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POPY Novels 魔法使いのステージ
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魔法使いのステージ(偶然)
第2話偶然ぐうぜん

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

年末に見た「ポニー」というバンドの影響えいきょうで、楽器を始めたくなったかな。同じクラスの奏太そうたにベースを誘われる。しかも奏太の姉が「ポニー」のベースであることがわかった。

「えっ? 奏、『ポニー』を知ってるの?」

奏太が目を丸くして言った。

はっと我に返る。急に立ち上がったりして、なんだかずかしい。すとんと席にもどりながら、年末にたまたま「ポニー」のライブを見たことを話した。あのとき受けた衝撃しょうげきと感動をうまく言葉にすることはできなかったけど、「ポニー」のライブを見たから楽器を始めてみたくなったということは、なんとか伝えた。
「そうだったんだ。オレもあのとき見に行ってたんだよ」

奏太がうれしそうに笑った。おたがい、まだ知らなかったのに、同じ空間にいて、同じライブを見てたんだね、と。たしかに、そう考えるとちょっとうれしい。
「今度の土曜さ、『ポニー』が練習する日なんだ。オレも行くから一緒いっしょに行こうよ」

勢いよくうなずいたわたしを見て、奏太はまた笑った。


次の日の朝。
「おはよう!」
と、くったくのない笑顔えがおで奏太がわたしの席までやってきた。周囲の視線が気になる。

あの転校生の子、いつのまにか男子と仲良くなってる。そう思われないかな。

そんなちっぽけなことが気になって、わたしの「おはよう」は小さかった。
「どうしたの?」
「べつに」
「そう? あ、これ。昨日話したアラスカンマラミュートのCD。いてみて」

わたしの心配をよそに、奏太は無邪気むじゃきな顔でCDを差し出した。
「あ、ありがとう」

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