小学生男子ママのイライラ解消! 男の子の行動特性とパパに頼るべき理由

小学生男子ママのイライラ解消! 男の子の行動特性とパパに頼るべき理由

インタビュー 子育てサプリメント

多くのママが戸惑いがちな男の子の行動の謎とパパの役割。どうすれば、イライラが解消されるのでしょうか。解消法を伺いました!

男性保育士としてだけでなく、3人の男の子の父親としても長年、子育てに関わってきた大阪教育大学教育学部教授 小崎恭弘さんに、保育士を目指された経緯などとともに、多くのママが戸惑いがちな男の子の行動の謎とパパの役割について伺いました。パパと女の子との関係性についても、Q&A形式でアドバイスしていただきます。

小崎 恭弘(こざき・やすひろ)さん:大阪教育大学教育学部教授

小崎 恭弘(こざき・やすひろ)さん:大阪教育大学教育学部教授

兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に 12 年勤務。自身の3人の男の子それぞれのタイミングで育児休暇を取得した体験などから「父親の育児支援」の研究を開始。現在は、大阪教育大学の教授を務める傍ら、さまざまなメディアへの出演を通じて積極的に父親の育児参加や男の子の育児、さらには、ワークライフバランスや社会福祉などについて発信している。

自らの経験を生かして父親の育児参加を発信

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「子どもに囲まれて育ち、とにかく子どもと遊ぶことが楽しく、一緒に遊びたいと保育の世界を目指しました」

私が兵庫県西宮市初の男性保育士として採用されたのは、30年ぐらい前のことです。当時は「保母」と呼ばれる職業であり、幼稚園や保育所は女性の職場でした。実際、市全体の保育士300名のうち、男性は私だけ。

周囲からは「変わったやつ」と思われていた

ただ私自身は、男性が育児に関わる職に就くことは「普通」だと思っていました。なぜなら、両親が自営業だったため、私を含む3兄弟は祖父母や近所の方々など大勢の大人に育ててもらっており、育児は「母親だけの役割」ではなく、「みんなの役割」だったからです。この環境が「当たり前」だったことが、後の進路に大きく影響したのでしょう。

長男が生まれ、育児休業を取得

長男の育児休業を考えたとき、「え、本当に取るの?」と上司に確認されました。私は出産と授乳以外の育児は男性でもできると考えていたし、父親がわが子のために仕事を休むことも「当たり前」だと考えていました。しかし、当時の男性の育児休業取得率は0.1%。むしろ、上司の反応のほうが「普通」だったといえます。

自分の感覚はまだ世の中では「変わっている」のだと痛感した私は、これを機に父親の育児参加を「当たり前」のこととするため、学問として研究すると同時に、積極的に発信していくようになったのです。

苦労もやりがいも大きな意味があった保育士時代

保育所では、男性保育士であるがゆえに悩んだこともありました。忘れもしない登園初日。ひとりの男の子が私を見るなり「おんなのなっかに~、おっとこがひとり~」とはやしたてたのです。これくらいは「関西の子やなあ」ですませられましたが、初年度の担当が1歳児だったのです。泣きやまない赤ちゃんを抱きながら「やっぱり男だからかなあ」と落ち込んだものです。

保護者から厳しい声をいただいたことも

乳児クラスは比較的ベテランの「お母さん」的な方が担当することが多い時代だったため、若い男性の私に不安を覚えるのは当然です。予想していた反応でしたが、対応には苦慮しました。それでも毎日、子どもたちと関われることは楽しかったし、一人ひとりの成長を見守れることにはやりがいを感じていましたね。

子どもに言われてうれしかったのは

5歳児を担当したときには、女の子から「小崎先生と結婚するんや」と言われたこともあり、男性保育士でも受け入れてもらえているのだと実感したものです。
また、私と女性保育士が協力して保育していた環境には、大きな意味があったと感じています。例えば前述した5歳児を担当したとき、私と組んだ女性保育士さんが大の虫嫌いだったのです。でも私は、昆虫が大好き。教室でさまざまな昆虫を飼育し、命の営みを間近で見せてあげられました。逆に女性保育士さんは、私にはできない裁縫を教えてあげていました。

このように、お互いを補完するように役割分担することで幅広い経験を子どもたちに提供する、これこそが男性の育児参加の意義のひとつなのです。まだ当時は、積極的に育児をする父親は少数派という時代でしたが、あの保育所の子どもたちは、男性の育児に違和感を持たずに育ってくれたはずです。

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「女性保育士さんと同じように抱っこしていても、子どもには微妙に異なるのでしょうね。よく泣かれました」

男の子は「行動優位」と知るだけで育児のイライラが激減

以前、『本当に響く男の子の叱り方ほめ方』(すばる舎)という本を出したところ、男の子の育て方に困っているママに大変、好評でした。私は、子どもが3人とも男の子なので特性をよく理解しています。しかし、多くのママにとって、男の子は理解の範疇(はんちゅう)を超えた不思議な生き物。その戸惑いが、本の反響につながったのでしょう。

