情操教育とは?
取り組むメリットと実践方法、親の関わり方を解説

更新日:2026年06月16日

   

ひらがなを勉強するこども

お子さまが思うようにできないことに落ち込んだり、挑戦する前から「どうせ無理」とあきらめてしまったりする姿に、不安を感じたことはありませんか。
学力だけでなく、考える力や感性、前向きに取り組む姿勢も育ててあげたいと願う保護者の方の間で、いま関心を集めているのが「情操教育」です。
この記事では、情操教育の意味や4つの領域、何歳から始めるとよいのか、家庭でできる11の実践例や親の関わり方まで、独自アンケートの結果も交えながら、わかりやすく紹介します。

情操教育とは?

情操教育とは、勉強の知識や成績だけでなく、子どもの「心」を育てる教育のことです。
思いやりの気持ち、豊かな感性、自分で考える力、物事に興味を持つ力などを育て、テストの点数だけでは測れない、人間としての力を伸ばすことを目的としています。
国の「教育基本法」でも、教育の目標として豊かな情操を培うことが明記されています。第2条第1項では「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」と定められており、情操の育成は国としても重視されている公的な教育目標です。
特別な教材は必要ありません。日々の暮らしのなかで子どもが感じる「うれしい」「不思議」「きれい」といった素直な気持ちを大切にしながら、心を耕していきます。

情操教育の4つの領域

情操教育は、育てたい心の種類によって4つの領域に分けられます。それぞれが独立しているわけではなく、互いに重なり合いながら子どもの心を育てていきます。

道徳的情操教育

道徳的情操教育は、物事の善悪を判断する力や、人を思いやる気持ち、協調性を育てる教育です。
友達とのトラブルの場面で「相手はどう感じたかな」と一緒に振り返ったり、絵本の登場人物の行動について話し合ったりすることがきっかけになります。社会で他者と協力しながら生きていく土台となる領域です。

情緒的情操教育

情緒的情操教育は、命の尊さや家族の大切さ、自然や生きものへのいたわりの心を育てる教育です。
豊かな感情が育つことで、自己肯定感や他者への共感力も育まれます。植物を育てる、ペットの世話をするといった体験が代表的で、自分自身を大切にする気持ちにもつながります。

美的情操教育

美的情操教育は、美しいものに触れて感動する心や、自由に表現する楽しさを育てる教育です。
絵を描く、音楽を聴く、季節の花や夕焼けを眺めるなど、日常のなかに取り入れられます。「正解のないもの」を楽しむ経験は、これからの時代に求められる発想力や創造性の土台にもなります。

科学的情操教育

科学的情操教育は「なぜ?」「どうして?」という知的好奇心を刺激し、学ぶことの楽しさを育てる教育です。
虫や植物の観察、料理での材料の変化など、生活のなかには「不思議」を発見できる機会がたくさんあります。知的好奇心が育つと、勉強への意欲にも自然とつながります。

情操教育が注目されている背景

近年、情操教育があらためて注目されている背景には、社会の大きな変化があります。
ひとつは、デジタル化が進んで子どもがリアルな体験をする機会が減っていることです。情報には触れやすくなった一方で、五感をしっかり使う体験や、自然のなかで感動する場面は少なくなりがちです。
もうひとつは、テストの点数では測れない「非認知能力」が注目されていることです。非認知能力とは、自己肯定感や忍耐力、協調性、主体性など、社会で生きていくうえで欠かせない力を指します。
学力だけでなく、内面の力もバランスよく育てたいと考える保護者が増えており、情操教育への関心が高まっています。

情操教育が子どもに与える効果・メリット

情操教育に取り組むと、子どもにはどのような変化が期待できるのでしょうか。
ここでは、家庭で実践したときに育ちやすい5つの力を紹介します。

自己肯定感や主体性が高まる

情操教育では「結果」よりも「過程」を大切にします。「最後までやれたね」と過程を認めてもらえる経験を重ねることで、子どもは「自分にもできた」という自信を持てるようになります。
この自信の積み重ねが自己肯定感につながり、自分で考えて行動する主体性も育まれていきます。指示を待つのではなく、自分から動ける姿勢は、これからの人生のあらゆる場面で力になっていくでしょう。

