
保育のプロ直伝!寝かしつけのススメ ~子どもが寝ない問題にもう悩まない~
保育のプロの技
子どもがなかなか寝ない!ともう悩まない。保育のプロが教える寝かしつけのコツと、気になるQ&A。
目次

須貝 美香(すがい みか)先生
保育士として保育園勤務を経て1997年に在宅保育を開業。現在は、認可園3園を運営し、台湾と上海で活動しながら、子育てアドバイザーとして企業や自治体などで家庭的保育に関する研修講師、保育士や保育施設経営者研修、民間保育園の園内研修などを多数行う。保育者に寄り添い、子ども・子育て家庭に温かい支援に貢献している。著書に『漂流する待機児童たち』(幻冬舎)『保育士が教える「子育て」の正解』(幻冬舎)がある。
「なんで寝てくれないの……?」お子さんの寝かしつけに苦労されているパパさん・ママさん、必見! 今回は、子どもの睡眠と寝かしつけの考え方と、今日から取り入れられる寝かしつけのコツについて、NPO法人家庭的保育支援協会代表理事の須貝美香先生にお話をうかがいました。
小さい子どもがなかなか寝ないのはなぜ?
大人と違い、子どもは基本的に「寝るのが好き」ではありません。特に3歳〜5歳くらいは「活動期」と呼ばれ、好奇心が最高潮。歩き回り、さわり、試してみたいことが次々と浮かび、「寝るなんてもったいない」と感じてしまうのです。何にでも興味や関心を持って探索したいというのは、それだけ生きる力やまなぶ意欲が旺盛だということ。自らどんどん吸収して、賢く成長しようとしている証拠です。なかなか寝てくれないのは、それだけ好奇心が強いことの表れ。「この子はまなぶ意欲が強いのね。ちゃんと寝て、起きてからもっとたくさんあそぼうね」という気持ちになると、大人側の気持ちも少し軽くなるのではないでしょうか。
「早く寝させなきゃ」とあまり躍起になりすぎず、できるだけおおらかな気持ちで寝かしつけに向き合っていきましょう。

計画的な「寝かしつけ」で一日の子どものエネルギー配分を調整
病気をしない健やかな体づくりを含めて、子どもの発育には十分な睡眠がとても重要です。きちんと寝ると体内時計がリセットされ、エネルギーも充電されるので、生きる力と学ぶ意欲、興味関心が回復します。
とはいえ、子どもはまだ自分で1日のエネルギー配分を考えることができません。十分な睡眠を取らずにフルパワーであそびすぎると、電池切れを起こしてグズグズと機嫌が悪くなります。自分でエネルギーをうまく配分できないので、寝かしつけをして大人が調整してあげる必要があります。お昼寝も夜の睡眠も、子どもが寝てくれるのを待つのではなく、上手に計画的に誘導して、子どもの一日のエネルギー配分を調整してあげましょう。

