
登校直前に「絵の具セットがない!」という息子に、どうしますか?
親野先生の親力診断

お子さんとどのように関わり、どのような言葉をかけ、
どんなコミュニケーションをとっていますか?
言い方ひとつ、やり方ひとつで子どもは大きく変わります。
ポピーの「親力診断」をよりよい親子の関係づくりにお役立てください。
診断してくださるのは……

親野 智可等(おやの ちから)先生
教育評論家。教師経験をもとに子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育などについてInstagram、Threads、Xなどで発信中。「子育て365日」「反抗期まるごと解決BOOK」などベストセラー多数。「ドラゴン桜」の指南役としても著名。オンライン講演を含む全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。
親力診断:登校直前に「絵の具セットがない!」という息子に、どうしますか?
朝の登校直前になって、
5年生の息子が「絵の具セットがない!」と言って探しています。
なかなか見つからなくて、時間がどんどん過ぎていきます。
あなたならどうしますか?


ここで手助けしないほうが本人のためになるから、
一緒には探さない

一緒に探してあげる

絵の具セットが見つからなくても、登校させる
どれが正しいか、ではなく、実際問題自分だったら……と考えて答えてください。
……選びましたか?
それでは親力診断、スタートです!
診断結果
解説動画でご覧ください
動画の概要は下をチェック!
Aを選んだ場合
ここで手助けしないほうが本人のためになるから、一緒には探さない
これは、自分自身が困って懲りるだろう。そうすればこれから気をつけるだろうという考えです。
一見理屈が通っているようですが、実際にこれで子どもが成長するということは、まずありません。
Bを選んだ場合
一緒に探してあげる
こういうときに一緒に探してあげるのは人の道です。当然のこととして、まずは助けて、安心させてあげてほしいと思います。その後で、同じ失敗をしないためにはどうしたらいいか、具体的な改善方法を一緒に考えて実行してください。
Cを選んだ場合
絵の具セットが見つからなくても、登校させる
Aと同じ考えです。自分が困れば、これから気をつけるだろうという発想です。実はこれは、大人の理屈です。
子どもは、喉元過ぎれば熱さを忘れます。だから、同じことを何度も繰り返してしまうのです。
今回のポイント!
AやCのような「放っておいて自分が困ればなおる」という考えを、私は“自業自得方式”と呼んでいるのですが、これで子どもがしっかりしてきたという例を見たことがありません。実際は、同じ失敗を繰り返して、叱られ続けるだけです。そうするうちに自分に対する自信がなくなっていき、同時に助けてくれない親に対する信頼もなくなっていきます。さらに、友だちやきょうだいにも自分のせいだから仕方がない、懲りたほうがいいという考え方で接するようになります。つまり、友だちやきょうだいへの思いやりや優しさを育てることができないのです。
“自業自得方式”で直らない理由、もうひとつは、子どもは大人に比べて真剣に直そうと思うモチベーションを持つことができないからです。大人になって仕事をしてみてからのほうが、生活に直結して真剣に困ることになります。子どものうちは、叱られるから困るだけで、モチベーションのスイッチがなかなか入りません。
繰り返しになりますが、“自業自得方式”ではなおりません。親子で一緒に具体的で合理的な改善方法を考えたり、困っているときは助けてあげたりしてほしいと思います。
今日も明るく楽しく、元気にお過ごしください。
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