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POPY Novels ソラシ
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ソラシ(第一の質問)
第1話第一の質問

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

芝生しばふ転んで、空をながめていた。

雲が流れる。

あの雲、あれに似ている。名前、何だっけ?

ああ、キリンだ。漢字が難しいほうの。動物園にいるのじゃなくて、中国かどこかの空想上の動物。漢字は思い出せない。いや、最初から知らないだけか。第一、習っていないし、テストにも出ない。

左手を視線の先まで持ち上げる。

際限のない水色の大画面を、味気ない紙きれが切り取った。
「進路希望調査票」
そう書いてある。

いつのまにか、中学三年になった。私立入試を経験しなかったぼくは、来年、初めて受験というものをすることになる。

ぼくらはまだほんの子どもで、なんの権限すらあたえられていない。自由にできないことが山ほどある。

なのに、今、大きな決断をしなくてはならない。

たかだか高校を決めるくらいで、と言うかもしれない。しかし、先日の学年集会で、進路指導の松崎はこう言っていた。
「大学へ進学するつもりなら、入試情報の豊富な進学校を受けたほうがいい。先生方も慣れているし、授業も常に受験を視野に入れている。就職率の高い学校へ入って、途中で進学したいとなっても、苦労するんだぞ」

つまり、だ。ぼくらは今の時点で、大学へ進学するかどうかも、決めなきゃならないわけだ。

二年から続いて担任となった〝まこっちゃん〟は、こう言う。
「将来、何をやりたいかを考えて、逆算していったらいいだろ? その仕事にくためには、大学に進学したほうがいいのか、専門いったほうがいいのか、早めに就職したほうがいいのか? 今はまだ、よくわからないなら、より選択肢せんたくしが多い道を選んだらいいだろ」

それは、たぶん、正論だ。
「何、やりたいんだよ、将来。ほら、言ってみろ」

まだ若くて、生徒に人気のあるまこっちゃんは、ぼくにとっても話しやすい存在だ。

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