

前号までのあらすじ
未来からきた不思議な石の忠告を聞かず、自分の空想の世界に閉じ込められそうになった空志は、自分が意外にも現実の世界に未練を持っていたことを知る。
ある放課後。
廊下を歩いていたら、後ろから呼びとめられた。
進路指導の松崎だ。
「おまえ、ちょっと進路指導室に来い。おーい、春日部、おまえも来い」
なんなんだよ、急に。ぼくの都合はおかまいなしか。
心の中ではさんざん毒づいているくせに、松崎の背中を追うぼくの足は従順だった。そのななめ後ろを、春日部という名の女子が小さい歩幅でついてきていた。同じクラスになったのが初めてというせいもあるが、あいさつすらろくにしたことがない女子だった。
松崎が進路指導室のドアを勢いよく開けて、中へ入っていく。ドアが、すぐ後ろを歩いていたぼくの鼻先をかすめた。あいつのこういうところが嫌だ。思わずしかめ面するぼくを、春日部がちらっと見ていた。
ぼくは無言で部屋へ入った。春日部は蚊のなくような声で
「失礼します」
と言った。ぼくは沈黙を守った。
「まあ、そこに座れ」
すでに手前のイスに腰を下ろしていた松崎が言った。
ぼくは、なるべく春日部から離れて座った。
「こないだ提出してもらった進路調査票のことで話を聞きたいんだ。悪いが時間がないから、二人いっぺんに聞くぞ」
なんだ、それ。
続きは、当月号「ポピー・キーワード」を入れて、読もう
読もう
ソラシのストーリー
たかはし先生のメッセージ
井上先生のメッセージ