
スマホは危険? これで不安を解消! 小学生の親子で決める「スマホルール」Q&A
小学生の親子で決める「スマホルール」のコツ
どうすれば親子でスマホと賢く付き合っていけるか、親子でスマホのルールをつくるときのコツを一緒に考えてみましょう!
ここ数年、小学生のスマホ所有率が急速に上がりつつあります。もはや、子どもとスマホの問題は保護者にとって避けられない課題といえるでしょう。そこで、20年間、公立中学校で生徒指導主事などを担当され、文部科学省や総務省などでも子どもとネット問題の委員を歴任されてきた竹内和雄先生に、親子でスマホのルールをつくるときのコツについてお聞きしました。
第1回は、スマホを持たせる年齢や思春期の子どもとのルールづくり、第2回は、Q&A形式でルールづくりの際の具体的なポイントについてお話を伺いました。
第3回となる今回も、Q&A形式で親子でスマホルールを決める際のコツをご紹介。最後は、保護者の方が抱えがちな不安に対して竹内先生に教えていただきました。
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竹内 和雄(たけうち・かずお)さん:兵庫県立大学教授(教育学博士)
公立中学校で20年生徒指導主事等を担当(途中小学校兼務)。寝屋川市教委指導主事を経て2012年より現職。生徒指導を専門とし、いじめ、不登校、ネット問題、生徒会活動等を研究している。文部科学省有識者会議座長など、子どもとネット問題についての委員を歴任。生徒指導提要(改訂版)執筆協力者。2014年ウィーン大学客員研究員。
竹内先生に聞く!スマホルールQ&A
有害サイトやアプリの制限方法は?

Q. 購入前にスマホのルールを決めても、誰とどんなやりとりをしていて、どんなサイトを見ているのかなど、やはり不安になる気がします。

A. 有害なサイトやアプリへのアクセスを制限してくれる「フィルタリング機能」を設定しましょう。
確かに、使用時間を決めても、その時間内に危険なサイトを閲覧していたら意味がありません。まず、子どもにとって有害なサイトやアプリへのアクセスを制限してくれる「フィルタリング機能」を使いましょう。
ネット上の危険性やトラブルは、多くの場合、フィルタリング機能の設定で回避できます。警視庁によれば、SNSに起因する被害に遭った児童は、ほとんどがフィルタリング機能を使用していなかったそうです。子どもには評判の悪い機能なので、嫌がられる可能性は高いと思います。それでも、親が抱える不安な気持ちを正直に伝え、理解してもらった上で設定しましょう。
また、親が時々、閲覧履歴をチェックすることをルールに盛り込む方法もあります。もちろんこれも、多くの子どもには歓迎されないでしょう。その場合「最初の1年だけ」とか「高校生になるまで」などと、時間的な展望を持たせると効果的です。子どもは一刻も早くスマホがほしいので、条件を飲んでくれる可能性は高いはず。こうした、テクニック的なやり取りもときには大切です。
いずれにしろ、フィルタリング機能※のときと同様、スマホの危険性と親の気持ちをしっかり話し、「気になったときは見せてもらうけど許してね」と、子どもといえども所有物を「見せてもらう」意識を忘れず話し合ってください。

スマホ依存にならないためには?

Q.うちの子の性格だと、スマホにハマってしまいそうで心配です。もしハマった場合、どう対処すれば良いのでしょうか。

A. 大前提として、スマホは子どもから大人まで、誰もが「ハマる」ようにつくられています。程度の差はあれども、基本、誰もがハマるものだと認識しておきましょう。
実際、親である皆さんも、少しでも隙があればスマホをさわっていませんか? 子どもはちゃんと、それを見ていますよ。
そこで大切なのが、「自分も同じようにハマっている。それで失敗もした。だからこそあなたには失敗してほしくない」と、正直に打ち明けて向かい合う意識です。ここで「大人は見てもいいの」などと言えば、話し合いがこじれることは明白です。
具体的には、ライフイベントをきっかけに説得する方法があります。「来年は受験の年だから」「来年からは中学に上がるから」などと、人生の節目になる段階を根拠に話し合うと、スマホだけにフォーカスして無理に引き剥がそうとするよりも効果的です。スマホのルールづくりを通じ、子どもの「自律」と「自立」の後押しの練習をしているという意識で対処してみてください。
これまで、数多くのスマホに重度依存している子たちと接してきましたが、実は彼らは、そのままスマホを続けたらどんな人生が待っているのかわかっており、スマホをやめたい気持ちも十分に持っているのです。
そこで重要になるのが、1回目でもお話しした「なんでも話せる親子関係」や「親と一緒に遊んだ楽しい思い出」です。それらは子どもにとって「いつでも戻ってこられる場所」なのです。一時的にスマホという居心地の良い「逃げ場」にハマっても、戻れる場所がある子は重症化しにくいのです。
スマホのルールを破ったときのペナルティは?

Q.子どもがルールを守らなかったとき、ペナルティは必要でしょうか。

A. 一緒に決めたルールを破った際のペナルティは、必ず決めてください。スマホのルール運用がうまくいっていないご家庭の多くは、ルールが「なし崩し」状態になっているのです。そうした状況を避けるためにもペナルティは必要です。
ペナルティの決定と運用には、3つの段階があります。
具体的な内容を決める
まずは、「違反した翌日は1時間使用時間を減らす」「3日間使用禁止」など、具体的なペナルティの内容を決めます。
ルールの基準を明確にする
次に、ペナルティが発生するルールの基準を明確にします。例えば、「夜は早めにやめる」といったあいまいな表現ではなく「21時までに終わる」というふうに、明確に線引きをします。こうしたペナルティの内容や基準を親子で決めようとすると、結構もめます。親子双方が納得できるよう、譲歩し合いながら話し合う姿勢がスムーズに進めるコツです。
スマホのルールを破ったときのペナルティは?
そして最後は、親はどんなにつらくても、一度決めたペナルティは必ず実行することです。一度でも許してしまうと、ペナルティが崩壊します。スマホのルール運用がうまくいっていないご家庭は、悪い意味で「物わかりの良い親」になっている傾向が見られます。ルールもペナルティも、まずは親である皆さんがしっかりと守ってください。

竹内先生からのメッセージ

今やスマホは、否応なしに日常生活に入り込んでいます。親子で過ごしやすい「ライフスタイルづくり」の一環として、ルールづくりを進めてもらえたらと思います。
文:シガマサヒコ
イラスト:あんみ
編集協力:どりむ社