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POPY Novels 魔法使いのステージ
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魔法使いのステージ(仲間)
第8話仲間

作: たかはしみか

絵: 井上恵美

前号までのあらすじ

奏太そうたの計らいでドラマーの緒方おがたくんと三人で演奏することができたが、その後何の進展もないままだった。ところが、緒方くんがかなに「話したいことがある」と言ってきて……。

とまどうわたしに背を向けて、緒方くんは歩き出した。しかたなく、後を追う。人気のない廊下ろうかのつきあたりのところで、かれは足を止めた。

なんなんだろう、一体。
「そいつ、奏のこと好きなんじゃない?」

さっきのハルカの言葉が頭をよぎる。いやいや、そんなわけない。

でも、ドキドキする。

変なの。緒方くんって、どちらかというと苦手な人なのに……。
「ごめん」

突然とつぜんの意外な言葉に、思い切り面食らった。何が?
「なんか、いろいろいやな言い方して」

急な展開についていけず、だまっていると、緒方くんは重ねてあやまってきた。
「ほんとにごめん。上野うえのさんがおこるのは無理もないと思うけど……」
「そ、そんな、怒ってなんかないよ。急にどうしたの?」

そりゃあ、正直に言ったら、緒方くんの言葉には何度もムッとしたけど。でも、こんなふうに謝られると、どうしていいのかわからなくなる。
「ぼく、5さいからドラムやっているわりには、あんまりうまくないんだ」
「えっ?」
「ぼくよりずっと後から始めたのに、うまいやつがたくさんいて」
「そうなの?」
「うん。うちは父さんがもともとミュージシャンだし、今もああいう仕事をしているから、ものすごく環境かんきょうが整っているのに、ぼくはずっとへたくそで……」

びっくりした。

こないだは全然そんなふうには見えなかった。ベースを始めたばかりのわたしに、ドラムのうまい、へたなんてとうていわからないけど、左右の手足が別々にあちこちに動いていて、すごいなあと感心していたから。

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