
「ぼくだけじゃないよ。お兄ちゃんもやったよ」と言われたら?
親野先生の親力診断

お子さんとどのように関わり、どのような言葉をかけ、
どんなコミュニケーションをとっていますか?
言い方ひとつ、やり方ひとつで子どもは大きく変わります。
ポピーの「親力診断」をよりよい親子の関係づくりにお役立てください。
診断してくださるのは……

親野 智可等(おやの ちから)先生
教育評論家。教師経験をもとに子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育などについてInstagram、Threads、Xなどで発信中。「子育て365日」「反抗期まるごと解決BOOK」などベストセラー多数。「ドラゴン桜」の指南役としても著名。オンライン講演を含む全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
親力診断:「ぼくだけじゃないよ。お兄ちゃんもやったよ」と言われたら?
部屋の壁に落書きがあるのを見つけたAさん。
1週間前に、落書きをした次男を注意したばかりでした。
床には次男のクレヨンが落ちていたので、次男を呼んできて聞きました。
「あなた、また落書きしたの?」すると次男は「ぼくだけじゃないよ。お兄ちゃんもやったよ」
と答えました。それを聞いて、あなたはどう言いますか?


お兄ちゃんがやれば、あなたもやるの?
人のせいにしないで、ちゃんと謝りなさい

お兄ちゃんのことはお兄ちゃんに聞きます。
あなたは自分のしたことをどう思うの?

お兄ちゃんはどこを描いたの?
どれが正しいか、ではなく、実際問題自分だったら……と考えて答えてください。
……選びましたか?
それでは親力診断、スタートです!
診断結果:「ぼくだけじゃないよ。お兄ちゃんもやったよ」と言われたら?
解説動画でご覧ください
動画の概要は下をチェック!
A:お兄ちゃんがやれば、あなたもやるの? 人のせいにしないで、ちゃんと謝りなさい
を選んだ場合
子どもにこのように言われると、大人はよけいに怒りが込み上げてきます。ですが、ここで叱り始めてもあまり効果はありません。というのも、そのときの子どもの頭の中は自分だけ叱られるのではないかという思いでいっぱいだからです。自分だけではないということをわかってもらいたい。もう1人は叱られないのかな? 叱られるなら、同じように叱られたい。こういうことばかり考えています。ですから、大人の話も上の空でしか聞けていません。謝りなさいと言われて「ごめんなさい」と言っても「なんでぼくだけ」と思っています。
B:お兄ちゃんのことはお兄ちゃんに聞きます。あなたは自分のしたことをどう思うの?
を選んだ場合
これもAとまったく同じです。とにかく子どもの頭の中には「自分だけ叱られるんじゃないか」という思いしかありません。ですからまずはそれを払拭してあげないと、親が何を言っても入っていきません。
C:お兄ちゃんはどこを描いたの? を選んだ場合
ちょっと間の抜けたような対応に思えるかもしれません。ですが、このようにもう1人のしたことを聞いてあげると子どもは、自分だけ叱られるのではないかという、最大の気がかりから解放されます。公平にしてもらえることがわかれば、安心して大人の話も聞けるようになります。
今回のポイント!
「ぼくだけじゃないよ。お兄ちゃんもやったよ」などという言葉ほど、大人を刺激して、その怒りの炎に油を注ぐ言葉はありません。これを言われた途端にキレてしまう大人は結構います。それは、子どもが自分のしたことを棚に上げて人のせいにしてる、と感じるからです。
でも、子どもの立場に立ってみると、違ったものが見えてきます。「ぼくだけじゃない、お兄ちゃんもやったよ」と言うのは、必ずしも、自分の非を認めないで責任を人になすりつけようとしているのではないのです。その言葉でいちばん言いたいのは、「公平にしてほしい」ということなのです。それは子どもにしてみれば当然の気持ちです。大人でも、同じことをして自分だけ叱られたら素直にはなれませんよね。
ですからまず、公平にしてもらえているとわからせて、安心させてあげてください。そして、よく話を聞いて事実を確認し、それからいけないことはいけないと大人の言いたいことを伝えることです。子どもの言い分をきちんと聞いてあげることが大事です。そのような順番を踏めば、子どもは素直に自分の非を認めて謝れるのです。
今日も明るく楽しく、元気にお過ごしください。
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