
園でのトラブルやお友だちとのけんか、どうする?への先生のアドバイス
園生活Q&A
園でのトラブルやお友だちとのけんかへの家での対応について、前田和代先生にお話をうかがいました。
園生活に慣れてくると、ちょっとしたトラブルが増えやすい時期。園生活に慣れてきたからこそ出てきてしまう問題について、東京家政大学児童学部児童学科の前田和代先生に伺いました。

前田和代先生
東京家政大学児童学部児童学科児童学科准教授
専門は幼児教育学、保育学。元幼稚園教諭で、子どもの遊びと育つ力について造詣が深い。
Q. 園でお友だちとけんかしたみたい。どうしたらよいでしょうか?

A. お子さんの様子をよく見極め、「話を聞く」環境づくりを
「きょう、けんかしたんだ」とお子さんから話してくれる場合と、何も話さないけど「なんだか元気がないな、何かあったな」と感じる場合とでは、関わり方は違います。お子さんから話してくれる場合は、「お話聞くよ。どうした?」などと、安心して話せるようにしましょう。あくまでも落ち着いて聞いてくださいね。「誰と? 先生は知ってるの? けがは?」など矢継ぎ早に聞くことはNGです。お子さんも、もやもやした気持ちを抱えています。そこを焦らせてますます困らせないことが大切です。一方、「何かあったな」と感じる場合は、焦って聞き出そうとせず、おやつを一緒に食べるなどしながら「きょう、ママね…」と先に自分のことを話し、お子さんが自分から話したくなるような雰囲気づくりをしましょう。それでもなかなか話し出さないようなら「なにか嫌なこと、あった?」と聞いてみてもよいと思います。“ちゃんと、気づいてくれた”という安心感につながるでしょう。
いずれも、大切なのは「おうちのかたは制裁者ではない」ということ。出来事をジャッジするのではなく、あくまでも「話を聞く」ことを優先します。第一優先はお子さん自身が自分で「これがいけなかった」「○○したい」など自分の気持ちに気づくことです。そして、その気持ちにおうちのかたが共感することで、お子さんは安心して気持ちを切り替えられるでしょう。共感するときは、感情的にならず、冷静に聞く姿勢を忘れないでくださいね。
「けんか」というと、心配になりますが、「けんか」は自分の思いを他者に伝える、相手の思いに気づくという経験にもなります。人と関わる力を育む機会でもあるのです。
イラスト/内田コーイチロウ