
子どもの学習を支えるヒント 有安杏果さんの“続ける力”(インタビュー前編)
インタビュー 子育てサプリメント
有安杏果さんに、勉強を続ける秘訣や英語学習についてお話をうかがいました。
目次
「ももいろクローバーZ」卒業後、歌手として活躍してきた有安杏果さん。「ジャズを英語で歌いたい」と思ったことをきっかけに、仕事の合間に英語の勉強をスタート。2年でTOEICスコア540点から875点にアップさせ、それに並行して英検準1級も取得しました。
自分の成長のために学ぶことを続ける有安さんに、勉強を続ける秘訣や英語学習について、ご自身の小学生時代から現在まで、じっくりとお話を伺いました。
前編は、有安さんの勉強スタイルをご紹介します。“続けられる勉強”のヒントがぎゅっと詰まっています。

有安 杏果 (ありやす・ももか)さん (歌手)
1995年生まれ。2017年3月日本大学芸術学部写真学科卒業。芸術学部長特別表彰、写真学科奨励賞受賞。2009年7月から8年間「ももいろクローバーZ」として活動し、2018年1月にグループを卒業。2019年より歌手としての活動をスタート。ギターやピアノの弾き語りライブを行うほか、2024年2月には3都市のBillboard Liveで自身初のジャズライブ「有安杏果 Jazz Note 2024」を行うなど、活躍の場を広げている。TOEIC875点、英検準1級、EP Pro特級、EPT90点を取得。
小学生時代からコツコツ勉強していました
家庭学習は小学生時代からコツコツとやっていました。小さい頃から芸能活動をしていて、ドラマや番組の撮影が重なると学校を数日休まざるを得ないこともあったので、勉強のサポートとして通信教材を活用していました。
学習習慣は子ども時代に身につきました
教材は、撮影や通学のすきま時間を見つけて、欠かさず取り組んでいました。「そんなに短い時間で?」と思われるかもしれませんが、短いからこそ、「この時間を無駄にしたくない!」と、集中力高く取り組めていたんじゃないかなと思います。「提出物をきちんと出す」とか「計画をきちんと立てる」という今の習慣は、そこでずいぶん身についたのかもしれません。
子どもが自分で学習の仕方を考えて選ぶのも大事
ひとつ印象に残っているのは、最初、両親が難しめのレベルを選んで申し込んでしまい、当時の私には難しすぎて苦労したこと。
その体験から思うのは、保護者のアドバイスはもちろん大切だけれど、時には子ども自身に選択肢を与えることも大事だということです。子どもが自分で選んでやってみて、合わないとわかったら、そのときに保護者や学校の先生が変えてあげればいいと思います。そのほうが「自分で選んだ」という納得感が生まれるし、うまくいかなかったとしても切り替えがしやすいと思います。自分で選んでやったことというのは、誰かに言われてやるのとは、やっぱり違うと思うんですよね。
勉強時間をつくるには「習慣化」がまず大切です!
大人になって英語を勉強しようと思った時に、まず考えたのは「仕事との両立の方法」でした。家庭もあって、仕事もあって、そのなかで今までの生活を崩さずに勉強をプラスするにはどうしたらいいのか。考えた結果、私の場合は「朝活」でした。
時間を作るには「朝活」がおすすめです!