男の子は「行動優位」、女の子は「言語優位」が特徴

例えば、男の子でも女の子でも、子どもは木の棒を見つければだいたい拾います。ただ、女の子は時間が経てば棒を捨ててママに話しかけたり、お花を見に行ったりしますが、男の子は延々と棒を持ち何かと戦い続けます(笑)。また、男の子は声もリアクションも大げさで、落ち着きがありません。

さらに、そうした男の子の特性を助長しているのが、いまだに残る「男のくせに泣くな」などといった男性への「偏った期待」です。彼らは子どもなりにその空気を感じ取り、周囲の声に応えようと自分を強く、大きく見せる傾向があるのです。

男の子は「理解不能」「じっとしない」「話を聞かない」宇宙人

男の子の特性を言葉も達者でコミュニケーションも取りやすい女の子と比較するとどうしても「粗(あら)く」見えてしまいます。でも、それらは男の子全般にいえることであり、あなたの息子さんだけの欠点ではありません。「そういうもの」と理解して接してあげてください。

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かつて男の子だった小崎先生が、パパの育児参加と男の子の育て方を書いた本の数々

ママがパパに求めているのは「気遣い」

ママにとっては、「パパ」も男の子と同じくらい理解し難い存在かもしれません(笑)。かつて、子育て中の夫婦に「今、ママがパパに一番してほしいことは?」とアンケートを取ったところ、ママは「気遣いや共感」、パパは「家事や育児への参加」が回答の1位でした。

パパは単位のズレを直し家族に一体感を

こうした齟齬(そご)が生まれる原因は、会話における「単位」のズレだと考えています。同じ「1」でも、ママは1メートルの話をして「もっと理解して」と言っているのに、パパは1センチの話ととらえ「それくらいの協力はしている」と返しているのです。

私は「幸せ家族のための3ステップ」として、まずは「気遣い」、次に「行動」、最後に「共感」が重要だと提唱しています。特に「共感」は、楽しいことやうれしいことだと容易な反面、つらいこと、苦しいことは分かち合いにくいものです。ただ、だからこそ世のパパたちには、子育てのしんどい部分も含め、自分でもできることはすべて自分の担当だと受け止めてほしいのです。その意識がズレた単位をそろえ、ひいては、家族の一体感をつくっていくのです。

ママも面倒だとは思いますが、一緒に子育てに立ち向かうパートナーとして戦力にするため、パパを教育するくらいの意識を持ってもらえたらと思います。

パパが楽しさの提供者になればママも子どもも喜ぶ

一方、パパ目線でいえば、そもそも会社にいる時間が長く、子どもと接する時間がママほどありません。また、実家の母親やママ友から育児情報を入手する機会も少ないでしょう。でも、それなら「量」ではなく「質」で貢献すればいいのです。

ママだけでは与えにくいインパクトのある楽しさや喜びの提供を

例えば、パパは平日行くのが難しい遠くの公園へ行く、体力を使うアクティビティを一緒に楽しむのはどうでしょう。

……という提案をすると、大抵ママたちから怒りの声が飛んできます。「パパだけおいしいとこ取りして」という声です。気持ちはわかります。しかし、子どもの発達において、そうした普段と違う角度の経験はプラスになっているのです。ですので、非日常の体験やママはできないピエロ的な役割などは、どんどんパパに担ってもらいましょう。それこそ、パパの育児参加の大きな意義のひとつなのです。

とはいえ、パパたちも「好きなことだけ」で終わってはいけませんよ。楽しいことと同時に、育児のネガティブな部分も時間が許す限り、少しでもいいので引き受けてください。

その部分が欠けていると、本当にただの「おいしいとこ取り」になってしまい、子どもにとってはプラスでも、夫婦関係においてマイナスになりかねませんから。

子どもにとって楽しい状況を作ることに大きな意義があります。ぜひ、パパは積極的に「質」の貢献を担ってください。

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「子どもやパパの言動をママが理解できないのは当たり前。違いがあるからこそ、面白いんです。そこを楽しんでいきましょう!」

子どものことがわからない! 小崎先生おしえて!

ポピフル編集部の男の子の母親、女の子の父親から今悩んでいることを相談し、小崎先生にお答えいただきました。

毎日、気づけば息子を叱ってばかりです。⼀⽇の終わりに 「また叱ってしまった」と⾃⼰嫌悪に陥ることも多く、親⼦関係に悪い影響が出ないかと悩んでいます。どうすれば、叱らずにすむのでしょうか。

まず、ほとんどの小学生男児は、おそらく地球上で最もアホな生き物です(笑)。傘を手にすれば、ずっと振り続けます。理由などありません。傘を意味なく振り続けた経験のないママたちには理解し難いでしょうが、先述したように「そういうもの」なのです。つまり「まあいいか」と、ある意味あきらめるのもひとつの方法です。

