
外あそびで「学ぶ力」を育てよう!~移動時間を最高のあそび時間にする工夫〜
幼児期にこそ家庭でやるべき6つのこと
幼児教育とコーチングのプロの江藤真規先生が、「幼児期にこそ家庭でやるべき6のこと」を伝授。明日からの子育てが変わります!
道ばたに咲く花に、キラキラ光る石ころ。子どもがあっという間に心奪われ、たとえ転んで膝をすりむいても、せっかく作った作品が雨で崩れてしまっても、何度でも挑戦したくなる、それが外あそびの魅力です。
今回は、外あそびが子どもの「学ぶ力」を育てる3つのわけや、日々の移動時間を最高の外あそびの時間に変えるヒントをお伝えします。

江藤 真規 先生
幼児教育とコーチングのエキスパート。
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。IPU・環太平洋大学 特命教授。アカデミックコーチング学会理事。
幼児教育のエキスパートとして、幼児教室の運営と保育士指導を行うとともに、教育コーチングオフィス サイタコーディネーション代表として、保護者や教職員を対象とした講演・セミナー、執筆活動などを行っている。子どもの主体性と思考力・表現力を育む家庭環境作りにも定評がある。
外あそびが子どもの「学ぶ力」を育てる3つのわけ
子どもの成長を支える経験がたくさん詰まっている外あそび。外あそびがなぜ「学ぶ力」を育てるのか、外あそびが子どもにもたらす3つの経験に分けてご紹介します
外あそびの多様な動きが、学びを支える体づくりに!
歩く、走る、跳ぶ、くぐる、よじ登る、ぶら下がる、投げる、受ける…。幼児期に身につけたい基本的な動きは、あそびの中でこそ自然に育ちます。でこぼこの道を歩けばバランス感覚が育ち、坂道では足腰が鍛えられます。
こうした経験は運動能力だけでなく、姿勢や体幹、集中力など、学びを支える体づくりにもつながります。
自然物との出会いが、知的好奇心を刺激する
戸外には、子どもの五感を刺激するものがあふれています。風の音。土のにおい。草花や木の実。雲の形。鳥の声。
自然は季節ごとに姿を変え、「どうして?」「なんで?」と、子どもの知的好奇心を育てます。毎日同じ道を歩いていても、子どもにとっては毎日が新しい発見です。
自分であそびを生み出す経験が、問題解決力を育む
自然には、あそび方の説明書がありません。葉っぱはお皿にも、お金にも、船にもなります。石ころは宝物にも積み木にも、食べ物にも変わります。
「どうあそぼう」「次はこうしてみよう」と、子どもは工夫しながらあそびを発展させていきます。そんな自分であそびを生み出す経験が、想像力や主体性、問題解決力を育みます。

なぜ今、外あそびなのか
子どもを取り巻く環境は、この数十年で大きく変わりました。かつては、暗くなるまで近所の子どもたちと外あそびをしたものですが、子どもが群れてあそぶ光景は、あまり見かけなくなりました。安全で快適な家の中で、子どもたちは過ごしているのでしょう。
快適な環境には、「思いどおりにならない経験」はあまりありません。転ぶことも汚れることもなく、失敗することも、不快になる機会さえもない。しかし、子どもの成長には、不足や不便、自分でなんとかする経験が必要です。
外の環境は、子ども仕様にできていません。形の整った積み木とは異なり、石を積めば崩れます。本物の虫は、捕まえようとすれば逃げてしまいます。それでも子どもは飽きることなく、「もう一回」と挑戦する、それが外あそびの魅力です。「思いどおりにならない経験」は、子どもの想像力や集中力を高め、立ち直ろうとする力、いわゆる「レジリエンス」も育てます。
そして、持ち帰ることができないその時限りの作品、二度と出会うことができない景色の中で、子どもの心身はぐんぐん成長します。

日々の移動時間も立派な外あそびの時間
外あそびのために、どこかに出かけ、特別な時間をとる必要はありません。送り迎えや買い物に向かう道など、間の時間、つなぎの時間でも、十分外あそびを楽しむことができます。移動時間に楽しめるあそびをご紹介します。
<移動時間を最高のあそびの時間に変える工夫>
1.色・形探し
「赤いものを3つ見つけよう!」「丸いものはあるかな?」いつもの道が宝探しゲームに変わります。
2.水でお絵描き
「赤いものを3つ見つけよう!」「丸いものはあるかな?」いつもの道が宝探しゲームに変わります。
3.影ふみ
晴れた日は影もあそび道具。追いかけたり重ねたりしながら、光と影の不思議を体で感じていきます。
4.草笛
葉っぱ一枚で立派なおもちゃができます。親も子どもの頃を思い出しながら、一緒に音を鳴らしてみませんか。
5.石ころ集め
子どもにとって石は宝物。並べたり積んだり、何かに見立てたり。あそび方は子ども自身が考えます。
6.鳥の声探し
「静かにして」ではなく、「鳥の声が聞こえるかな?」。耳を澄ますと、今まで気づかなかった世界が広がります。
7.雲の見立てあそび
「この雲、何に見える?」想像力が広がるだけでなく、「どうして雲はできるの?」という探究心にもつながります。
8.におい探し
花の香り、雨上がりの土、パン屋さんの焼きたての香り。鼻を使って季節や街を感じてみましょう。
9.足音くらべ
「アスファルトと土では、音が違うかな?」落ち葉の上を滑らないように歩く経験は、子どもの体幹を鍛えます。
10.今日の宝物を一つだけ

