけでも、大きな変化があります。
自分でコップを出し、お茶を注ぐ。その経験が「自分でできた」という自信につながります。
食事も、座って待つだけでなく、準備に参加できるようになります。
「できない」のではなく、「できる環境になっていない」だけということも多いそうです。

上着や持ち物も子どもの高さに
帰宅後の上着やカバンも同じです。高い位置のフックでは、大人を呼ばなければ片づけられません。子どもの目線や手の届く高さにフックやカゴを設置すると、自分で片づけやすくなります。
幼稚園や保育園でできることが家でできない場合、環境の違いが原因かもしれません。
「ママやって」を減らす、子どもが自分から動く仕組み2:動線の工夫で「めんどくさい」をなくす
子どもは大人以上に「めんどくさい」に敏感です。
やることとモノの場所が離れているだけで、行動のハードルが上がってしまいます。
「子どもはまだ習慣が身についていないので、少しでも面倒だとやらなくなってしまうんです」と佐藤さん。
給食セットはまとめて置く
給食袋、おしぼり、ナフキン、水筒。一緒に使うものはできるだけ同じ場所にまとめます。
準備する順番に並べておくのも効果的です。何度も移動しなくて済むので、子ども自身で準備しやすくなります。

保育園の仕組みをお手本に
佐藤さんは「園の環境をぜひ観察してほしい」と話します。園は子どもが自分でできるように作られた空間です。
ロッカーの高さ、持ち物の置き場所、ラベルの表示、そうした工夫を家庭に取り入れることで、子どもが動きやすくなることがあります。

収納は8割くらいがちょうどいい
収納は、ぎゅうぎゅうに詰め込まないことも大切です。「子どもの収納は、8割くらいがおすすめです」と佐藤さん。
引き出しがいっぱいだと、1枚取り出しただけで他のものまで一緒に出てきたり、元に戻しにくかったりします。少し余裕があることで、子どもでも出し入れしやすくなります。
この「8割収納」は、実は大人にも共通する考え方です。収納に余白があると、物の出し入れがスムーズになり、「片付けよう」という気持ちも続きやすくなります。反対に、ぎゅうぎゅうの収納では、しまうこと自体がひと手間になり、つい出しっぱなしになってしまうことも。
子どもだけでなく、大人にとっても「戻しやすい収納」を意識することが、家族みんなが片付けやすい仕組みにつながります。
「ママやって」を減らす、子どもが自分から動く仕組み3:「自分専用」でやる気が爆誕!
子どもは「自分専用」が大好きです。
自分のコップ、自分のお皿、自分の掃除道具、そうした専用アイテムが、「やってみたい」という気持ちにつながります。
小さな掃除道具を用意する
飲み物をこぼしたとき、消しゴムのカスが散らかったとき、つい大人が「もういいよ」と先回りして片付けてしまうことはありませんか。
「失敗しないことより、失敗したあとにどうするかが大切です」という佐藤さん。小さなコロコロやほうきを用意しておけば、「こぼしたら拭く」「散らかったら片付ける」という経験を重ねることができます。失敗も子どもの大切な学びの機会。自分で後始末をする経験を積み重ねることで、少しずつ生活力も身についていきます。

お手伝いも生活力につながる
料理や家事のお手伝いも、自立につながる経験です。
子ども用の泡立て器、小さなフライ返し、洗濯干し、お風呂掃除……。
子どものサイズに合った道具があることで、参加しやすくなります。

「ママやって」を減らす、子どもが自分から動く仕組み4:「3割できればOK」で続ける
子どもの自立というと、つい「ちゃんとできること」を求めてしまいます。
でも、佐藤さんが大切にしているのは、「3割できればOK」という考え方です。
食器を運べた、カゴに入れられた、片づけようとした……。それだけでも十分。
「完璧にできることより、経験をつむことのほうが大切です。最初から100点を目指さなくても大丈夫。3割できたら花丸です。その積み重ねが、やがて習慣になっていきます」
そして、この考え方は、子どもだけでなく親自身にも向けられています。毎日完璧に家事をこなさなくてもいい、少しでも回れば十分。そう思えることで、親の気持ちもラクになります。
まとめ
子どもが動かないとき、変えるべきは子ども自身ではなく環境かもしれません。
コップの場所を変える、フックの高さを変える、専用の道具を用意する……。そんな小さな積み重ねが、「ママ、やって!」を「自分でできた!」へ変えていきます。
まずは一つだけでも、お子さんの目線で家の中を見直してみませんか。
取材・編集/東京通信社
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