自ら学ぶ力の土台づくりにつながる

株式会社NEXERと株式会社新学社が共同で実施したアンケート調査では、子どもがいる全国の男女314名に「子どもに『自ら学ぶ力・学習習慣』を身につけてほしいと思ったことはありますか?」と尋ねました。その結果、約86.6%が「とてもそう思う」「ある程度そう思う」と回答しています。
さらに「そのために取り組んでいること・取り組んでいきたいことは何ですか?」という質問では「自主性を尊重する」「見守りながら声をかける」といった声が多く見られました。この結果から、多くの保護者がテストの点数だけでなく、子ども自身が前向きに学ぶ姿勢を大切にしたいと考えていることがわかります。
一方で「学んでほしい」と思うほど、つい先回りして教えたり、勉強を促す声かけが増えたりしてしまうこともあるでしょう。
自ら学ぶ力を育てるためには、勉強を「やらされるもの」ではなく「知ることが楽しい」「もっと考えてみたい」と感じられる体験につなげていくことが大切です。
その土台づくりに役立つのが、情操教育です。たとえば、科学的情操教育では「なぜ?」「どうして?」という知的好奇心を育て、美的情操教育では正解のない表現を楽しむ経験を通じて、自分なりに考える力を伸ばしていきます。
こうした体験を重ねることで、子どもは点数のためだけではなく「知りたい」「やってみたい」という気持ちから学びに向かいやすくなります。情操教育は、自ら学ぶ力の土台を育てる関わり方のひとつといえるでしょう。

想像力や表現力が豊かになる

情操教育では、絵を描く、物語を作る、音楽を聴くなど、正解のない世界に触れる機会が多くあります。こうした体験を通じて、子どもは「自分なりに感じる」「自分なりに表す」ことを身につけていきます。
想像力は、目の前の物事を多面的にとらえる力につながります。表現力は、自分の考えや気持ちを言葉や行動で伝える力です。どちらも、これからの時代に求められる「正解のない課題を解決する力」の土台になります。

協調性や社会性を養える

情操教育を通じて、子どもは他者の気持ちを想像する力を育てていきます。絵本の登場人物に感情移入したり、家族や友達と一緒に活動したりするなかで「相手はどう感じているかな」と考える習慣がつくのです。この力は、学校生活はもちろん、将来社会に出てから人間関係を円滑に築くためにも欠かせません。チームで協力しながら何かをやり遂げる経験が、協調性や社会性を育てるよい機会となります。

他者を尊重する心が育つ

命あるものや、自分とは違う考え方を持つ人を大切にする心も、情操教育を通じて育まれます。植物や動物の世話、いろいろな人と関わる経験を重ねることで「自分も大切にされている」「相手も同じように大切な存在だ」と感じられるようになります。他者を尊重する心が育つと、自分自身を大切にする気持ちも深まります。自分も他人も大切にできる優しさは、お子さまを支える大きな財産となるでしょう。

情操教育は何歳から始めるもの?

「情操教育を始めるなら、何歳がよいの?」と気になる方は多いのではないでしょうか。
一般的に、情操教育を始めるのに適しているのは、3歳ごろといわれています。3歳前後は、感情の発達や言葉の理解が大きく進む時期で、まわりの大人とのやり取りを通じて多くのことを吸収できるからです。
ただし、年齢にとらわれすぎる必要はありません。情操教育は何歳から始めても遅すぎることはなく、小学生になってから取り入れても十分に効果が期待できます。
むしろ、自分の考えを言葉で伝えられるようになる小学生のほうが、対話を通じて深く感じたり考えたりできる場面が増えるという見方もあります。
「うちの子はもう小学生だから」と諦める必要はありません。お子さまの今の姿に合わせて、無理のない範囲で日常に取り入れていきましょう。

家庭でできる情操教育の例

情操教育と聞くと「特別な習い事に通わせなければ」と感じるかもしれません。しかし実際には、家庭での何気ない日常のなかにこそ、きっかけがたくさん詰まっています。
ここでは、忙しい毎日のなかでも無理なく取り入れられる、家庭での情操教育の例を11個紹介します。
料理や絵本といった日常の活動に加え、毎月届く家庭学習教材を親子で一緒に楽しむことも、知的好奇心を育てる有効なきっかけのひとつです。家庭学習教材を親子で取り入れる場合は、子どもの好奇心を広げる内容に触れることで、科学的情操教育にもつながります。
たとえば、株式会社新学社の「幼児ポピー」は、脳科学者である篠原菊紀先生監修のもと、子どもの「なぜ?」を引き出す問題構成が工夫されており、科学的情操教育の入り口としても活用できます。

