勉強に効く!脳コラム10選 ~ ❻「集中学習」より「分散学習」

勉強に効く!脳コラム10選 ~ ❻「集中学習」より「分散学習」

篠原菊紀先生の脳コラム


「集中学習」より「分散学習」

今回は、よりよい記憶の仕方や学習法のお話です。
「寝る子は育つ」ということわざがありますが、記憶を根付かせるにも、睡眠は大切なようです。

「技の記憶」ばかりではありません。英単語を覚える、年号を覚えるといった言葉にできる記憶(陳述的記憶といいます。逆に、技の記憶は非陳述的な記憶と呼びます)も、睡眠、特に深い眠りのときに定着することが知られていますから、間に何回眠りを挟むのかが学習効率にかかわる可能性があります。

 一方、ビューク博士の絵画記憶実験では、睡眠の関与なしで記憶に差が出ています。いろんな解釈があり得ますが、バラバラで覚えるときはそれぞれの絵で作者名を思い出す必要がある一方、ある作者の作品群を覚えるときは作者名を思い出す機会が少なくなります。
 一般に、脳は出力依存性も持ち、記憶しようとするより、記憶を引き出そう、使おうとしたときのほうがよりよく記憶します。すると、分散学習のほうが改めて記憶を引き出す機会が多くなり、記憶の定着に役立つのかもしれません。
 また、学習の初期はやる気にかかわる脳部位が活性化しても、しばらくすれば低下するのが脳の必然なので、目先を変える分散学習がよく、また、全体のつながりの中で学習が進むので、記憶同士をつなぐメタ認知ができやすいのかもしれません。


篠原 菊紀(しのはら きくのり)先生

篠原 菊紀(しのはら きくのり)先生

公立諏訪東京理科大学 情報応用工学科教授(脳科学、健康科学)。東京大学、同大学院教育学研究科修了。『頭がいい子を育てる8つのあそびと5つの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。『子どもが勉強にハマる脳の作り方』(フォレスト出版)など著書多数。NHK夏休みこども科学電話相談など、TV、ラジオ、雑誌でもご活躍。

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