
専門家が選ぶ 小学生の読み聞かせにおすすめの絵本
「小学生の子どもにも絵本の読み聞かせを楽しんでほしい」。大阪国際児童文学振興財団で児童書を専門に研究している土居安子さんが、大人が読んでもおもしろい、そして、読み聞かせにもぴったりな絵本を選び、6冊ご紹介します。

土居 安子(どい・やすこ)さん/大阪国際児童文学振興財団理事・総括専門員
読書活動や日本児童文学史に関する研究を行うと同時に教員・司書・ボランティア等に対し読書活動にかかわる研修や、国内外の児童文学作家の講演会やシンポジウムの企画等を行っている。共編著書に『子どもの本100問100答』(創元社 2013年刊)『ひとりでよめたよ! 幼年文学おすすめブックガイド 200』(評論社 2019年刊) 等がある。
新装版 ぺこぺこ
ちっともいばらない王さまは、となりの国がせめてきても、〈いつものように ぺこぺこ戦うのだ〉。
いったいどのように戦うのでしょうか。ーーおとうさんが「ぼく」に語る、ありえないけれど、おかしすぎるお話。

*作・絵/佐野洋子 *講談社 *1,870円(税込)

世界で戦争が起きている今の世の中への痛烈な皮肉としておもしろい本です。人物の表情一つひとつにも味わいがあり、ユーモラスかつ読みごたえがあります。
ガマ千びき イワナ千びき
「滝の上にいってみたいんだよ。」と、滝を登ろうとしては、失敗してしまうイワナ。ガマはあきれつつも、イワナのひたむきさに憧れもしていました。そして、ある大嵐の日、イワナは、滝つぼから姿を消します。残されたガマがとった行動は?

*作/最上一平 *絵/ザ・キャビンカンパニー *文溪堂 *1,760円(税込)

絵がすばらしいです。擬人化されすぎていないことで、気持ちを読み取りたくなる存在感のあるガマの表情。落ち着いたイワナの表情。多様な水の表現など、ページをめくるのが惜しい気持ちになります。
ゆきのゆきちゃん
「わたし ゆきちゃん ゆきと おなじ なまえなの なんでか しってる?」ねこのゆきちゃんは、雪が降っている中、外に出かけて、りす、ふくろう、うさぎ、しかに自分の名前の由来を尋ねます。

*作/きくちちき *ミシマ社 *2,750円(税込)

作者の自由な筆の動きによって、ゆきちゃんの自由で好奇心いっぱいの様子が生き生きと描かれています。友だちとの共通性がいっぱいあることに気づいた喜びの表現に注目してくださいね。
勇士アフマド イランのむかしばなし
「世界のむかしばなし絵本シリーズ」の一冊。お調子者・アフマドの、斧に彫ったちょっとしたウソがうわさで広まり、王さまの耳に入るとまさかの一大事に。ペルシャ語の翻訳家が再話したイランの昔話です。

*文/愛甲恵子 *絵/網代幸介 *BL出版 *1,980円(税込)

とても幸せな気持ちになる結末に加え、人々の表情や線の柔らかさ、動物や植物の絵、動きのある画面展開に魅せられますよ。
おるすばん
初めてひとりでお留守番をすることになったあっちゃん。
しんとした静けさの中、「ぴとん」と蛇口の水滴が落ちた途端、台所で不思議なことが起こります。作者の留守番の経験から生まれたお話です。

*作/森 洋子 *福音館書店 *1,320円(税込)

お留守番という特別な時間。日常の遊びの世界から空想世界へと誘われる様子が、楽しくも不思議で少し怖いという、自分の子ども時代の感覚を取り戻すようなお話です。
ゆきのげきじょう
雪のふる小さな町。友だちとのわだかまりを抱えた男の子は、スキーを履いてひとりで雪の中に出ていき、くぼみに落ちてしまいます。そこにあったのは、明かりのついた小さな雪の劇場でした。

*作/荒井良二 *小学館 *1,760円(税込)

自然の美しさと怖さ、男の子の心の中の空想の大きさと不安が見事に重なって、目と心に飛び込んできます。雪の描写は山形出身の作者ならではで、男の子の気持ちが雪の風景とともに伝わってきます。
土居 安子さんがYouTubeで定期的に絵本を紹介しています。
イラスト:あんみ
編集協力:ホープ編集室
↓土居安子さんへのインタビュー記事はこちら
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