葉っぱでも、小枝でも、どんぐりでも…。「今日はどれを持って帰る?」その一つを選ぶ時間が、子どもの観察力や感性を育てます。茂みの裏にある宝物に手を伸ばすことで、体も鍛えられます
外あそびは、「学ぶことが好きな子」を育てる
「あそんでばかりいないで、勉強をしなさい」こんな声もあるかもしれませんが、子どもにとっての「学び」は「あそび」であり、「あそび」を通して「学び」が始まります。
「もっと知りたい」
「もう一回やってみたい」
「なぜだろう?どうしてだろう?」
そんな気持ちが、学びの出発点になるのです。
教育心理学者の市川伸一氏は、学力には「学んだ力としての学力」と「学ぶ力としての学力」があると述べています。知識や技能など、比較的測りやすい「学んだ力としての学力」に対して、「学ぶ力としての学力」はどれも測りにくいものだといいます。学習意欲、知的好奇心、計画を自分で立てて学習を進めていく力、勉強をするときの集中力や持続力、コミュニケーション力(人と関わる力)などが、「学ぶ力としての学力」であり、学びを支える土台になるという考え方です。

外あそびには、「学ぶ力」を育てる経験がたくさんあります。「この石は何だろう」「なぜ、光っているのだろう?」と好奇心を持つこと。「もっと高く積みたいな」「もう一回やってみよう」と、試行錯誤すること。「どうしたらうまくいくかな」「次はこうしてみよう」と、問いを立て、試し、振り返ること。これはまさに、「学ぶ力」が育つプロセスそのものです
誰かに教えられるのではなく、自分で考え、試し、失敗し、また挑戦する。そんなことができるのは、懐の広い戸外だからこそかもしれません。外あそびは、「学ぶことが好きな子」を育てる基盤にもなるのでしょう。
子どもの「ちょっと待って」に耳を傾けよう
子どもと一緒に歩いていると、こんなやり取りはありませんか。
「早く行こう」
「ちょっと待って」
立ち止まって石を拾ったり、小さな花を見つけたり、水たまりをのぞき込んだり…。急いで帰りたい大人をよそに、子どもはあっという間にあそび始めます。
「それ、ただの小石だから…」「靴が汚れるからやめよう」
帰ってからの忙しさを考えると、そんな言葉が出てしまうのも無理はありません。
「早く帰って夕食の準備をしよう」「洗濯機を回さなきゃ」「今日は早く寝かせたい」
大人は、たいてい「先のこと」を考えています。
忙しい毎日だからこそ、一分でも早く家に帰りたいと思うのは自然なこと。
一方、子どもが見ているのは「今、この瞬間」です。道ばたに咲く花に、キラキラ光る石ころ。風で揺れる木の葉や空に浮かぶ雲。大人の視界には入らないようなものに、子どもは「これ、何だろう?」と目を輝かせます。そして、「ちょっと待って」が始まります。
大人には、無駄な寄り道かもしれませんが、子どもにとっては、「不思議」から探求が始まったり、体を大きく動かしたり、室内ではできないあそびが埋め込まれた時間です。もちろん、毎回付き合うことは難しいでしょうが、時に「ちょっと待って」に耳を傾けてみると、いつもとは異なる子どもの姿が見えるかもしれません。
子どもは、「自ら育とうとする力」を持っています。子どもが「ちょっと待って」と立ち止まった時は、そんな力が発動されるチャンスです。10分だけでも、子どもの「いまここ」に付き合ってみませんか。親子で同じ景色を見ながら過ごす10分は、子どもの心と体を育て、「学ぶ力」の土台をつくる大切な時間に、また大人にとってもかけがえのない時間になるはずです。
参考
市川伸一(2004)『学ぶ意欲とスキルを育てる』小学館
高山静子(2021)『改訂 環境構成の理論と実践:保育の専門性に基づいて』郁洋舎
あそび
人間関係・接し方
健康・運動
入学準備
国語
園生活
夢 実現
学校生活
学習習慣
幼児期のまなび
性格
本・読書
生活習慣
算数
食事・食育



