有安杏果さんの英語学習法　筆記、読解、発音、全方向から挑む！（インタビュー後編）

　「ももいろクローバーZ」卒業後、歌手として活躍してきた有安杏果さん。「ジャズを英語で歌いたい」と思ったことをきっかけに、仕事の合間に英語の勉強をスタート。2年でTOEICスコア540点から875点にアップさせ、それに並行して英検準１級も取得しました。

　自分の成長のために学ぶことを続ける有安さんに、勉強を続ける秘訣や英語学習について、ご自身の小学生時代から現在まで、じっくりとお話を伺いました。

　後編は、現在取り組んでいる英語学習について。思わず「なるほど！」と驚く勉強方法も!?

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オンライン英会話で自分の世界が広がりました

　小学生の頃から何となく、英語には親しみをもっていました。子どもの頃って、その教科が好きになるかどうかは、学校や塾の先生の教え方で結構決まると思うんです。中学生のときの先生が、フレンドリーな女性の先生で、カラフルな色のチョークを使って、黒板に楽しく板書をしてくださるような方だったんです。「あのときの先生、楽しくてよかったな」と、当時のことを今でもよく覚えています。

　大人になって再び英語学習を始めたのは、表現活動の柱である音楽の「ジャズ」を英語で歌いたいと思ったことがきっかけです。自分の納得いく表現をするには、まず英語の発音が大事だと思い、ネイティブの発音に触れられるオンライン英会話を始めることにしたんです。コロナ禍の2021年のことでした。これは今も毎日ずっと続けています。

　英会話によって、英語力の向上はもちろんですが、自分の視野がすごく広がりました。たとえば、日本とアメリカのクリスマスの違いなど、英語圏の文化を学ぶ機会にもなったんです。あと、英会話を始める前は、街で外国人の方を見かけても、英語に自信がないので「こっちに来ないで、話しかけないでほしいな」と逃げ腰になっていました。でも今は、自分のほうから喋りかけてみたいな、と思えるほどになったんです。言葉の壁をほとんど感じなくなったんですよね。

　世界につながる窓がぱっと開いたような、プラスの影響をもたらしてくれていると感じます。

複数の英語検定試験を並行して受験、全方向から攻める！

　これまでに受けた検定試験は、TOEICだけではありません。英語の４技能（リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング）に関係する、あらゆる試験に挑戦してきました。

　TOEICの勉強と並行して、英検も準２級からスタート。二つの試験は、テスト形式や扱われる話題の内容が違うので、「TOEIC、TOEIC、TOEIC、英検、TOEIC……」と、二つを交互に受験していました。TOEICは年10回以上行われますが、英検の本試験は年３回と限られた機会なので、しっかり準備をして臨むようにしていました。

　また、「EPT（英語発音試験）」と「EP-Pro（英語発音技能検定）」という英語の発音の試験も受検しました。

　いろいろな試験を受けているのは、高いスコアを取ることよりも、英語の総合的な力を高めたいからです。それが私のいちばんのゴール、目標です。なので、これからも自分のために勉強を続けていきたいと思っています。

目からウロコ？　「ダブル受検」で英語力アップ

　英検を受けるときには、本命の級と、もうひとつ上の級を二つ、ダブルで受けていました。対策のための勉強は、ひとつ下の級も合わせて取り組んでいました。英検３級に受かりたい場合は、ひとつ上の準２級と、下の４級も勉強するんです。

　これは、小学校の学習でも同じじゃないかなと思います。たとえば３年生でつまずくところがある場合、それは２年生の内容がうまく理解できていない可能性があると思います。したがって、２年生の分野をもう一回復習します。逆に得意な分野は、４年生の内容に挑戦するのもおすすめです。

　つまり、全部の内容を平均的にやるよりも、不得意なところは徹底的に基礎からもう一回やり直して、得意なところは自分の意欲と興味を伸ばす挑戦をするという方法をとっているんです。

　実際に準２級と２級を受検したとき、準２級で出たトピックが２級でも出題されました。このときは「やった!!」と思いました。上位級だけど、難しい問題が少しでも解けると嬉しくなります。準２級の合格をめざしていましたが、同時に２級の予習にもなりました。午前と午後、フルに一日受検ですから、結構へとへとになりましたけど（笑）。

大人になってわかる、発音学習の大切さ

　大人になって英語をやってみて実感したのは、発音の習得の大変さです。日本語にはない発音を練習するのは、ふだんとは違う口の動かし方をしますから、まさに「筋トレ」に近いです。毎日音読の練習を続けていて、今もネイティブの先生に直してもらっています。それでもやはり海外育ちの方の発音はすごくきれいで、「やっぱり違うな、まだまだ頑張らなきゃ」と思っています。その経験から、耳のトレーニングは早いうちに取り組んだほうが、将来プラスがあるかもしれないなと思っています。

　いっぽうで、自分の国の言葉をしっかり学んでおくこともすごく大切だと思います。小学校３年生くらいまでの国語をしっかりやると、ある程度文章がうまく組み立てられたり、論理的な考えもできるようになってきますよね。そこから英語の勉強にも本格的に取り組んでいくといいのかな、と個人的な経験からは感じています。

　英語が母国語の人にとって、文法も何もかも違う日本語を習得するのはとても難しいです。この難しい日本語ができることは、強みだと思います。母国語の日本語がしっかりできて、プラス英語もできることが大切だと思います。

自分の成長のために学び続けたい

　英語に限らず、私は「自分の成長が止まらないようにしたい」という思いをいつも持っています。音楽もそうですが、何かに取り組んでいるあいだは、自分が少しずつでも前に進んでいる感じがする。私にとって、それがすごく大事なんですよね。

　もちろん英語について、まだまだ知らない表現がたくさんありますし、日本語と比べると語彙も少ないので、これからもコツコツ勉強を続けていきたいと思っています。そして、もっと自然に会話ができるようにもなりたいなと思います。

　海外のアーティストが来日したとき、もしお話しする機会があったら、普通に英語で会話できたらいいな、なんていう密かな夢も持っています。

　自分の世界を広げてくれる学びを、これからも大切にしていきたいです。

　有安さんの英語との向き合い方は、資格取得のためだけに机に向かうというよりも、音楽や日常の経験と自然につながりながら、いろんな角度から英語に触れていくスタイルでした。発音、会話、文化への興味など、入り口が複数あるからこそ、学ぶことが負担ではなく、楽しみながら学ばれているのだと思います。
　こうして積み重ねた学びは、点数アップだけでなく、自分の世界や表現そのものを豊かにする力にもなっています。英語を「仕事にも人生にも活きるもの」としてとり入れる姿勢が、とても印象的でした。どうもありがとうございました。

取材・構成／甲斐ゆかり（サード・アイ）

インタビュー前編はこちらから！

子どもの学習を支えるヒント　有安杏果さんの“続ける力”（インタビュー前編）