
小児歯科医が教える!子どもの虫歯・歯みがき~歯みがきを嫌がる子どもへの年齢別対処法も~
子どもの歯と口腔ケアガイド
幼児期に歯のケアをすることは、将来の永久歯にも大きくかかわります。毎日の生活習慣と無理のないケアが大きなカギとなります。
乳歯はいずれ抜けるから、虫歯になっても問題ない? それは大きな間違いです。乳歯のころから虫歯予防をすることが、口内環境を整え、虫歯菌を減らすことにつながります。将来的に永久歯の健康にも大きく影響するため、乳歯のうちからケアすることがとても大切です。小児歯科専門医の坂部 潤先生にうかがいました。

坂部 潤 先生
キッズデンタル 代表
都内6つの医院の運営責任者と矯正治療の管理などを行う小児歯科専門医。大学病院での小児歯科専門医療の実践や米国UCLA小児矯正科への留学経験、また3児の父親としての経験を生かし、継続管理型の小児歯科専門医療を提供している。
虫歯はどうやってできる? 幼児の虫歯の基本

虫歯は「虫歯菌に感染してできるもの」と思われがちですが、実は生活習慣の影響がとても大きい病気です。
虫歯の原因は、ミュータンス菌に代表される虫歯菌です。この虫歯菌は、砂糖などの糖分をエサにして酸を出します。その酸が歯の表面を溶かしてしまうため、虫歯ができるのです。重要なのは、虫歯菌がいるかどうかよりも、菌が増えやすい環境かどうか。
例えば、同じ量の甘いものでも、
- 一度に食べる
- 少しずつ何度も食べる
では、後者のほうが虫歯のリスクは高くなります。口の中に常に虫歯菌のエサがあるので、歯を溶かす酸も多くなるためです。
また、乳歯は永久歯に比べて歯の質がやわらかいため、虫歯になりやすく進行しやすい特徴を持っています。
初期の虫歯は痛みがほとんどなく、歯の溝や歯と歯の間が黒っぽく見える程度のことも多いため、よく観察することが大切です。
知っておきたい「虫歯菌の母子感染」
幼児期の虫歯予防の話題でよく耳にするのが「母子感染」です。虫歯菌が移るから、口移しや食器の共有はしないように、と聞いたことがあるのではないでしょうか。
特に注目されるのが、「感染の窓」と呼ばれる時期。これは、おおよそ1歳半頃から2歳半頃までの、乳歯の奥歯(臼歯)が生えそろい、虫歯菌が口の中に定着しやすい時期を指します。この時期に口の中を清潔に保ち、虫歯菌が増えにくい環境を整えることで、虫歯菌の定着を抑えることができると考えられています。
とはいえ、食器の共有やスキンシップを過度に恐れる必要はありません。
それよりも重要なのは、パパ・ママ自身の口腔ケアです。パパ・ママの口の中に虫歯菌が多いと、子どもにも影響しやすくなります。
親子ともに「虫歯菌を増やさない生活習慣」を意識することが、現実的で続けやすい予防につながります。「うつさない」ことよりも、親子共に自分の口の中の虫歯菌を「増やさない」ことを意識する。それが、家庭でできる現実的な虫歯予防です。
歯みがきイヤイヤ期、どう乗り切る?
子どもが歯みがきを嫌がるのは、成長過程では自然なことです。
特に奥歯に歯ブラシが当たると、嘔吐反射が起きやすく、不快感から強く抵抗する子もいます。
ただ、奥歯に歯ブラシが当たる経験を重ねることで、嘔吐反射が少しずつ弱まっていくのが一般的です。「嫌がるからやらない」選択をしたくなるほど、大変な時期ですよね。ただ、毎日少しずつでも続けることが大切です。
ポイントは、
- 毎日同じ人が、同じ場所・同じ時間に行ってパターン化する
- 子どもが泣いても必要なケアは適切に続ける
- 大人が楽しく歯をみがいているところを見せる
歯みがきを「好きにさせよう」と頑張りすぎる必要はありません。
1日1回、特に寝る前の仕上げみがきがきちんとできれば合格と考えましょう。
【年齢別】歯みがきを嫌がる子どもへの対処法
子どもが歯みがきを嫌がる理由は、年齢や発達段階によって異なります。「なぜ嫌がるのか」を理解しておくと、無理なく歯みがきを続けやすくなります。ここでは、年齢ごとの傾向と対応のヒントをまとめました。

歯みがきを嫌がる姿を見ると、つい焦ってしまいがちですが、年齢にあった関わり方をすることが何より大切です。「毎回完璧にみがく」ことよりも、「毎日続ける」ことを目標にしましょう。
家庭でできる虫歯予防・ホームケア
子ども自身に歯みがきをさせるのは、歯みがきに慣れさせるため。汚れを落とすことに期待しないこと。本人に任せられるのは、8歳くらいからといわれていますから、小学校低学年くらいまでは仕上げみがきをしてあげる必要があります。
とはいえ、年齢だけで判断せず、「自分できれいにみがけているか」を基準に考えることが大切です。
歯科では、3か月〜半年に一度の定期チェックを通して、
- みがき残しの有無
- 子どもに合った歯ブラシや歯みがき粉のアドバイス
- 歯ブラシの当て方
- 仕上げみがき卒業のタイミング
などを確認してもらうことができます。
また、年長さんから小学校低学年にかけて生えてくる六歳臼歯(第一大臼歯)は要注意。
この歯は初めて生える永久歯で、乳歯の一番後ろに生えてきます。永久歯でも生えてから2年くらいの間は、歯質が未成熟な「幼弱永久歯」と呼ばれ、非常に虫歯になりやすいのです。

生え始めは歯の溝が深く、歯ブラシが届きにくいため、定期的なクリーニングやチェックが重要になります。家庭では、上の図のように歯ブラシをななめ45°に傾けて歯ブラシがきちんと六歳臼歯に当たっているか確認しながら仕上げみがきをするようにすると共に、歯科医院を上手に頼ることも虫歯予防の大切なポイントです。
まとめ
虫歯予防は、「うつる・うつらない」だけで考えるものではありません。
生活習慣、歯みがき、定期的なチェック――毎日の積み重ねが、将来の歯の健康を左右します。
完璧を目指さなくて大丈夫。
「今日はここまでできた」と、できていることを大切にしながら、無理のないケアを続けていきましょう。
取材・文/那須由枝 編集協力/東京通信社 イラスト/江口修平
あそび
人間関係・接し方
健康・運動
入学準備
国語
園生活
夢 実現
学校生活
学習習慣
幼児期のまなび
性格
本・読書
生活習慣
算数
食事・食育



