
廃材あそびであと伸びする力を身につける!おうちあそびの工夫
幼児期にこそ家庭でやるべき6つのこと
あと伸びする力を育む廃材あそびや自然物を使ったあそびの魅力を、幼児教育のエキスパート江藤真規先生が伝授!夏休みにぜひ!
子どもと過ごす時間が増える夏休み。「今日は何をしてあそぼう」と悩むことも増えてきます。外は暑く、だからといって動画やゲームばかりでは…。家にずっといることで、親子ともにストレスが大きくなり、お互いにイライラしてしまうことも多そうです。
それなら、「新しいおもちゃでも買おうかな」という発想もあるのでしょうが、実は高価なおもちゃ以上に、子どもが楽しめるものがあるのです。空き箱や紙袋、散歩で見つけた葉っぱや木の実など、身近にある素材が豊かなあそびを生み出します。
今回は、廃材や自然物を活用したあそびが、なぜ子どもの成長を促すのか、その理由と実践方法について考えてみたいと思います。

江藤 真規 先生
幼児教育とコーチングのエキスパート。
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。IPU・環太平洋大学 特命教授。アカデミックコーチング学会理事。
幼児教育のエキスパートとして、幼児教室の運営と保育士指導を行うとともに、教育コーチングオフィス サイタコーディネーション代表として、保護者や教職員を対象とした講演・セミナー、執筆活動などを行っている。子どもの主体性と思考力・表現力を育む家庭環境作りにも定評がある。
あと伸びする力とは?
近年、学力だけでは測れない力として注目されている「非認知能力」。目に見えにくいものの、成長するにつれて大きな差となって表れてくるため、「あと伸びする力」とも呼ばれています。
例えば、非認知能力には、下記のようなものがあります。
- 自分で考える力
- 工夫する力
- 粘り強く取り組む力
- 挑戦する力
本シリーズの3回目の記事では、対話によってこうした力を育てる工夫についてお伝えしました。
今回は、「あそびの環境」という視点から、「あと伸びする力」を育てやすい廃材に目を向けてみたいと思います。
廃材あそびで育つ「あと伸びする力」
子どもはあそびの天才です。どんなものでも、夢中になれるあそびに変えてしまいます。しかし、どんな素材と出会うかによって、子どものあそび方は変わってきます。
例えば、キッチンセットやキャラクター玩具などの「完成したおもちゃ」では、子どもはあそびを通して想像の世界を広げたり、社会の仕組みを学んだりすることができるようになります。「こうやってあそぶのよ」という親からの助言が、そうさせているのかもしれません。
一方、空き箱や布、木片などの廃材は、「未完成」の素材です。あそび方の決まりもありませんし、親も助言しづらい状況です。決まりがない世界にある空き箱は、ロケットにもなれば、お店にもなり、動物のお家にもなります。だからこそ、子どもは「何にしようかな」「こうしたらおもしろいかな」と考え始めます。廃材あそびの魅力は、この「正解のなさ」にあるのです。
いずれのおもちゃにも、それぞれの良さがあるのですが、生きる力の土台がつくられる幼児期のあそびでは、こうした「正解のなさ」が大切にされています。世界の幼児教育でも、何になるかわからない素材との出会いが、子どもの探究心や表現力を引き出すと考えられています。