お昼寝時間の管理で、夜の寝かしつけもスムーズに
子どもが健やかに育つために、幼児期のお昼寝は欠かせません。「夜に寝られなくなるから、無理やり起こしておこう」は逆効果です。体力切れの状態で何をするにもグズグズと、本人にとって大きなストレスになります。夜にしっかり寝かせるためには、お昼寝時間を含めて生活リズムを整えてあげることが大切です。
その日の子どもの行動タイプ別に、夜の睡眠と合わせてコントロールする方法をご紹介しますので、参考にしてみてください。
【A:1~2時間、昼間のちょうどよい時間にお昼寝できた場合】
園もしくは家庭で1~1時間半、最大2時間程度のお昼寝をしっかりと取れる場合は、お昼寝の時間帯を12時~15時で設定し、生活リズムを整えてあげれば夜の睡眠への影響も最小限にできるでしょう。
【B:帰宅途中に寝てしまった場合】
帰りの園バス内やベビーカーの中、また休日のお出かけ帰りの車内などで、うとうとしてしまうお子さんも少なくないでしょう。その場合は、そっとベビーカーや抱っこに移すなどしてそのまま寝た状態で連れ帰り、眠りを中断しない工夫をしてもいいですね。
帰りの園バスで寝てしまった場合は、バス内で何分程度寝ていたかを先生に確認し、その後の移動中の睡眠時間と合わせて、合計が1時間以内に収まるようにコントロールしましょう。休日も同様に、移動中のうたた寝が長くなりすぎないよう、全体の睡眠時間を意識して調整できると安心です。
【C:夜ごはんの支度中(18時くらい)に寝てしまった場合】
夜ごはんの支度をしている最中に待ちきれず寝てしまうのが一番困ってしまうパターンではないでしょうか。無理やり起こしてもグズグズと機嫌が悪く、親子ともに疲れきってしまいます。
こうなったら潔くあきらめて、そのまま寝かせてしまってOKです。1日くらい晩ご飯やお風呂をスキップしてしまっても大丈夫。もし夜遅くに目が覚めてしまったとしても、そこで何か食べさせて、お風呂に入れて、絵本を読んで寝かせてあげればよいのです。この場合でも、翌日は同じ時間に起こすようにします。体内時計をリセットしてあげることが重要だからです。「昨日は変な時間に遅く寝てしまったから、今朝は少し寝かせておこう」などとしてしまうと、生活リズムが乱れます。
子どもの睡眠時間(お昼寝を含めた合計時間)は、1~2歳児は11~14時間、3~5歳児は10~13時間、小学生は9~12時間を目安に、生活リズムを整えてあげましょう。
保育のプロが実践するスムーズな寝かしつけの技
お昼寝を含めた睡眠時間のコントロールをした上で、夜、寝るときには、お子さんの「これから寝るよ♡スイッチ」をうまくオンにできるといいですね。園のお昼寝でやっている方法で、お子さんの「これから寝るよ♡スイッチ」が入るかもしれないので、まだ取り入れていないものがあれば試してみてください。
「これから寝るよ♡スイッチ」を取り入れる
① 寝るためのお着替え
園のお昼寝ではよくお着替えをします。「あそぶ服」と「寝る服」を分けることで、行動の切り替えがスムーズになるからです。夜の睡眠時も同様に、お風呂に入ってパジャマに着替えるのが「寝る準備」のスイッチとなります。これを上手に活用して「もう寝る時間だね」と話しかけて寝かしつけに入りましょう。
② 寝かしつけ用の絵本
園でもお昼寝の導入には絵本や紙芝居を使います。にぎやかで楽しい絵本は寝かしつけには向きません。寝る前に読む本は、心が落ち着くようなしんみりとしたストーリーがおすすめです。乳児クラスでは短いものを、3歳からは少し長めものを選びます。お子さんと一緒に本屋さんで選ぶのもよいでしょう。寝かしつけに推奨されている絵本はたくさんあるので、それらを何冊か持っておくと便利です。
③ 子守唄
パパやママの優しい声でゆったりと子守唄を歌ってあげるのもよい方法です。おすすめなのは、お子さんのお名前を入れてあげること。例えば『北風小僧の〇〇ちゃん~♪』とお子さんのお名前を入れて歌ってあげましょう。大好きなパパやママが自分だけのために歌ってくれるのは子どもにとってとてもうれしく、安心感を与えます。お名前を入れなくても『大きなのっぽの古時計』などしんみりとしたストーリー性のある童謡もおすすめです。
デバイスの使い方には注意
就寝前のデバイス(PC、スマホ、タブレット)使用は良質な睡眠を妨げるため、寝かしつけではデバイス類を遠ざけましょう。これは大人にも言えることですが、特に脳が未発達な子どもの場合、寝る前だけでなく日常生活における過度なデバイス使用が脳の発達に悪影響を及ぼすという研究結果がいくつも発表されています。
現代の子どもたちはデジタルネイティブでもあり、日常生活にデバイスは必要不可欠です。だからこそ保護者である大人たちが上手な使い方や、適切な距離感を小さいうちから教えてあげることが大切だと考えましょう。一般的に、良質な睡眠のためには寝室を暗くすることが望ましいとされています。光刺激を減らし、眠りに入りやすい環境を整えましょう。また快適な睡眠環境は、湿度:(通年)50%~60%、室温:(夏)25℃~27℃、(冬)20~25℃といわれています。エアコンや加湿器を上手に活用して室温調整してみてください。
それでも寝ないときは?
1時間寝かしつけをしても寝ない場合は、いったん区切りをつけるのも一案です。無理に続けるよりも気持ちを切り替えることで流れが変わることがあります。
また、睡眠時間には個人差があり、家庭の生活リズムもさまざまです。「◯時間就寝が正解」とは一概には言えません。大切なのは、その子にとって無理のないリズムを見つけることです。
ひとり寝のタイミングはいつくらいがよい?
ひとり寝への移行は「満たされ度合い」が重要です。兄弟姉妹、家族構成によって、子どもの甘え度合い(満たされ度合い)は異なります。特に長子の場合、弟や妹がいるため十分に甘えられていない(満たされていない)こともあり、なかなか1人で寝られないというケースは少なくありません。例えば、6歳のお兄ちゃんは甘えが足りずに1人で寝られないけれど、4歳の妹はひとり寝ができてしまうこともあります。
子どもの発育には良質な睡眠がとても重要です。「●歳になったから」とひとり寝を強行して寝不足になってしまっては元も子もありません。本人の様子をよく見ながら進めてあげましょう。
園でのお泊り保育などをきっかけに、親子で話し合いをはじめてみるのもひとつの方法です。同じ部屋で別々の布団で寝ることから始めたり、別々の部屋でもふすまや引き戸を開けっぱなしにしてパパやママが見える状態で寝てみたりなど、住宅事情に合わせて段階的に準備してみましょう。小学校入学時に目覚まし時計をプレゼントするなど、ひとり寝を含めた生活リズムや時間管理の自立を促すのが大切です。
寝かしつけを頑張るパパ・ママへのエール
寝かしつけは子どもの発達段階と個性を理解した上での総合的なアプローチが大切です。年齢に応じた適切な対応と、パパやママが落ち着いて取り組む姿勢が、良質な睡眠リズムの構築につながります。
子どもにとって、この世界はキラキラしていてとても魅力的。だから寝るのは嫌なのです。睡眠は生理現象なので、いつも同じではありません。子どもの個性やその日のコンディションを見極め、その子に合った方法を見つけることで、親子ともにストレスの少ない寝かしつけが実現できるでしょう。何より、子どもにとって睡眠は成長と学習能力向上のための重要な時間であり、適切な寝かしつけは子どもの健やかな成長を支える基盤となります。その日の様子や個性を見ながら、「わが家に合う形」を見つけていきましょう。
取材・文/遠藤祥子 イラスト/江口修平 編集協力/東京通信社
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