
子どもの友だちづきあいがうまくなる! ~友だちとなかよく関わる力・ソーシャルスキルを育もう~
インタビュー 子育てサプリメント
子どもの友だち関係が気になる親は多いもの。友だちとなかよくつき合う力(スキル)について、専門家にお話を伺いました。
「うちの子、友だちがいないかも。」
「すぐけんかになって、大丈夫かな。」
子どもの友だち関係が気になる親は多いもの。そこで、子どものソーシャルスキルトレーニングに詳しい心理学の研究者・藤枝静暁先生に、友だちとなかよくつき合う力(スキル)について、お話を伺いました。

藤枝静暁(ふじえだ・しずあき)先生(埼玉学園大学大学院教授)
埼玉学園大学大学院教授、博士(心理学、筑波大学)。公認心理師、学校心理士、臨床心理士。東京都小学校教員、中学校スクールカウンセラー、川口短期大学専任講師、東京学芸大学・筑波大学・埼玉県室大学兼任講師等を経て、現職。東京都ソーシャルスキルトレーニング支援在り方検討委員、東京都港区教育委員会いじめ問題対策会議委員、東京都公立中学校・不登校支援アドバイザーなども務める。著書に『心理学でよくわかる友だち関係 あの子のきもち 私のきもち』(高橋書店)、『1日5分! タイプ別診断でわかる④心が軽くなる友だち関係』(ポプラ社)、「発達障害を子どもの特徴と考え 新しいかかわり方を見つけていく本」(池田書店)、「プレNEO 楽しく遊ぶ学ぶ 入学準備 きほんの図鑑(きもちの監修)」(小学館)など多数。
小さい頃から育みたいソーシャルスキルとは
――近年、教育現場では「ソーシャルスキル」という言葉が注目されています。「ソーシャルスキル」とは、どういうものでしょうか?
藤枝静暁(以下、藤枝) 「ソーシャルスキル」とは、簡単に言うと、「人と関わり、それを良好に維持していく力」です。「コミュニケーション」に必要なスキル(技術)とも言えるでしょう。
――具体的には、どんなスキルでしょうか?
藤枝 たとえば、自分を知ってもらうための「自己紹介のスキル」、自分の思いや考えを伝えるための「話すスキル」、相手をわかろうとする「聴くスキル」「感情を理解するスキル」などです。
――子どもは、そうした「ソーシャルスキル」を自然に獲得するのでは?
藤枝 確かに「ソーシャルスキル」は、幼少期に家族や友だちとのやりとりの中で身につけていきます。しかし、少子化できょうだいや友だちとの関わり合いの経験が不足する現状に加え、コロナ禍であまり人とコミュニケーションをとれなかった時間を過ごした子どもたちにとって、ソーシャルスキルの獲得は不十分なのが現状です。
――親にとっても、仲のよい友だちができるか、幼稚園(保育所)や学校でなかよく過ごせるかは、気になるところです。
藤枝 個人差はありますが、3~4歳は、まだまだ自分中心の一人遊びが中心だったり、自分中心の視点でものを考えたりする時期です。
でも、幼稚園の年中の後半~年長ぐらいになると、おままごとや鬼ごっこなど、友だちとルールのある遊びをするようになります。
当然、みんなで楽しく遊ぶためには、ルールを理解してコミュニケーションをとることが必要になります。「相手を意識した関わり」がだんだん始まってくるのです。

――「ソーシャルスキル」の基本を育むためには、どうしたらよいのでしょうか?
藤枝 コミュニケーションをスムーズにするために、「それ貸して」などの簡単だけど大切な一言が言えることが重要です。幼稚園(年中~年長期)に遊びのルールと「相手を意識した関わり」が始まるとき、「それ、貸して」「終わったら、次に貸してね」の一言が言えるかどうかが、トラブル予防になるのです。
幼児期によく見られる、おもちゃを取った取られたというトラブルがあったときがチャンスです。「貸して」「いいよ/(または)あとで」というやりとりができるよう、自分の意思を表現するように促しましょう。
この際に、「貸して」と言っても、必ず「いいよ」という答えが返ってくるとは限らず、「ダメ」「いやだ」といった答えが返ってくることもあります。
ここで自分の思い通りにならないこともある、ということを学びます。それは、「順番を待つ」「気持ちを落ち着かせる」「我慢する」スキルを学ぶことにつながります。
――小学生も、「簡単だけど大切な一言が言える」ことが大切ですか?
藤枝 学年が上がるにつれて、規則についての考え方やメタ認知の力、感情なども発達していきます。年齢やその状況にあった「ソーシャルスキル」はありますが、基本は、やはり「簡単だけど大切な一言が言える」ことだと思います。

