前号までのあらすじ
懐中時計に隠されていたデータから、おじいちゃんとダイくんの出会いについて知ることができた。夏休みを利用してアメリカに渡った絵留は、ついに紫の霧に遭遇して……。
サムさんと佐藤さんは、ぐっすり寝入ってしまったようだ。呼んでも、ゆさぶっても深い寝息が聞こえるばかり……。
二人とも、簡単には眠くならないよう、濃いコーヒーを飲んできたと言っていたのに。飲んでいないわたしとダイくんだけが起きているなんて、なんだか皮肉だ。
サムさんのポケットから携帯電話を取り出す。お父さんにかけようとしたけど、案の定、電波がない。
「ダイくん、どうしよう?」
「みんな、ねちゃったの?」
「うん。ダイくんは寝ないでね。ひとりで起きているのこわいから」
「ぼくはねむくないよ。ただ……」
ダイくんは首をのばして辺りの様子を注意深くうかがっている。
「どうかした?」
「うん、このもやもやのにおい、ぼく、しっているかもしれない」
ダイくんの、今よりもっと幼いときの記憶がよみがえりつつあるのだろうか。
あまりに少しずつすぎて気がつかなかったけど、どうやらボートがひとりでに進んでいる。島へと向かっているのだろうか。
このまま、ボートが島へ着いてしまったら、わたしはいったいどうしたらいいんだろう。サムさんと佐藤さんは相変わらず眠ったままだ。
「ダイくんは、日本に帰りたいんだよね?」
ボートが進んでいく先をじっと見据えているダイくんに聞いた。
「うん……でも、ぼく、このさきにいかなきゃいけないようなきがする」
ショックだ……。
ついこの前まで、島になんか行きたくないって言ってたのに。
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