子どもの安全・防犯 ~何に気を付ける? もしもの時にはどうする?~

子どもの安全・防犯 ~何に気を付ける? もしもの時にはどうする?~

子どもの安全・防犯について、何に気をつけたらいいか、もしもの時にはどうしたらいいのか、専門家にうかがいました。

登下校の危険・事件・事故から子どもを守る!
小学生になる前に防犯意識の高めよう

おうちのかたと一緒に行動することが多かったお子さんも、小学校入学と同時に1人行動が増えます。1人でいるときに、何に気をつけるべきなのか。もしものときにはどうすればよいのか。ただ心配し過ぎるのではなく、楽しい小学校生活を送るために親子で防犯意識を高める準備が必要です。
具体的にどうしたらよいのか、日本こどもの安全教育総合研究所理事長の宮田美恵子さんにお話をうかがいました。

宮田美恵子さん

宮田美恵子さん

特定非営利活動法人
日本こどもの安全教育総合研究所理事長

子ども被害事件の現場を調査・分析し、犯罪者心理や行動特性をふまえた上での地域防犯や子どもの安全教育プログラムの推進に力を入れている。新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどでも、さまざまな防犯活動について解説。「学校安全のリデザイン~災害、事件、事故から子どもたちを守るために~」(学事出版、2022年)をはじめ、著書も多数。


「注意」と「安心」をセットで伝える

 小学生になると、お子さんの環境と行動範囲はガラリと変わります。大人の送り迎えはなくなり、自分で歩いて登下校します。お友だちと約束して、放課後に遊びに出かけたりもするでしょう。

 1人で行動するということは、その分危険も増すということです。事故や事件の話ばかりをして過剰に怖がらせる必要はありませんが、何も教えないままでは、リスクは減らせません。

 お子さんに伝えるときのポイントは、必ず「注意」と「安心」をセットで話すということ。「こういうことに注意してほしい」「もしものときはこうすれば安心だよ」と、対処法や解決法を具体的に示してあげれば、不安な気持ちや恐怖心ではなく、防犯意識を育てることにつながります。

何かあったときのシミュレーションを、親子で確認!

 ほんのわずかな距離でも、お子さんが1人で歩く、家の近所の「1人区間」で事件・事故が起きやすいというデータがあります。とりわけ下校時は、お友だちと一緒のときや人が多い場所は大丈夫でも、住宅街は人通りが少なかったり死角が多かったりと狙われやすくなります。特に心身ともにまだ幼い低学年の子どもが犯罪に巻き込まれやすいのも事実です。この「1人区間」の危うさをおうちのかたが正しく理解し、何かあったときに駆け込める場所をいくつか確保すると安心です。

 ただし、「ここに助けを求めるんだよ」と言葉で教えるだけでは、子どもは実感がわきません。お店ならお子さんと一緒に普段からよく利用したり、お店の人と接点が持てるとなおよいでしょう。防犯視点で地域を見直し、シミュレーションすることで、もしものときの行動が変わってきます。

見守りの「目」を増やそう

 共働きでおうちのかたが家にいない、「1人区間」は学校も目が届かない、昔は充実していた地域の見守りボランティアも減ってきている――。犯罪を未然に防ぐためには地域の見守りの「目」が多いことが重要ですが、残念ながら少なくなっているのが現状です。可能であれば、買い物、犬の散歩、家の前の掃除など、子どもたちの下校時間に合わせて外に出ることを意識してみましょう。

 おうちのかたが在宅勤務であれば、「1人区間」だけでもお迎えに行ってあげるのはどうでしょうか。人の目があると、犯罪は起こりにくくなります。自分の子どもを守るためにも、地域の防犯のためにも、見守りの「目」が多い環境をつくることは、安全を高める有効な手段といえます。

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危険を回避するのは、事前の約束とそれを守る力

 「不審者に気をつけて」と伝えても、不審者かどうかをお子さんが見極めることは難しいでしょう。だからこそ、おうちのかたとの事前の約束が重要です。移動をともなう誘いは知っている人でも必ず断る、何か変わったことがあればおうちのかたに報告するなど、約束を決めておき、それを徹底することを習慣にしましょう。そうすれば相手がどんな人物でも「親と約束しているから」と断ることができますし、「変わったこと」について話ができれば、親子で経験値が積み重なります。

 お子さんが小さいうちは、なるべく約束を少なくし、シンプルなものにすると守りやすいでしょう。

子ども用の防犯ツールは、過信しすぎない

 最近はお子さんを見守るための便利なツールや機器がたくさん出ていますが、位置がわかるから、連絡がとれるから安心、というわけではありません。犯罪の事例では、子どもがGPSを持っていることを犯人に気づかれて、捨てられてしまったケースもあります。

 「持っているから」と過信せずに、1人にならない工夫をすること。「連絡がとれるから」と約束をルーズにしないこと。見守りのツールがあれば安全というわけではなく、あくまでも防犯のひとつの手段として活用するという意識を忘れないでください。


まだまだあります 防犯力向上のポイント

■防犯ブザーは電池切れや故障を定期的に確認

防犯ブザーはずっと使っていないと、いざというときに電池切れということも。
親子で一緒に確認することで、お子さんも「必要なものなんだ」と意識します。

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■危険なのは「場所」ではなく「状況」

どれだけ見晴らしがいい整然とした公園でも、1人でいることで危険度が高まります。ここは危ない、ではなく、条件次第で変わることを親子で認識しましょう。

■男の子だから大丈夫、ではない

性的な目的の犯罪の場合、男の子であっても被害者になりえます。警戒心の低い低学年のうちは特に注意が必要です。

■何かあったとき、見かけたときはすぐに警察へ

犯罪情報は速さが重要なので、迷わずすぐに警察へ連絡しましょう。学校への報告はその後で大丈夫です。

イラスト/シュクヤフミコ 文/池田恵子 編集協力/KANADEL

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