もちろん、公共の場で迷惑になる行為は叱るべきですが、そうでなければ注意するハードルを下げ、むしろ「次は何をするのだろう」と楽しむくらいの気持ちで見守ってみてください。子どもはママが大好きです。ママのしんどい表情を見せるより、「まあいいか」の精神で朗らかに接してあげてほしいと思います。

男の子ママの悩み 息子を叱ってばかり あきらめもひとつの方法

毎日、下校したらプリントを出すように言っても出さず、忘れ物がないかをチェックしなさいと⾔っても忘れることが多く困っています。本人の「その場しのぎ」的な考え方を直し、先を見据えた行動を習慣づけるコツはありますか。

学校で配られたプリント類が、ランドセルの奥のほうから屏風(びょうぶ)折りになって出てくる。しかも、ずいぶん前の日付のものが。男の子に限らず、小学生の親なら誰しも経験があるでしょう。ただ、特に男の子は顕著かもしれません。なぜなら、彼らには過去や未来がなく「今」しかないからです。そのため「前に何回も言ったでしょ!」と叱ったところで、無意味です。過去などないのですから(笑)。

では、どうすれば良いのか。習慣づけができるまで一緒に手伝ってあげてください。「もう3年生なんだから」とか「高学年なのに」などと親は言いがちですが、その学年になったら自動的にできるようになるわけではありません。言ってもやらないストレスを抱えるくらいなら、親が並走して習慣づけをしてあげましょう。

新しいことに興味を⽰すことはあるものの、いざ挑戦する段階になると「無理」「できない」とやめてしまいます。親としては、いろいろなことを経験してほしいのですが、どう背中を押せば良いのでしょうか。

男の子ママの悩み 失敗をおそれず挑戦してほしい スモールステップ 無理やりはNG

失敗を恐れる言動は、女の子より男の子に多く見られます。前述したように、男の子は周りからどう見られているかを非常に気にするからです。一方、女の子は、広く浅くさまざまなことに興味を示して関わろうとする傾向があります。つまり、男の子は女の子と興味の体積は同じでも、ひとつのことに対して「深く」なるため、それ以外の対象には及び腰になりがちなのです。

その場合には、まず、スモールステップで成功体験を積ませてあげることが有効です。そして、「一緒にやってみよう」といった声かけをするなど、コミュニケーションを取りながら進めていくことをおすすめします。もちろん、無理やり背中を押したり、一方的に挑戦させたりすることはNGです。

これまでほぼ毎日、娘とお風呂に入ってきました。ただ高学年になり、体つきにも変化が見られるようになってきたため、いつまで一緒にお風呂に入っていいものか迷っています。娘自身は気にせず「一緒に入ろう」と言います。

女の子パパの悩み 高学年の娘 お風呂いつまで一緒? 家族で答えを

私は昨年まで、NPO法人ファザーリングジャパンの顧問を務めていました。そのメンバー内でも、女の子のパパたちはこの問題についてよく話していました。それだけ、多くのパパたちが悩んでいるテーマなのです。

もちろん、この問いに絶対的な正解はありません。よく聞くのは、生理が始まったときやクラスメイトに「え、まだ入ってるの?」などと言われたことをきっかけにやめるケースです。当然、娘さんが嫌がっているなら一緒に入るべきではありませんが、そうでないなら夫婦で、あるいは娘さんも交えて話し合い、ご家族で答えを出すことをおすすめします。

妻が娘と⽣理について、あるいは、ブラジャーなど下着の話をする機会が増えてきました。そうした際、父親はどのような関わり方を意識するとよいのでしょうか。声かけの仕方もわからず戸惑っています。

昭和の頃、小学校で高学年の女の子に生理の話をする際には、男の子を排除した環境で進められていましたね。そうしたパパ世代にとって、生理の話はいまだにアンタッチャブルな印象でしょう。

でも、今はもう令和です。実際、小学校でも男の子も一緒に生理の話を聞く取り組みが進められています。ですので、パパも一緒にママの話を聞いて、理解するよう努めてください。「女の子の体の話」ととらえると避けたくなるかもしれませんが、「わが子の体の話」ととらえれば、放っておけないはずです。ママに任せて「聞こえないふり」などは、今の時代もってのほかです。

⼥の⼦ならではの悩みや友だちとのトラブルについて聞かれた際、父親はどういった対応を心がければよいのでしょうか。どうしても男目線の助言になってしまい、アドバイスになっていないような気がしています。

私は小学校で数年間、校長を務めた経験がありますが、その学校でも、高学年の女の子ほど、保健室の女性教諭に相談にいっていました。ですので、相談を受けにくい、アドバイスもしにくいというパパの気持ちは理解できます。

ただ、それは「解決」しようとし過ぎているからかもしれません。悩みや相談は、頷きながら聞くだけでも意味はあります。また、子どもにとって話せるチャンネルが複数ある環境は大きな安心につながります。ママのように女の子特有の機微を踏まえた回答ができなくても、ママとは異なる接し方や価値観を提供してあげることに意味があると思いますよ。

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文:シガマサヒコ
イラスト:あんみ
編集協力:ホープ編集室

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