中耳炎・外耳炎・耳垢栓塞 気をつけたい習慣とケア
必見!ヘルスケア
プール遊びが多い時期は、子どもの耳の病気も気になります。子どもに多い耳の病気や、子どもの様子から病気に気づけるポイントなどを知り、迅速に対応しましょう。
今回は、乳幼児から年配の方まで安心して受診できる地域のかかりつけ医であり、専門的かつ総合的な医療を提供している浅香耳鼻咽喉科クリニック院長の浅香大也先生にお話をうかがいました。
Q.浅香先生 教えて! 耳の病気になりやすい、子どものしぐさや習慣は?
①耳掃除を嫌がる
②鼻をすする
③大きな音でテレビを見る
④お風呂でもぐる
答えは、②鼻をすする
子どもの耳の病気には、鼻水が大きく影響しています。まだ鼻をうまくかめない子どもは、鼻をすすってしまうことがあり、それが中耳炎などの原因になってしまうことが多いのです。風邪が治ればしなくなるのですが、鼻風邪が長引いたり、慢性的な鼻炎があったりすると、鼻水や鼻づまりを改善しようと無意識のうちに鼻をすすっていることがあります。鼻をすすることがくせになる前に、こまめに鼻をかむようにし、上手にかめない場合は、鼻吸い器で吸い取ってあげましょう。
子どもに多い耳の病気は?
子どもに多い耳の病気は、「中耳炎」「外耳炎」「耳垢栓塞」などです。それぞれの症状や原因、治療について紹介します。中耳炎には、急性中耳炎と滲出性中耳炎などがあります。
《急性中耳炎》
◇症状や原因
かぜなどが原因で、鼻水のウイルスや細菌が耳管に入り、耳の奥で炎症を起こした状態。耳の痛みと発熱、耳だれ(耳の穴から出てくる分泌物の総称)の症状があり、しきりと耳を気にして触ったり、機嫌が悪かったり、ぐずったりする様子が見られます。
◇治療やケア
抗菌剤や痛み止めを処方し、耳だれの処置や鼻水の吸引などを行います。鼓膜の腫れがひどく、激しい痛みや高熱を伴う場合は、鼓膜に小さな穴を開けてたまっている膿を出します。痛みなどの症状は早めに治まりますが、医師の指示通りに抗菌剤の服用を続けることが大事。しっかり治療しておかないと、中耳炎が慢性化して何度も再発したり、滲出性中耳炎に移行してしまったりすることもあります。
《滲出性中耳炎》
◇症状や原因
鼓膜の内側に水がたまった状態で、耳が詰まった感じがしたり、耳の聞こえが悪くなったりします。急性中耳炎の後になりやすく、鼻水をすすることで起きやすいようです。また、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、アデノイドの肥大が原因で起こることも。ただ、痛みや発熱などがないため、子どもが自分から症状を訴えることはありません。テレビの音が大きい、呼んでも返事がないなど、よく聞こえていない様子が見られたら耳鼻科を受診しましょう。
◇治療やケア
まずは、原因となる副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの治療を行い、鼻をすすらずこまめにかむようにします。投薬治療を行いますが、症状が改善しない場合は、鼓膜を切開して内側にたまった液体を抜いたり、鼓膜に小さな穴を開けてチューブを通して、液体の排出と換気を行う外科的な治療が必要になることもあります。
《外耳炎》
◇症状や原因
耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道の炎症で、かゆみや痛み、耳だれなどの症状があります。耳掃除のしすぎや、触っていて爪で引っかいた、プールの水が入ったことなどが原因といわれています。特に気温が高い夏の時期に多く見られます。
◇治療やケア
軟膏を塗ったり、液体の薬(点耳液)を耳の中に入れたりして治療します。着替えをする際などに、耳に当たるだけでも痛がることがありますので、薬を塗る以外は耳に触れないよう気をつけてあげてください。
《耳垢栓塞》
◇症状や原因
耳垢がたまって硬くなり、外耳道に栓をするようにふさいでしまった状態で、耳の聞こえが悪くなったり、匂ったりすることもあります。プール遊びやお風呂の時に耳に水が入ってしまうと、耳垢がふやけてかゆみが出たり、細菌感染を起こしたりする恐れも。
◇治療やケア
専用の道具を使って、たまった耳垢を取り除きます。堅く固まっている場合は「耳垢水」という液体を使って耳垢をふやかしてから取り除きます。
耳掃除は入り口付近をそっとぬぐう程度で
耳あかは本来、自然と耳の奥から外へと押し出されていく仕組みになっています。そのため、耳掃除を頻繁にしたり、奥まで綿棒を入れてしまったりすると、耳垢がどんどん奥に押し込まれて固まり、耳の聞こえにも影響を及ぼしてしまうこともあります。じっとしていられないお子さんの場合、力の加減によっては皮膚を傷つけてしまう恐れも。
特に、皮膚が薄く、耳の穴も小さい子どもの場合は、耳の入り口付近に見える汚れを綿棒などでそっとぬぐい取るだけでOK。ベビー用綿棒は、子どもの耳の穴にも入りやすく、皮膚を傷つける恐れもなくて安心です。奥まで入れてしまわないように、短めに持ってそっとなでるように触れましょう。2週間に1回程度が目安です。
また、子どもが動いてうまくできなかったり、ご自身で行うのが不安だったりした場合は、無理をせずに耳鼻科を受診し、お医者さんにとってもらいましょう。
監修/浅香耳鼻咽喉科クリニック院長 浅香大也
https://www.asaka-ent.com/clinic/
この記事が含まれる連載はこちら