絵本に親しむ

絵本の読み聞かせは、家庭でできる情操教育の代表的な方法です。物語の世界に入り込むことで、登場人物の気持ちを想像したり、知らない世界を体験したりできます。
自分で読めるようになった小学生でも、親が読み聞かせをすることで想像力はさらに広がります。寝る前の10分でも、親子で同じ物語を共有する時間が心の栄養になるでしょう。

子どもの意見や話を尊重して褒めてあげる

子どもが話してくれることや感じたことを、丁寧に受け止めることも立派な情操教育です。「どう思う?」と声をかけ、お子さまの言葉に耳を傾けてあげましょう。
「なぜ?」と尋ねてくれたときには、すぐに正解を教えるのではなく、一緒に考える時間を作るのもおすすめです。

一緒に料理をする

料理をしている親子

親子で料理をすることは、五感をフルに使うよい機会です。食材の色や香り、調理中の音や手触り、料理の味など、子どもの感受性を刺激する要素がたくさんあります。材料の変化を通じて科学的な発見にもつながり、家族で食卓を囲む時間は、食への感謝の気持ちも育てます。

絵を描く・工作する

絵を描いたり工作をしたりすることは、想像力や表現力を育てる定番の取り組みです。手先を使うことで脳への刺激になり、集中力を養うこともできます。うまく描けたかどうかは気にせず「自由に表現できたこと」そのものを褒めてあげましょう。

自然とふれあう

公園での散歩、河原での石ころ拾い、季節の花を眺める時間など、自然とふれあう体験は情操教育に欠かせません。風の心地よさや葉っぱの色の変化、虫の声など、五感を通して感じる発見が、感受性と知的好奇心を同時に育てます。発見や驚きを親子で共有する時間そのものが、心の栄養になります。

スポーツで身体を動かす

身体を動かすことは、健やかな心身を育てるうえで欠かせません。チームで取り組むスポーツでは、仲間と協力する協調性や、最後までやり抜く忍耐力を養えます。勝ち負けにこだわりすぎず「楽しかった」「またやりたい」という気持ちを大切にしてあげましょう。

家庭菜園をする

料理をしている親子

ベランダのプランターでもよいので、親子で植物を育ててみる体験もおすすめです。種をまき、水をやり、芽が出て育っていく過程を見守ることで、命の循環や育てる責任感を学べます。日々の変化を一緒に喜ぶことで、生きものへのいたわりの心が育ちます。

芸術や文化に触れる

美術館やコンサート、地域の文化イベントなど、本物の芸術や文化に触れる体験は、子どもの感性を大きく刺激します。家のなかでも、画集を開いたり、クラシック音楽を流したりするだけで、新しい世界が広がっていくでしょう。本物に触れる感動は、子どもの心に長く残るものです。

季節行事を楽しむ

お正月、節分、ひな祭り、こどもの日、七夕、お月見など、日本の季節行事を家族で楽しむことも情操教育のひとつです。行事にはそれぞれ込められた意味や由来があり、日本の文化や歴史を自然に学べる機会になります。

ペットとふれあう

ペットの世話を通じて、命の大切さや責任感を学ぶこともできます。言葉を話さない相手だからこそ、相手の気持ちを想像する力が育つでしょう。ペットを飼うのが難しいご家庭でも、動物園や水族館、絵本や図鑑を通じて、生きものへの興味を育てることができます。

家族以外と接する機会を増やす

地域のお祭り

家族以外の大人や、いろいろな年齢の子どもと接する機会を持つことも、社会性を育てるうえで大切です。地域のイベントや親戚との交流、習い事を通じて新しい仲間と出会うことで、多様な価値観に触れられます。
家庭の外でさまざまな人と関わる経験は、自分とは違う考え方を知ったり、相手に合わせて行動したりする力を育てるきっかけになります。