友だちと仲よくなれる3つのテクニック
――トラブルとまではいきませんが、なかなか友だちができないという悩みもあると思います。友だちと仲良くなるためのポイントは?
藤枝 「みんな仲良く」も大事ですが、まずは1~2人の仲の良い友だちが見つかるといいですね。そこから、ちょっとずつ輪が広がっていったらいいですね。そのために必要だと思うのは、やはり挨拶です。
――「おはよう」というような、日常的な挨拶ですか?
藤枝 挨拶は会話のきっかけになります。それに、挨拶というワンクッションがあれば、いきなり用件を切り出されるより、相手も戸惑いにくくなります。
もし、相手の気持ちが乗らないようなら、また別の友達に挨拶することもできます。そのうち、どこかで気の合う友だちに出会えるでしょう。

――上手に挨拶するためのポイントはありますか?
藤枝 ポイントは、3つです。基本は、①名前を呼んで、②目を見て、③挨拶する「●●さん、おはよう」のスタイルです。
――相手の名前を呼ぶのが恥ずかしい子は?
藤枝 呼びかける前に、まず心の中で「●●さん、●●さん、●●さん」と呪文のように、3回相手の名前を唱えてみるのがおすすめです。心の中で練習するのです。
――それでも、難しい場合は?
藤枝 「今、いい?」「ねえねえ」という呼びかけの一言も有効です。
急に話しかけるのではなく、「ねえねえ」と一拍あることで、相手も話を聞き取りやすくなりますから。たとえば、「一緒に遊ぼう!」よりも、「ねえねえ、一緒に遊ぼうよ」と言うほうが、ハードルが低いはずです。
――それも難しい、すごく恥ずかしがり屋さんの場合は?
藤枝 おうちで、親子でロールプレイして練習するのがおすすめです。二人で役を決めて声をかける練習です。
そして、上記の3つの方法(①挨拶+相手の名前、②心の中で相手の名前を唱えて練習する ③「ねえねえ」と話しかける)のうち、どれならできそうか、子ども自身に選ばせましょう。子ども自身が選んだほうが、意外とできます。

――子どもが友だち関係で悩んでいるとき、親からの声かけのポイントは?
藤枝 先の例なら、「はずかしくて自分から声をかけにくい」「仲良くしたいけど、どうしたら良いか分からない」といった、子どもの気持ちの受け止めることが大切です。そのうえで、教える、諭すのではなく、「一緒に作戦会議しよう」という姿勢がポイントです。
親御さんは「●●したら~?」「こうすれば、いいんじゃない」といった言葉をかけたくなるかもしれませんが、子どもの側からすると、「それはできない」という場合もあります。大人にとっては簡単なことでも、子どもにとっては、ハードルが高いこともあるのです。
一方、親子で一緒に考える「作戦会議」というスタイルなら、(親御さんと一緒に)自分ができそうな解決法を考えて実行したという気持ちが生まれます。これが、「できた!」という実感につながります。それを積み重ねることで、自信につながります。ぜひ、作戦会議を開いてあげてください。
ソーシャルスキルのお手本は家族
――ソーシャルスキルを教えるなら、どこから教えたらよいでしょうか??
藤枝 まず親御さんが「(お子さんに)育ってほしい姿」を見せることで、子どもは真似しやすくなります。
たとえば、「おはよう」などの挨拶や、「ありがとう」などの感謝の言葉のやりとりです。その際、気持ちを具体的に表現する「一言」を付け加えると、よりコミュニケーション力が高まります。

――まずは、大人から、ですね?
藤枝 たとえば、家族でごはんを食べているとき、「このハンバーグ、おいしいなあ。また作ってね」「わあ、『おいしい』って言ってくれて、うれしいな。また作るね」なんて、お互いの気持ちを言葉にしてみる。すると、黙って食べるより、ずっと楽しいですよね。子どもはそういう家族の会話を聞いて、ポジティブな言葉を増やしていくことができますし、コミュニケーションを学ぶのです。
――気持ちを言葉にできるのは、幼児や小学生だけでなく、中高生、大人にも大切なスキルですね。
藤枝 はい。そして、もし子どもがそう言えたら、ぜひほめてあげてください。「うれしいな」と素直に喜んであげてください。すると、どんどん言ってくれるようになりますよ。
――他にも、家庭でできることはありますか?
藤枝 自分が困っているときに、「助けてほしい」と言えることも、子どものうちに身につけさせたいソーシャルスキルの1つです。そのためには、自分を大切な存在だと思える自己効力感は欠かせない重要な要素です。
――自己効力感を育むポイントは?
藤枝 親が子どもに「手伝ってほしい」と頼りにしてみせることです。それはすなわち、「困った時に誰かを頼りにすること」のお手本になります。