仕事の関係もあって夜型寄りの生活だったんですが、今まで寝ていた時間を勉強にあてるようにしたら、自然と夜も早く寝るようになって、すごく健康的な生活ルーティンに変わりました。朝は頭がすっきりしていて、勉強にも集中して取り組めるので、効率も上がったと思います。
ランニングはアプリで計測して習慣に
ちょうどその頃、もうひとつ始めたのがランニングです。コロナ禍でジムに行けなくなって、自分でトレーニングする必要があり、外をランニングするようになりました。走った距離を計測してくれるアプリを見つけて、「今日はこれくらい走れた」「最近は少なかったな」というふうに自然と確認できて、励みになりました。そうやって少しずつランニングも習慣になっていきました。
「毎日やるのが当たり前」と思えるのが、習慣化です
何かをやるには、習慣化することがすごく大切。「毎日続ける」ことこそ一番大変だと思うんですけど、歯磨きをするように「毎日やるのが当たり前」と思えるところまで持っていくのが大事だと思います。5分でも10分でもいいから、とにかく毎日続けて習慣化する。ランニングは雨の日はできなかったりするんですけど、英語はライブの日も移動中も欠かさず続けるようにしました。
そうやって、新しい習慣を生活の一部にしていったんです。

小さな工夫でモチベーションを高める
「朝活をすることにした」と言いましたけど、実は私、朝起きるのがものすごく苦手なんです。そこで、前の日から「朝の自分がちょっと嬉しくなるしかけ」を用意しておくようにしています。これはぜひお子さんにも活用していただきたいです。
ごほうびや周辺グッズで気分をあげる!
たとえば、テンションの上がる朝ごはんを用意しておくこと。好きなおやつでもいいですね。「明日は起きたらあのドーナツが食べられる」と思いながら寝るとか、かわいい目覚まし時計を使ってみるとか。去年の冬はお気に入りのブランケットを新しく買って、勉強机に置いておきました。寒くて布団から出るのがつらい時期でも、「あのブランケットを使える」と思いながら起きて、くるまってあたたまりながら朝活を頑張っていました。
みんな人間なので、しんどいのは一緒だと思うんですよね。それをクリアするために、少しでも気分が上がるものをそばに置いて、あの手この手で自分を励ます工夫が大事だと思います。
お気に入りの文房具で楽しく勉強
文房具も、自分の好きなものを今でもよく買っています。勉強机ってどうしても殺風景になりがちなので、そういったもので気分をあげるのも一つの方法だと思います。キラキラのペンや色つきの消しゴムなど、かわいい文房具がたくさんあるので、取り入れてみるのもすごくいいと思います。
「やる気」には「見える化」が最適!
「今日はこれだけできた」と、文字に書いて「見える化」するのは、モチベーションアップにすごく効果的です。
学習したことは必ず書き出して記録に残そう
勉強記録も毎日つけています。子どもの頃、塗り絵に色を塗って遊んだ感覚に近いかもしれません。カレンダーにその日やったことを書いたり、かわいいシールを貼ったり。頑張った日はどんどんカラフルになるし、シールも増えていきますよね。一か月分たまると、「30日やるだけで、こんなに進んだんだ」と、毎日コツコツやってきたのが一目でわかるんです。気がついたら問題集が一冊終わっていた、なんてこともあります。目に見える成果は、すごく励みになります。
夜寝る前に勉強記録として書いているのは、その日にやったことと、明日やること。翌日、実際にどれくらいできたかを書くようにしています。これも「よし、明日もがんばるぞ」というモチベーションアップにつながっています。
目標は目に入る場所に貼って意識をキープ
またこれも、なるべく「見える化」するのが大事だと思っているので、少し先の目標も書いて壁に貼っています。締め切りや期限も「見える化」しておくとすごく効きます。だらだら予防にもなるし、もしお子さんが先取り学習をしているなら、「何年生の夏までにここまでやる」といった具体的な期限を書いておくと、目標として意識しやすいと思います。
私が英語試験を定期的に受けているのも同じです。いったん申し込んでしまえば、もう受けるしかなくなるので、その日に向かって全力で走るモチベーションになります。
自分に合う勉強法を探していくのも「勉強」
