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POPY Novels ちび恐竜と絵留の日々
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ちび恐竜と絵留の日々(ちび恐竜とピクニック)
第6話ちび恐竜とピクニック

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

ちび恐竜きょうりゅうのダイくんは、人工的なもののないところで育ったようだった。一方、絵留えるの父の調査で、祖父が地図にっていない島について調べていたことが判明し……。

おじいちゃんが調べていたという、地図に載っていない島に、ダイくんがすんでいたという保証はない。でも、ダイくんの話もあわせて考えると、その可能性は高そうだ、とお父さんは言った。

もし、そうだとして、その島が見つかったら……。

そこには、ダイくんの家族がいるんだろうか。そしたら、ダイくんはそこへ帰ってしまうのだろうか。

ダイくんのためには、そのほうがいいってことは十分理解できるのに、悲しくてたまらなくなる。そんな島なんて、永遠に見つからなくていい。ダイくんはずっとここにいたらいいのに。

つい、さみしさから、そんな身勝手なことを考えてしまった。小さな子どもみたいだ。でも、それを実際に口に出して言うほど子どもじゃない。

ダイくんがすっかり元気になった日曜の朝。おばあちゃんの提案でピクニックに出かけることになった。ダイくんの快気祝いみたいなものだから、あの日助けてくれた直也なおやさそった。直也はバスケ部に入ったみたいだけど、日曜は練習がないからと言って、一緒いっしょに行けることになった。

おばあちゃんが車を運転して、助手席に直也、後部座席にわたしとダイくんがすわった。正確に言うとダイくんはわたしのひざの上にいたんだけど。

ドライブというアイディアは、とてもすばらしかった。車の中なら、ダイくんが動こうとしゃべろうと、ほかの人たちに気づかれることもない。

車が動き始めると、ダイくんはわたしのかたに乗って、窓の外を流れる景色をながめた。そして、
「あれ、なあに?」
を何度もり返す。ほとんど家の外に出たことがないのだから、何もかもめずらしいのは当たり前だけど、この質問めにはほとほとつかれ果てた。

そのうち、おばあちゃんが音楽をかけてくれた。ダイくんが好きなアニメの曲だ。すると、ダイくんは座席に下りてきて、おどったり歌ったりしはじめた。そのうち疲れたのか、わたしのひざの上でねむってしまった。ふぅ、やれやれ。
「ありがと、おばあちゃん。助かった」
小声で言うと、おばあちゃんは笑いながら
「絵留が小さいときもこんな感じだったよ」
と言った。
「えっ、うそ? わたしはもっとおとなしかったでしょ」
あせって言うと、今度は直也が
「おまえは結構キョウレツだったぞ」
と返してきた。
「うそだ!」
と言いながら、顔が赤くなる。小さいころのことを覚えられているのって、なんか照れくさい。でも、自分の知らない自分について聞くのはおもしろくもある。

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