情操教育を行う際の親の関わり方

家庭で情操教育に取り組むときは、何をするかと同じくらい、親がどう関わるかも大切です。ここでは、意識したい3つのポイントを紹介します。

結果よりも過程を重視する

情操教育では、上手にできたかどうかという「結果」よりも「どんな気持ちで取り組んだか」という「過程」を大切にします。「最後までやれたね」「自分で考えてやってみたんだね」と過程を認める言葉をかけることで、子どもは安心して挑戦しやすくなります。結果を急がず、お子さまのペースを尊重してあげましょう。

子どもの興味や感性を尊重する

親としては「これをやってほしい」という思いがあるかもしれません。しかし情操教育では、親の価値観を押しつけるよりも、お子さまが「好き」「やってみたい」と感じるものを応援する姿勢が大切です。お子さまの「好き」を起点に体験を広げていくことで、豊かな心が自然と育まれていきます。

親も一緒に取り組む

情操教育の一番のコツは、親も子どもと一緒に楽しむことです。「教える」のではなく「一緒に感動を分かち合う」姿勢が、お子さまの心に大きな影響を与えます。絵本を一緒に読むときに親もワクワクする、自然のなかで一緒に「きれいだね」と感じる、料理を一緒に作って一緒に味わう。親の楽しそうな姿は、子どもにとっていちばんのお手本です。

情操教育に関するQ&A

ここまでお伝えしてきた情操教育について、よくある質問にお答えします。

情操教育とは何ですか?

情操教育とは、子どもの感性や思いやり、創造性、知的好奇心といった「心」を育てる教育のことです。学力やテストの点数だけでは測れない、人としての土台となる力を育みます。教育基本法でも、教育の目標として情操を培うことが明記されています。

情操教育は何歳から始めるのがよいですか?

3歳ごろから始めるのがひとつの目安とされていますが、何歳から始めても遅すぎることはありません。小学生になってからでも、十分に効果が期待できます。お子さまの今の発達段階に合わせて、無理のない範囲で日常に取り入れていきましょう。

家庭でできる情操教育はありますか?

家庭学習をしている親子

絵本の読み聞かせ、一緒に料理をする、自然とふれあう、季節行事を楽しむなど、家庭でできる情操教育はたくさんあります。共働きで忙しいご家庭では、月刊ポピーのような毎月届く家庭学習教材を活用するのもひとつの方法です。教材に取り組みながら親子で考える時間を持つことで、知的好奇心や「自ら学ぶ力」を育てるきっかけにもなります。

情操教育を行う際に気をつけるべきことは何ですか?

一番大切なのは、結果を急がず、お子さまの興味や感性を尊重することです。親の価値観を押しつけたり、ほかの子と比べたりせず、お子さまの「好き」を応援してあげましょう。親自身も一緒に楽しむ姿勢を忘れないことが、長く続けるためのコツです。

まとめ

情操教育は、子どもの心の土台を育てる大切な教育です。
独自アンケートでも、保護者の86.6%が「子どもに『自ら学ぶ力・学習習慣』を身につけてほしい」と回答しており、子どもが自分から学びに向かう姿勢への関心の高さがうかがえます。
情操教育を通じて「知りたい」「やってみたい」という気持ちを育てることは、学ぶ意欲を支える土台づくりにもつながります。「もう遅いかも」と感じる必要はなく、今日からできることを少しずつ始めてみましょう。

家庭学習とあわせて取り入れるなら、株式会社新学社が発行する「月刊ポピー」がおすすめです。
創刊50年以上の実績があり、脳科学者の篠原菊紀先生監修のもと、子どもの知的好奇心を引き出す問題構成が工夫されています。
毎月届く教材を親子で一緒に楽しむ時間は、家庭でできる情操教育のひとつにもなるでしょう。

お子さまに合うかどうか試せる「無料のお試しワーク」もありますので、お子さまの「自ら学ぶ力」と「豊かな心」を、ご家庭の毎日から一緒に育てる方法のひとつとして、検討してみてはいかがでしょうか。

小学ポピーおためしワーク

監修者プロフィール
月刊ポピー 教育情報サイト

「月刊ポピー 教育情報サイト」は、子育て世代や教育に関心のある保護者の皆さまに向けて、信頼性の高い情報を発信する教育情報メディアです。家庭学習教材「月刊ポピー」を提供する新学社のノウハウを活かし、子どもの学力・生活・心の成長に役立つ情報をわかりやすくお届けしています。