――親に頼られる経験は、それほど重要なのでしょうか?
藤枝 大変、重要です。自分が誰かから頼りにされたことや、「ありがとう」と言ってもらったことは、困っている人の役に立てたという経験です。そういう経験がある子は、自分が相手の役に立てていると感じられるので、自分が助けを求めても相手の迷惑にはならないと感じるのです。それゆえに、今度は逆に自分が困っているときに、周囲に素直にSOSを出すことができます。
大人もそうですが、自分は誰の助けにもなれない、自分を情けないと思うようでは、なかなか周囲に「助けて」とは言えません。
でも、心の底に「自分も、どこかで誰かの役に立っている」「自分は周囲の人から頼りにしてもらえる存在なんだ」という自己効力感があれば、「今、困っているんだ」と率直に言えるのです。

子どもが友だちとトラブったとき
――子どもが友だちとケンカしてきたとき、親はどうしたらよいのでしょうか。
藤枝 あれやこれやと言いたくなると思いますが、まず、子どもの話を聞きましょう。
こうした場合、親は不安になると思います。不安が高まると、どうしても質問や詰問口調になりがちです。
そうすると、子どもは話したくなくなります。
そうならないように、子どもの話を聞く前にまず、親が深呼吸して気持ちを落ち着かせましょう。質問ではなく、何があったのか、どんな気持ちになったのかを聞いてあげます。ケンカ等があったとしても、おうちで話を聞いてもらえば、子どもの気持ちはだいぶ落ち着きます。
親も話を聞くことで、何があったのかを知ることができて、気持ちが落ち着きます。だから、まず、話を聞くことが大切なのです。このような流れで、冷静に話をするのがおすすめです。

――親としては、「どうして早く言わないの?」「あなたが●●だから、相手が怒ったんじゃないの!?」と言ってしまいがちです。
藤枝 確かに、よくあることだと思います。でも、それは、親御さん自身が、お子さんを心配する気持ちや不安に耐えられず、ついそう言ってしまうのではないでしょうか。
――「子どもを信じて見守りましょう」とよく言われますが、なかなか難しいですね…。
藤枝 はい、難しいと思います。わが子を心配するあまり、「とにかく、仲直りさせなくては…」と焦ったり、「友だちがいなくなって、独りぼっちになってしまったら、どうしよう」と不安になったりしますから。まず、親が自分の気持ちに気がつくことが大事です。
でも、親御さんはそんな自分の気持ちに気づきつつも、一旦置いて、お子さんを見守ってほしいと思います。それが「子どもには自分で解決する力があると信じる」ことなのです。
――高学年の子への対応は?
藤枝 高学年では、親御さんに解決策を求めるより、「話を聞いてほしい」というニーズが増える傾向があります。この場合も、親御さんは決して前のめりにならず、子どもの要望を優先するとよいでしょう。
――子どもの要望を知るには、どうしたらよいのでしょうか?
藤枝 お子さんに聞いてみるのが一番です。ただ話を聞いてほしい(愚痴や不満、いやだったことを聞いてもらいたい)のか、一緒に解決策を考えてほしいかなど…。本人の気持ちを尊重しましょう。
保護者も元気で幸せな毎日を
――子どもを適切な距離で見守るために、親として気をつけるべきことは?
藤枝 親御さんも、すこやかに元気で過ごしてほしいと思います。先ほど、親御さんは自分の不安な気持ちを上手に処理して見守ることが大切と言いましたが、親御さん自身も不安なときはその気持ちを吐き出すことは大切です。自分の親(おじいちゃんおばあちゃん)やきょうだい、周りの人などに打ち明けるとよいと思います。内容によってはスクールカウンセラーなども有効です。
――ぜひ覚えておきたいことですね。
藤枝 それと、ささいなことでもよいので、日々の生活の中で見つけたポジティブな出来事をスマートフォンなどにメモする方法もおすすめです。もしくは、お風呂のときに一日を思い出したり、夜、寝るときに一日を振り返ったりすると、幸せな気持ちで眠れるのではないでしょうか。

――ささいなこととは?
藤枝 たとえば、道端できれいな花が咲いているのを見たとか、おやつがおいしかったとか…。そうそう、自分で自分をほめることも大切です。
――自分で自分をほめる?
藤枝 子どもに比べると、大人は人からほめられる機会が少ないですから。今日も一日、元気に過ごせた、今日も一日、仕事を頑張った私って素晴らしい…など、ぜひ自分で自分をほめてあげましょう。
――はい、そうします!
藤枝 あと、付け加えるなら、おうちの雰囲気です。家庭内平和ですね。帰るおうちが温かくてくつろげる場所なら、大人も子どももみんな幸せな気持ちで毎日を過ごせます。
たとえ、学校や会社でトラブルがあったり、嫌なことがあったりしても、おうちで元気を充電することができれば、乗り越えることができます。
そのために、ぜひ「ありがとう」を実践してほしいと思います。

あ:あいてを見て
り:はっきりと
が:えがおで
と:とどく声で
う:うれしい気持ちをつたえよう
藤枝 冷蔵庫とリビングに貼っておくと、自然に目がいきます。家族みんなで「ありがとう」もたくさん言って、毎日を幸せな気持ちで過ごしてください。
――ありがとうございました。

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