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子育てに効く!脳コラム10選 ~ ❼努力をほめる

子育てに効く!脳コラム10選 ~ ❼努力をほめる

篠原菊紀先生の脳コラム


以前、うれしいほめ言葉を尋ねた「お子さまなんでもランキング」で1位だったのは「がんばったね」。子どもたちが選んだ言葉は、今回のお話と関係ありそうです。

 まず、子どもたちに比較的簡単な図形パズル問題を与えます。そして、テスト終了後、子どもたちに点数を伝え、ほめました。成績内容にかかわらず一人一人の子どもをほめるわけです。半分の子どもには「あなたは頭がいいんだね」といった具合に「賢さ」をほめます。一方、残りの半分の子どもには「一生懸命やったね」など「努力」をほめます。この二群は成績が均等になるようにランダムに選定します。

 それから子どもたちには二種類のテストを与え、どちらでも好きなほうをやりなさいと伝えます。一方は最初のパズルより難しいけれど、やればとても勉強になるパズル、もう一方は最初のものと同じように楽にできるパズルです。 その後、子どもたちに極めて難しいパズルを与え、その様子を観察します。さらにテストを受けた後、ほかの人のテスト成績を見る機会を与えます。この時、自分より成績が良かった人の答案用紙を見るか、自分より悪かった人の答案用紙を見るかを選ばせます。

 もっと考えさせられるのは、この難問にチャレンジした後で、子どもたちに他の子どもたちの答案用紙を見せる機会を与えたときの結果です。自分より成績が良かった子の答案を見ようとするか、悪かった子の答案を見ようとするか。

 結果、努力をほめられた子どもたちは自分より良い成績の答案を見ようとする傾向が強く、逆に賢さをほめられた子どもたちは、ほぼ全員、自分よりテストの出来が悪かった子どもの答案を見ようとしました。賢さをほめられた子どもたちは、自分より出来の悪い答案を見ることで、自尊心を守ろうとするのです。子どもの賢さをほめ続けることは、自分より下の子を見つけては自分の賢さを確認するという、しょうもないモチベーションをつくってしまいがちなのです。


篠原 菊紀(しのはら きくのり)先生

篠原 菊紀(しのはら きくのり)先生

公立諏訪東京理科大学 情報応用工学科教授(脳科学、健康科学)。東京大学、同大学院教育学研究科修了。『頭がいい子を育てる8つのあそびと5つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。『子どもが勉強にハマる脳の作り方』(フォレスト出版)など著書多数。NHK夏休みこども科学電話相談など、TV、ラジオ、雑誌でもご活躍。

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