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POPY Novels ちび恐竜と絵留の日々
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ちび恐竜と絵留の日々(島はどこにある?)
11島はどこにある?

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

絵留えるがおじいちゃんにもらった懐中かいちゅう時計。そのふたの裏から小さなカードが見つかった。お父さんが確認かくにんした結果、その中には予想通りダイくんにまつわるデータが入っていた。

「おじいちゃんが残したデータから、佐藤成一さとうせいいちさんが見たという島が実在することがわかった」

お父さんの言葉に、わたしはほっとした。

佐藤さんのお父さんは、やっぱりうそつきなんかじゃなかった。早く佐藤さんに教えてあげたい。きっと喜ぶだろうな。
「佐藤成一さんが発見されたとき、地元ではちょっとしたニュースになったらしい。結局、島自体が見つからなかったから、だんだん忘れられていったけど、おじいちゃんだけは調査を続けていたんだ」
「おじいちゃんらしいわね」
とおばあちゃんが笑った。
「そうだね」
なつかしそうに言ってから、お父さんが説明を続けた。
「しばらくの間は、なんの情報も得られなかった。ところが、ある日突然とつぜんむらさききりが発生したんだ」

佐藤成一さんが見たのと同じ霧だ。
「その霧の成分については、よくわからないんだけど、非常に不思議な霧らしい。おじいちゃんは、いくつものめずらしい気象条件がぴたりと重なったときに発生するものじゃないかと考えていたようだけど……。しかも、この霧には催眠さいみん作用があるようで、浴びるとねむくなってしまうから、十分な調査ができなかったらしい」

催眠作用!

それで、佐藤成一さんの記憶きおくがあいまいだったり、気を失ってしまったりしていたんだ。
「おじいちゃんのときは、佐藤成一さんよりも短い時間で霧が晴れたらしい。だから、行方不明だとさわがれることもなかったんだけど、丸二日間何も食べずに船で眠っていたことになるのに、お腹もすいていなくて、体調もむしろよくなっていたと書いてあったよ。一週間飲まず食わずだったにもかかわらず、発見されたときにまったく衰弱すいじゃくしていなかった佐藤成一さんのことを考えると、これも霧の作用なのかもしれない」

なんて不思議な霧なんだろう。
「すべてはおじいちゃんの推測にすぎないんだが、この霧が出ている間だけ、小さな恐竜きょうりゅうたちがすんでいる島にたどり着けるようなんだ」
「それで、おじいちゃんはその島に上陸したの?」

ダイくんは本当にその島にいたんだろうか。
「いや、その島の近くへボートをつけて映像をろうとしているうちに、霧の作用で眠ってしまったらしいんだ。そして、目が覚めたとき、上着のポケットの中にダイくんがもぐりこんでいたようだよ」
「えっ?」

わたしとおばあちゃんは、おどろいて顔を見合わせた。

ゲージの中で眠っているちび恐竜の姿を見ながら、わたしはダイくんが学校へついてきた日のことを思い出した。好奇心旺盛こうきしんおうせいなダイくんならやりかねない気がする。
「おじいちゃんが目覚めたときにはもう霧が晴れていて、何度探しても島は見つからなかった。それで、まだ小さいダイくんをしかたなく連れて帰ってきたらしい」

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