
小児科医が教える!おねしょの治し方、向き合い方
必見!ヘルスケア
おねしょにお困りのかた必見!おねしょの治し方や原因を、小児科医で夜尿症外来も担当されている服部先生にうかがいました。
おねしょってどうしたら治る? その原因は? 就学を控えた保護者かたを始め、おねしょが気になっていらっしゃるかたは多いのではないでしょうか?
おねしょは、夜間のおもらし(昼間は含まない)を指します。そんなおねしょについて、小児科医で夜尿症外来も担当されている先生にお聞きしました。

服部益治先生
医療福祉センターさくら 院長、兵庫医科大学 特別招聘教授
「おねしょ卒業!プロジェクト委員会」委員長。日本小児科学会専門医、日本腎臓学会専門医、日本夜尿症学会評議員、医療福祉センターさくら院長ほか。
Q.服部先生、教えて! おねしょ対策としてNGなのは?

(1)塩分を控える
(2)夜の水分を減らす
(3)早寝・早起きをさせる
(4)夜中に起こす
答えは、(4)夜中に起こす。
夜中に起こすと、脳がリズムを調節できず、ぼうこうへの指令をうまく出せなくなり、かえっておねしょをしてしまうことがあります。
おねしょを治すのに、病院を受診した際に、まず「生活指導」から始めることが多いのです。
次の章で詳しく解説します。
おねしょ対策は生活改善から

生活リズムでおねしょ改善
早寝・早起き・決まった時間の食事を心がけて規則正しく過ごしましょう。不規則な生活を続けていると、脳のリズムと指令が狂ってしまい、おねしょを悪化させます。夜中にお子さんを起こすなど、生活リズムを乱すこともできる限り避けましょう。
食事でおねしょ改善
◆体に必要不可欠な水分は、朝食と昼食ではたっぷりと飲ませましょう。
昼食後からは控えめにしていき、夕食時から寝るまでは、コップ1杯(200㏄)程度にとどめるのがベター。摂取してからおしっこになるまで1時間半~2時間程度かかるため、夕食とお風呂は早めに済ませて、寝るまでに2~3時間空けるとなおよいです。
◆塩分を控えめにすることで、のどの渇きを抑えられます。外食などで塩分が多くなる日は、食事の時間帯に気をつけるなど工夫しましょう。
◆便秘がひどい場合は、ぼうこうを圧迫している可能性があります。ぼうこうの後ろに直腸があるためです。野菜・果物・豆類・いも類を食事にとり入れ、食物繊維を積極的に摂取しましょう。
睡眠時の工夫でおねしょ改善
◆お子さんが「出ない!」と言っても寝る前にはトイレに行かせましょう。尿意を感じていないだけで、実際にはたまっていることが多いのです。30分~1時間経っても寝つけない時は、もう一度行っておくと安心です。
◆寒さを感じると尿量が増えたり、ぼうこうが縮んで、おしっこをためておける容量が少なくなったりするので、睡眠時は温かくしましょう。特に冬は、下着やパジャマのズボンを重ねるか、靴下を履いて、体を温かくしましょう。
◆おむつ、おねしょパンツ・おねしょズボン、防水シーツなど、おねしょの被害を最小限に留める対策アイテムも活用しましょう。これらを使うことで、おねしょが収まる時期が遅くなることはありません。
「またやっちゃった…」と一番思っているのはお子さんのはず。アイテムを上手に取り入れて、お子さんの自尊心を守り、保護者のストレスも軽減させましょう。
おねしょの原因は大きく3つ
(1)原因の60~70%:睡眠中におしっこを作りすぎる
睡眠中は、おしっこを作りすぎないように、脳から腎臓に抗利尿ホルモンが出ますが、子どもはその機能が未発達です。そのために、昼間と同じようにおしっこを作ってしまうことが、結果としておねしょにつながります。
(2)原因の30~40%:ぼうこうの容量が小さい
こちらも幼いうちは、ぼうこうが未完成で容量が小さいため、眠っている間の長時間、おしっこをためておくことができません。
(3)原因の10%ほど:眠りが深い
子どもは大人に比べてぐっすり眠る傾向にあるため、尿意を感じて起きることは難しいものです。
その他、夕方以降に子どもの興奮材料になるようなこと(強い叱責/怖い動画やゲーム/夫婦ゲンカ など)があると、ストレスに感じて、普段はしない子でもおねしょをするケースもあります。
おねしょは必ず治る!
おねしょをする子は、3歳では30~50%、4歳は20~25%、5歳になると15~20%の割合です。
また、乳幼児期の夜間のおもらしは生理現象の「おねしょ」、5歳以降で月1回以上、3か月以上続く場合は「夜尿症」と呼ばれます。これは「夜尿症診断ガイドライン2016」という世界基準の定義で、日本では「5~6歳以降に月数回以上」としています。小学校入学前後でおねしょが続いて気になるようであれば、一度小児科を受診するとよいかもしれません。
おねしょ・夜尿症は、個人差が大きく小学校高学年まで続く子もいますが、メカニズムが解明され、治療法が確立しているので、必ず治ります。
しかったり焦らせたりして早く収まるわけではないので、「絶対に大丈夫!」とお子さんに伝え続けることが大切です。
★
怒らず⇒プレッシャーを減らす
ほめる⇒自信アップ
起こさず⇒睡眠の質確保
比べず⇒プレッシャーを減らす
焦らず⇒希望をもつ
これを合言葉にして、その子らしい成長をサポートしていきましょう。
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