月経を子どもにどう説明する?伝えておきたい、体のこと

月経を子どもにどう説明する?伝えておきたい、体のこと

インタビュー 子育てサプリメント

月経を学ぶことは、自分を知ること。 子どもの自立につながる、おうちでの取り組みとは?

 月経(生理)は、子どもが自分の身体と向き合いながら成長していく、大切な過程のひとつです。とはいえ、月経についてどう伝えるか、タイミングや話し方に悩むおうちの方も少なくありません


 そこで、家庭でどのように声をかけ、どんな準備をしておくとよいのか、月経教育の大切さについて解説した「真剣に生理の話をしよう 子どもの自立につながる月経教育」の著者であり、教育現場やアスリート育成の場で若者を支えてきた、拓殖大学の鈴木なつ未先生にお話を伺いました。

鈴木 なつ未(すずき・なつみ)先生(拓殖大学 国際学部 准教授)

鈴木 なつ未(すずき・なつみ)先生(拓殖大学 国際学部 准教授)

拓殖大学卒業後、筑波大学大学院一貫制博士課程 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻修了。博士(スポーツ医学)。国立スポーツ科学センターなどスポーツ関連団体の研究員として従事し、日本オリンピック委員会強化スタッフ、日本スケート連盟で科学スタッフなどとしても活躍。オリンピック代表選手やジュニア世代のアスリートの体調管理などに携わる。専門は女性アスリートのコンディショニングで、月経管理や月経への対処についてなどの研究、教育・啓発を行っている。

月経のことを伝えるタイミングは

 月経が始まるタイミング(初経:最初の月経)には個人差があります。平均的には10〜14歳頃ですが、成長が早いお子さんの場合、学校の指導よりも前になることもあります。
 初経の目安として、お子さんの身体の成長に注目しましょう。身長がぐっと伸びた1年後あたりが「そろそろかな」というタイミングです。それを機に、家庭でも具体的に月経の話を始めてみましょう。学校での一斉指導も大切ですが、いちばん身近なおうちの方から話を聞くほうが、お子さんは安心できますし、抵抗感も少ないはずです。
 無理のない範囲で、日常の中で折に触れて「身体の変化は自然なことだよ」と伝えていくことが、自分の身体への理解や心の準備につながっていくでしょう。

月経が始まる前後のサポートは

 事前に話を聞いて知っていたとしても、初経の体験は誰もが驚くもの。事前に生理用品の実物を見ながら、話をしておけるとよいですね。
 大切なのは、お子さんが慌てず、身体の変化を自然なものとして受け止め、困ったときに口に出せる雰囲気を、家庭の中に作っておくことです
 生理用品については、初経の前から一緒に見たり、持ち歩くセットを準備しておいたりすると「始まったらこれを使えばいいね」と、不安を軽減できます。初経時も、お子さんの反応を見守りながら「あのときに話していたね」と落ち着いた声かけをすることで、混乱や不安を和らげることができます。

月経 子ども 説明

月経が始まってからのおうちでの対処法

 体調の変化は個人差があります。「自分が平気だったから、これくらい大したことがないはず」と判断せず、子どもの話をよく聞きましょう。
 お子さんが、自分の身体について「こういうときにはこうなる」と把握し、自分に合った方法を選択できることが、自立への第一歩になります
 月経中やその前後で様々な体調の変化を感じることがあります。お子さんに頭痛や下腹部痛、腰痛、だるさなどの症状がある場合、気をつけて確認し、どう対処するかを一緒に考えていってください。
 また、鎮痛剤の使用、身体を温める方法、休息の取り方など、いくつかの対応策を知っておきましょう。最近は、生理の状態や体調を手軽に記録できるアプリなどを利用している人も多いです。お母さんと一緒、また姉妹と一緒に記録してみてもよいでしょう。

周囲の医療機関など相談先について

 自分の体のケアについて、信頼できる医療機関を知っておくことは非常に心強いことです。婦人科や産婦人科への相談は少しハードルが高いと感じられるかもしれませんが、おうちの方が通っていたクリニックに相談してみるのもよいですし、学校の養護の先生に地域の情報を尋ねてみることもできます。
 また、同級生の保護者や友人と「どこに通っている?」と気軽に情報交換をすることでも選択肢が広がります。特に婦人科は、先生との相性や雰囲気も重要ですから、一度受診してみて判断するくらいの気持ちでもよいでしょう。
 私が携わっている一般社団法人 女性アスリート健康支援委員会のサイトでも、全国の産婦人科医を掲載していますので、参考になさってください。

子ども 月経 相談

おうちの方へメッセージ

 月経を特別なことと捉えずに、日常の身体の変化のひとつとして、ご家庭で自然に話題にしていただきたいと願っています。大切なのは、大人自身が、月経は恥ずかしいことではないこと、毎月月経が来るのは健康の証であるという認識を持つことです。
 また、男の子を育てているおうちの方も、男女の身体に違いがあること、個人はそれぞれ違うと伝えることが、これからの共生社会でとても大事なことだと思います。
 自分の身体のことは、自分にしかわかりません。ツールを活用して記録をつけたり、自分に合う方法を選んでいくなかで、お子さん自身が自分の身体を理解し、自分と向き合っていく力が育っていきます
 月経教育は、単に知識を伝えるだけでなく、自分の健康と生き方を考えるきっかけにもなります。どうかご家庭で安心して話せる空気を、少しずつつくっていっていただければと思います。

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