参考書も、「自分に合うものはどれかな」と考えながら使っています。単純に気に入ったものだったり、試験を受けたあとに「この問題、ほんとにそのまま出てきた!」みたいに納得できたものだったり。そんな経験があると、その参考書への信頼度もぐっと上がるんですよね。「次はもっと点数が伸びるかも」と思えたり、「この先生の解説読みやすいな」と感じて、その先生の本を「推し買い」したり。自然と、自分の中で相性のいいものが分かってきます。
同じ参考書を2周、3周するときも、ただ単調に繰り返さず、少しずつ変化をつけています。リスニングなら、2周目は倍速にしてスピードを上げてみる。分厚い参考書なら、あらかじめ苦手なところに付せんを貼っておいて、次にやるときはそこだけ重点的に見る。そんなふうに、新しい刺激をちょっとだけ加えながら続けるようにしています。
こうやって「自分はどうやると続けやすいのか」を探っていくのも、勉強の一部なんだと思います。

周りの人のサポートも大事
私の場合、試験前は家事を少し夫にサポートしてもらったり、一緒に書店に行ってもらったりしています。
小さなことでも協力してもらえると力になる
例えば問題集や過去問は、直接書き込まずにコピーして繰り返し解いているので、量が増えて管理が大変。そこで、プリントの整理を手伝ってもらうこともあります。こうした小さなことでも、家の中で一緒に暮らしている人のサポートは本当に心強いです。勉強に集中するために、まわりの人の協力って本当に大きいんですよね。
大人も学ぶ姿勢を見せてほしい
家庭学習でいうなら、子どもにとって、家の中に「勉強している大人がいる」ことはすごく意味があると思っています。スマホやTVを見ている大人より、読書や勉強をしている大人の方が、子どもはきっと「勉強って特別なことじゃないんだ」と感じられるはずです。
実際、英検の受験会場でも、親子で受験している方をよく見かけます。お子さんは5級、お母さんは2級を受験。一緒にやってきて、教室の入り口で「じゃあね」「がんばってね」と別れていく。そんな光景を見て、「一緒に頑張ってるお母さん、かっこいいなあ」と思いました。こんなふうに、それぞれのおうちの中で、勉強することがごく自然な当たり前のこととして根づいていくといいですよね。
大人になって、勉強について思うこと
大人になってから勉強してみて「もっと子どもの頃に勉強しておけばよかったな」と感じています。子ども時代にそれに気づいていたら、人生も少し違っていたかもしれません。(笑)
大人の勉強は納得感が違う
子どもの頃って、目の前の勉強が将来どうつながるかなんてよくわからないし、どうしても「勉強=しないといけないこと」だと捉えてしまうと思うんです。その点、大人になってからの勉強は、目的がはっきりしているぶん効率よくできますし、「自分で納得してやっている」という実感があります。
子どもの頃の勉強は将来につながります
とはいえ、子どもの頃に、そこまで理解しながら自主的に勉強するのは難しいだろうと思います。習い事もあるし、遊びたいこともあるし、いろんなことに関心をもつ時期なので、子どもが自分で時間配分をするのはたいへんです。ですから、保護者の方にぜひサポートしてもらえたらと思います。
あとは、「小さなごほうび作戦」もとても効果的だと思います。大人の私でも、ドーナツひとつのごほうびを目標に頑張れたりするので、ぜひうまく活用して、子どもの背中をそっと押してあげてください。
今回こうしてインタビューの機会をいただいたので、少しでも子どもたちが「将来につながる勉強」を意識できるようなアドバイスになれば嬉しいなと思っています。
今回のお話から伝わってきたのは、有安さんが「勉強を義務にしない工夫」を大人になっても続けている姿でした。単に資格を取るためだけではなく、歌の表現や自分の世界を広げるものとして英語に触れ、生活の中で自然に学びを積み重ねている姿が印象的です。子どもの頃の経験から“自分で選ぶことの大切さ”を語ってくれたり、勉強法に工夫をしたり、家族のサポートを得たりと、どのエピソードにも学びを続けるヒントがありました。
無理せず楽しさも混ぜながら取り組むからこそ、今の勉強がちゃんと自分のものになっている。その姿勢自体が、子どもたちへの何よりのメッセージです。どうもありがとうございました。
取材・構成/甲斐ゆかり(サード・アイ)
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