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POPY Novels ちび恐竜と絵留の日々
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ちび恐竜と絵留の日々(深まる謎)
第5話深まるなぞ

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

給食の時間に食べたものが原因なのか、おなかが痛いと言い出したちび恐竜きょうりゅうのダイくん。手の中でぐったりしているダイくんに対し、絵留えるはどうしたらいいのかわからなかった。

ぐったりしたダイくんを手のひらに乗せたまま、わたしは立ちつくしていた。
「絵留!」

背後から声をかけられた。直也なおやだった。
「なんか様子がおかしいなと思ったら、おまえ、そいつ……」
「バッグにこっそり入って、ついて来ちゃったの」
「なんでまた? それより、具合悪そうだな。いつから?」
「おなかすいたって言うから、給食からちょっとあげたの。その後、お昼してたみたいなんだけど、さっきおなかが痛いって。それから、ぐったりしちゃって……」

直也はわたしの手の中をのぞきこんで、ダイくんの様子を見たあと、
「ちょっと待ってて! おまえんちに電話して、ばあちゃんに来てもらうように言うよ。家にいるんだろ? 先生には言えないし、おれらじゃどうにもできないから」
「うん。わかった」

直也は先生の目をぬすんで、ダッシュで校舎の中へと向かって行った。

直也の提案は、今わたしたちができることの中で、まちがいなくベストだと思えた。よかった。直也がいてくれて。

わたしは少しほっとして、手の中をのぞきながら声をかけた。
「ダイくん、だいじょうぶだよ。おばあちゃんが来てくれるからね。がんばってね」

ダイくんはだまったままだったけど、わたしは「だいじょうぶだよ」と言いつづけた。それくらいしかできなかった。

やがて、直也がダッシュでもどってきた。
「ばあちゃん、すぐ来るって。校門の近くに行って待とう」
「ありがとう」

わたしたちは、先生やクラスメイトに見つからないようにしながら、校門の近くまで移動した。少し待つと、車が止まって、おばあちゃんが降りてきた。わたしは今にも泣きそうだった。
「たいへんだったね。事情はわかった。だいじょうぶだから、あんたたちは授業に戻りなさい」

おばあちゃんは昔飼っていたネコ用のキャリーバッグにダイくんを入れると、再びタクシーに乗りこんで、さっそうと帰って行った。

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