前号までのあらすじ
緒方くんが加わり、バンドを結成できた奏たち。しかし、当初の目標だった学校祭ライブは絶望的な状況に。そこへ、池野さんからライブに出る方法があるということで……。
池野さんの声を受話器ごしに聞くのは初めてだったから、ちょっと不思議な感じがする。でも、今はそんなことはどうでもいい。
わたしたちが出られるライブがある?
本当に?
「それ、いつ、どこであるんですか?」
「うん、くわしいことは会って話そう。近々、メンバーも連れてうちの店に来ることはできるかな?」
「はいっ!」
どきどきしてきた。
奏太も緒方くんも、きっと喜ぶだろうな。
次の休みに、わたしたち三人は池野さんの店を訪ねた。
「やあ、いらっしゃい。えっと……」
「彼がギターボーカルの奏太で、彼がドラムの緒方くんです」
わたしが紹介すると、二人はぺこりと頭を下げた。池野さんは相変わらずの笑顔で
「よろしく」
と言いながら、二人と握手を交わした。
うながされて店の奥へ行くと、いつものように奥さんがお茶とお菓子を出してくれた。
「それで、ぼくたちが出られるライブって……」
奏太が口火を切った。
「うん、ライブハウスじゃなくたって、しようと思えばいくらでもライブはできる」
池野さんはそう言いながら、わたしたちひとりひとりの顔を見つめた。わたしたちも池野さんの顔を穴があきそうなほどに見ていた。
「夏祭りだよ」
「夏祭り?」
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