<廃材あそびが育てる力>
- 創造力:空き箱や芯、袋などの廃材は、形も感触もさまざまです。決まったあそび方がないため、子どもは自由な発想であそびを生み出していきます。
- 主体性:廃材を一つのコーナーにまとめておけば、子どもは「今日は何を使おうかな」と自分で素材を選ぶことができます。自分で決める経験が主体性を育てます。
- 粘り強さ:素材がたくさんあるため、うまくいかなければ別の方法を試したり、作り直したりすることができます。試行錯誤の経験が粘り強さにつながります。
- 挑戦する力:廃材は本来、子ども向けに作られた素材ではありません。扱い方を考えながら遊ぶことで、新しいことに挑戦する力も育まれていきます。
あと伸びする力を伸ばすために!子どもの廃材あそび中に気をつけるべき2つのこと
しかし、いくら魅力あふれる素材を使ったとしても、親の関わり方によっては、その良さが発揮されないこともあります。親が主導するのではなく、子どもが自由に想像できる環境を整える、そのために必要な視点を2点ご紹介します。
口出しを控える
子どもがあそんでいると、「こうした方がいいんじゃない?」と、つい口を出したくなることがあります。特に、廃材という答えがない素材あそびでは、親にも親なりのイメージが湧き、その世界に子どもを寄せたくなってしまいます。
しかし、あそびの主役は子どもです。親のイメージに近づけ、綺麗に整った作品を作ることが大切なわけではありません。子ども自身が考え、試し、発見すること、そこに価値があるのです。親がすぐに答えを教えるのではなく、「おもしろいね」と見守り、子どものあそびを豊かにしていきましょう。
散らかすことを許容する
いつもは捨ててしまうような廃材です。大きいものもあれば、部屋中に散らかるものもあったりします。全身を使って表現する作品だってあるでしょう。当然、部屋は散らかります。そんなあそびをしている時に、「散らかさないで」「汚さないで」という言葉は、子どもの「夢中」にブレーキをかけてしまいます。
ある程度のルールは決めた上で、いつもより少しだけ許容範囲を広げてみてはいかがでしょう。おすすめは、この部屋、この場所では、自由にあそんでいいという「場」を作っておくこと。ここなら汚してもいいというスペースがあれば、大人も寛容になれるものです。
今日からできる素材集め
廃材あそびのスタートは、「これ、楽しそうだな」と、廃材を見つける目を持つことです。子ども目線になって廃材探しをする、これは大人にとってもワクワクする時間です。空き箱、段ボール箱、牛乳パック、紙袋、包み紙、封筒、窓空き封筒、トイレットペーパーの芯、ペットボトルキャップ…、ワクワクする素材は日常生活にたくさんあります。今までゴミと片付けられていたものが、宝物に見えてきたりします。



また、子どもが自由に廃材を取り出せる工夫も大切です。おすすめは、子どもの手が届く場所に「素材箱」を作ること。集めた廃材を一つの箱に入れ、子どもが自由に取り出せるようにしておくと、子ども主体であそびが始まります。出来上がった作品や、不要なゴミの捨て場所も「決めて」置くと、子どもの自立心が育ちます。
こういった準備だけ整えておけば、子どもは勝手に遊び出します。親の役割は見守ること、求められたら相手をすることのみ。「もっと大きいものを作ったら」や「こっちに貼った方がいいんじゃない」等、余計な言葉は控えましょう。
また、子どもが途中で投げ出し、最後まで作り切らないことがあるかもしれません。そんな子どもの気持ちも、「今は、他のことが気になったんだ」と受け止めます。遊びの主役は子ども。大人は伴走者です。
もっとあそびを広げたい場合には、書籍を参考にするのもよいでしょう。『非認知能力を育てる遊びのレシピ』(注)には、たくさんの廃材あそびが紹介されています。
自然物にも出会おう
廃材だけでなく、自然物もまた魅力的な遊びの素材です。「うちの近くには自然が少ない」と思う方もいらっしゃるでしょうが、意外と身近な場所に、自然物はあるものです。
公園の葉っぱや木の実、小枝、小石などは、買い物の途中にも見つかりそうです。地域のルールで、持ち帰っていいもの、悪いものがあるかと思いますが、そういったルールを子どもが知ることも大切です。
自然物の魅力は、同じものが二つとないこと。小石一つをとっても、大きな石や小さい石、キラキラ光るもの、ザラザラしたもの、面白い形のもの…。子どもは自分で手にしながら、色や形、手触りの違いに気づき、観察する力や感性を育んでいきます。
いつものお散歩の楽しみが、さらに大きくなりそうです。


幼児期は、学びの種が芽生える時期です。何になるかわからない空き箱。説明書のない葉っぱや木の実。そんな「余白のある素材」の中で、子どもは考え、試し、工夫します。大人が与えた正解をなぞるのではなく、自分だけの遊びを生み出していくのです。
この夏はぜひ、捨てるはずだったものや身近な自然に目を向けてみてください。そこには、子どもの創造力や主体性、そして「あと伸びする力」を育てる豊かな世界が広がっているはずです。
参考
『非認知能力を育てる遊びのレシピ』大豆生田啓友、大豆生田千夏著、講談社、2019
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