前号までのあらすじ
ちび恐竜のダイくんは、人工的なもののないところで育ったようだった。一方、絵留の父の調査で、祖父が地図に載っていない島について調べていたことが判明し……。
おじいちゃんが調べていたという、地図に載っていない島に、ダイくんがすんでいたという保証はない。でも、ダイくんの話もあわせて考えると、その可能性は高そうだ、とお父さんは言った。
もし、そうだとして、その島が見つかったら……。
そこには、ダイくんの家族がいるんだろうか。そしたら、ダイくんはそこへ帰ってしまうのだろうか。
ダイくんのためには、そのほうがいいってことは十分理解できるのに、悲しくてたまらなくなる。そんな島なんて、永遠に見つからなくていい。ダイくんはずっとここにいたらいいのに。
つい、さみしさから、そんな身勝手なことを考えてしまった。小さな子どもみたいだ。でも、それを実際に口に出して言うほど子どもじゃない。
ダイくんがすっかり元気になった日曜の朝。おばあちゃんの提案でピクニックに出かけることになった。ダイくんの快気祝いみたいなものだから、あの日助けてくれた直也も誘った。直也はバスケ部に入ったみたいだけど、日曜は練習がないからと言って、一緒に行けることになった。
おばあちゃんが車を運転して、助手席に直也、後部座席にわたしとダイくんが座った。正確に言うとダイくんはわたしのひざの上にいたんだけど。
ドライブというアイディアは、とてもすばらしかった。車の中なら、ダイくんが動こうとしゃべろうと、ほかの人たちに気づかれることもない。
車が動き始めると、ダイくんはわたしの肩に乗って、窓の外を流れる景色を眺めた。そして、
「あれ、なあに?」
を何度も繰り返す。ほとんど家の外に出たことがないのだから、何もかも珍しいのは当たり前だけど、この質問攻めにはほとほと疲れ果てた。
そのうち、おばあちゃんが音楽をかけてくれた。ダイくんが好きなアニメの曲だ。すると、ダイくんは座席に下りてきて、踊ったり歌ったりし始めた。そのうち疲れたのか、わたしのひざの上で眠ってしまった。ふぅ、やれやれ。
「ありがと、おばあちゃん。助かった」
小声で言うと、おばあちゃんは笑いながら
「絵留が小さいときもこんな感じだったよ」
と言った。
「えっ、うそ? わたしはもっとおとなしかったでしょ」
あせって言うと、今度は直也が
「おまえは結構キョウレツだったぞ」
と返してきた。
「うそだ!」
と言いながら、顔が赤くなる。小さい頃のことを覚えられているのって、なんか照れくさい。でも、自分の知らない自分について聞くのはおもしろくもある。
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